プロローグ・前編
「ねえ、起きて」
誰かの声が聞こえる…
「起きてってば」
まただ…。また声が聞こえる。
僕はうっすら目を開けた。
目の前には自分と同じくらいの女の子がいた。
「…誰っすか」
「あ、起きた!良かった。死んじゃってたらどうしようかと思ったよ…」
縁起でもない…。というか誰っすかこの人。
「あ、ごめん。名前言うの忘れてた。私、藤野真紀!よろしくね!」
藤野真紀。なーんかどっかで聞いた気がする…。
藤野「そういう君の名前は?」
「俺は…黒瀬裕也っす。まあ、よろしくっす。」
藤野「裕也くんね!よろしくね!って!他のみんなに呼ばれてたのすっかり忘れてた!」
黒瀬「他のって、俺たち以外にもいるんすか?」
藤野「うん!早く行かないとナズナさんに怒られちゃう!!」
ナズナって誰だよ。
そんなツッコミを抑えつつ、俺は藤野さんに連れられ、1階のエントランスへと向かった。
10分後
ナズナ「真紀、遅い。人を連れてくるだけなのに何してたの」
藤野「あはは…。ごめんなさーい。」
藤野さんは、つり目の女性に詰め寄られていた。このつり目の人がナズナさんらしい。
幹也「まあまあ。落ち着いてナズナさん。いきなりこんな所に連れてこられて、裕也くんも混乱してたんでしょ。」
穏やかな男性:幹也さんがナズナさんをなだめる。
幹也「混乱したまま連れてきても多分さらにパニックになるだろうし、少し遅れるくらいがちょうど良かったと思うよ?」
まあ、今もまだ混乱してるけど、ぶっちゃけパニック状態って感じではない。
藤野「そうだよナズナさん!それにさ、裕也くんの部屋3階で、しかもすっごい奥の方なんだよ!?部屋番号もわかんなかったし…。」
ナズナ「あー…。そういや部屋番号言い忘れてた。ごめん」
案外素直に引き下がった。
黒瀬「それはそうとして」
俺はそういいながら他の面々の方に視線を向ける。
年代や職業、学校もバラバラ。
裕也「あの人たちは誰っすか」
藤野「そっか。まだナズナさんと幹也さんしか名前教えてなかったっけ」
幹也「全員揃ったし改めて自己紹介か。僕は加藤幹也。フリーのライターとして活動させてもらっている。よろしくね。」
ナズナ「私は杉森ナズナ。警察志望で、空手経験あり。よろしく。」
藤野「私はさっき挨拶しちゃったし…。あ、まだ何のお仕事か言ってなかったっけ。私はソロアイドルとして活動してるの!」
ソロアイドルか。…あ、聞いた事あると思ったら、そういうことか。
黒瀬「もしかして、最近テレビに引っ張りだこの!」
藤野「あ、分かっちゃった!?一応髪染めたりとかメイクとかカラコンとか色々して返送してるんだけどな。」
本名隠せばいいものを…。
藤野「やっぱり私って、オーラみたいなの出てるのかな。…あれ、よく見たら君、あの時のサイン会に来てた」
加藤「あーごめん。2人だけの世界繰り広げてるところ悪いんだけどさ、そろそろ他のみんなが…。」
黒瀬・藤野「あ…」
ひとまず先に自己紹介をすませることになった。
ちなみに他の面々は俺が居ない間に自己紹介とかは終えてしまったらしい。
ちなみに人物評は藤野さんや幹也さんから聞いた。
黒瀬「んじゃ、改めて、黒瀬裕也っす。よろしくっす。」
次に、大人しそうな女性が口を開いた。
「私は、椎名玲乃です。小説家です。よろしくお願いします。」
椎名さんは小説家だが、あまり売れていないらしい。
「俺は百目鬼和人だ!よろしくな!」
百目鬼さんはボクサーで、パンチ食らったらみんな一撃KO。百目鬼パンチを耐えるものはプロの素質あり、なんて言われるほど。あんま怒らせないよう気をつけとこ。
「鹿野雫。射撃部主将。よろしくね。」
鹿野さんは、県内の射撃大会や、個人主催のサバゲーで優勝したことがある少女。
「冬川霧彦。よろしく頼むよ。」
冬川さんは、ぶっちゃけ何考えているのか分からない。デスゲームとかで真っ先に黒幕と疑われそう。
「桐崎結菜です。声優やってます。よろしくお願いします。」
桐崎さんは声優で、まだ経験は浅いらしいけど、それなりに有名な作品に出ているらしい。
「ひぎゅ!…日暮詩愛です。あ、あの…今のは聞かなかった事にしてください。」
日暮さんは中学生で、実はイラストレーターとして活動している。見たところ人になれていないっぽい。
てか噛んだなこの子。
「佐々木修一です。気軽にしゅうくんとでも呼んでください。」
佐々木さんはこう見えて探偵との事。なんだかそうは見えない。
「河野映司。言っておくが、馴れ合うつもりは無い。」
かなりドライ。だけど俳優としてかなりキャリアを積んでいるらしい。
真紀さんとも共演したことあるとか。
「仲村悠介。他、何か知りたいことは?」
仲村さんは、ぶっちゃけ特に語るべき特徴がない所謂量産型。
…本当に語ることがない。
「百合川美琴。高校1年生。よろしくねー。」
百合川さんは作曲活動をしているらしい。さらに演劇部で、そこそこ有名らしい。ただ、百合川さん本人はなんかマイペースそうだな…。
「俺で最後か。後藤祐一だ。警察だから、いざと言う時は頼ってくれよ?」
後藤さんはこの中では最年長。警察なのもあって頼りがいがありそう。
黒瀬「これで全員っすか」
俺含めて15人。年代とか本当にバラバラで、正直この面々の共通点が見つからない。
黒瀬「そういえばここって結局どこなんすか?」
後藤「ここはホテル・ノアズアーク。2年前だったかな。経営者が死んで閉鎖された。俺はここ泊まったことないから詳しくは知らん。」
鹿野「ここ、結構いいところだったよ。前にサバゲーに参加する時に泊まったけど、設備しっかりしてたし。」
藤野「私と映司くんも前ドラマの収録でここに来たよね!」
河野「覚えてない」
藤野「えー冷たいー」
黒瀬(こんな状況でもこのノリ…。藤野さんすごいな…)
椎名「それにしても、なんで私たちこんなところに…」
仲村「なんででしょうね。俺も、なんでここにいるのかさっぱり。前に学校で廊下ですっ転んだ時から記憶ないんだよな…。」
日暮「わ、私も…学校からの帰ろうとした所から記憶…ないです。」
杉森「私は、警察学校の見学行った時から記憶ないの。」
黒瀬「俺は…。そういえばここに来るまでの記憶一切ないっす。」
藤野「うわ、それ大変じゃない!」
百合川「大丈夫?何とかなりそう?ガム食べる?」
黒瀬「正直、記憶喪失はどうしようもないと思うっすけど…。ガムはありがたく貰うっす。」
俺は貰ったガムを口に放り込む。
普通のミント味だった。スースーする。
佐々木「ここ、2年は放置されてたはずなのに、結構内装綺麗でした。普通蜘蛛の巣とかホコリとか思ったより少ないですし。」
百目鬼「しかも設備しっかりしてたぜ。トレーニングルームとか、風呂とか。」
結菜「カラオケボックスとかもありました。少しいじってみたけど、まだ電源生きてましたし、少し前に出たばっかりの曲も入ってました。」
美琴「マイクもバッチリだったよ!…ハウリングで詩愛ちゃんダウンしちゃったけど」
日暮「な、なんで言うの…」
「おやおや。私が知らないうちにもうみなさん集まっていらっしゃったとは…。」
一同「!?」
声のした方をむくと、そこには、青のスーツに身を包んだ男性が立っていた。
「私はテオドア・ロックベル。このホテルの2代目オーナーを務めさせていただいております。」
後藤「…オーナー交代の話なんて、聞いたことがないな」
テオドア「まあ、2代目は勝手に名乗っているだけですがね。」
佐々木「勝手に?」
テオドア「では早速ですが、ゲームの説明をさせていただきます。」
黒瀬「ゲーム?一体何の話すっすか?」
テオドア「今からあなたがたには、命を懸けた人狼ゲームをしていただきます!」
どうも、はじめまして。
遊郷と申します。
小説を書いてこんなふうに投稿するのは初めてなので、ミスとかあったら容赦なく教えてください。
ではまた




