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龍人族の堕落と国際信用危機

不朽の神クラル王の治世が始まってから60年が過ぎた。グランベルク王国の街並みを歩けば、その劇的な変化は一目瞭然だった。


かつて王国の中核を担っていた魔人族——金属光沢の肌と長い耳を持つ新グランベルク人たちは、その多くが150年という寿命を迎えて静かにこの世を去っていた。街角で見かける彼らの姿は、今では全人口の5%程度に過ぎない。


代わって王国の主要人口層となったのは、龍人族だった。魔人族と龍族の混血である彼らは、人間的な容姿を基本としながらも、感情が高ぶると瞳が縦に細くなり、肌に美しい鱗模様が浮かび上がる。そして何より特徴的なのは、完全な龍の姿に変身する能力を持っていることだった。


「おはようございます、マスター・エリック」


王都カストラムの大通りで、パン屋の龍人族店主が常連客に声をかけた。エリック・フレイムウィング(47歳、外見30代前半)は、この店で毎朝同じパンを買うのが日課だった。


「おはよう、マリア。今日も良い天気だね」


「ええ、お客様の竜化飛行には最適ですわ」


マリアは微笑みながら答えた。龍人族にとって、龍の姿に変身して空を飛ぶことは、人間にとっての散歩のように日常的な行為だった。


エリックがパンを受け取ると、突然背中から翼が生え、体が龍の姿へと変化していく。全長15メートルほどの美しい青い龍となった彼は、優雅に空へと舞い上がった。


「今日もお仕事頑張ってくださいませ〜」


マリアが手を振る。このような光景は、もはや王国では当たり前の日常風景だった。


王宮の統計局では、毎年恒例の人口調査結果がまとめられていた。


「今年の人口統計です」


統計局長のセオドア・カウンター(龍人族、52歳、外見35歳)が、分厚い報告書を不朽の神クラル王に提出した。


「総人口478万人のうち、龍人族が430万人で約90%を占めています」


クラル王は資料に目を通した。125歳という実年齢にもかかわらず、彼の外見は相変わらず40代前半で、時の流れを全く感じさせなかった。


「純血の魔人族は24万人で5%、純血の龍族も同様に24万人で5%となっております」


「龍族の動向は?」


「相変わらず内向的で、王国から出ることを好みません」セオドアは続けた。「ドラゴニア領で静かに暮らし、たまに学術研究や王国の運営に協力する程度です」


「一方、龍人族は?」


「非常に活動的です」セオドアの目が輝いた。「商人、冒険者、学者、外交官として世界各地で活躍しています。特に、その飛行能力と長寿を活かして、長距離貿易や国際的な仕事に従事する者が多いです」


確かに、龍人族の外向性は目を見張るものがあった。人間の好奇心と龍族の能力を併せ持つ彼らは、まさに生まれながらの冒険家だった。


問題の発端は、3年前にさかのぼる。


「これは……信じられない!」


商人のマックス・スケイルウィング(38歳、外見25歳)が、アルフェリア公国の首都で興奮の声を上げていた。彼は龍人族の典型的な外見をしており——褐色の髪、金色の瞳、そして光の加減で微かに見える頬の鱗模様——グランベルク王国から香辛料の貿易でこの地を訪れていた。


「マックス様、どうなされました?」


同行していた部下のトム・リトルスケイル(27歳、外見20歳)が心配そうに声をかけた。


「トム、見てくれ!」


マックスは自分の左腕を指差した。竜化の際に擦れて剥がれた鱗が一枚、地面に落ちていた。親指ほどの大きさで、美しい虹色に輝くその鱗を、現地の商人が食い入るように見つめていた。


「それは……本物の龍の鱗ですか?」


アルフェリア公国の宝石商ハリー・ジェムストーンが、震え声で尋ねた。60歳の彼は、30年以上この商売を続けているベテランだったが、このような美しい鱗は見たことがなかった。


「ええ、まあ……私の鱗ですが」


マックスは何気なく答えた。龍人族にとって、鱗が剥がれることは特に珍しいことではない。人間が爪を切るのと同じような感覚だった。


「お、お聞きしますが……」ハリーの目が異様に光った。「その鱗を、お売りいただくことは可能でしょうか?」


「売る?」マックスは首をかしげた。「鱗を売るって、何に使うんですか?」


「魔法薬の材料、装身具の装飾、お守り……」ハリーは早口で説明した。「本物の龍の鱗は、この大陸では最高級の希少素材なんです!」


「どのくらいの価値が?」


「その一枚で……」ハリーは計算機を取り出した。「金貨150枚はお支払いできます!」


マックスとトムは絶句した。金貨150枚は、熟練職人の年収を超える金額だった。


「ひ、150枚?たった一枚の鱗で?」


「はい!しかも、もしもっとお持ちでしたら、一枚200枚でも買い取らせていただきます」


ハリーの興奮は最高潮に達していた。


「実は、最近龍の討伐依頼が激減しているんです。野生の龍がほとんどいなくなって、龍の素材が手に入らない。皆さんの王国に龍が集まっているからだと聞いています」


マックスの頭の中で、計算が始まった。自分は龍人族として、意図的に鱗を剥がすことができる。一度に5〜6枚は無理なく剥がせるだろう。それが一枚200枚なら……


「1000枚以上の金貨が、簡単に手に入る」


マックスの瞳が、金色から縦瞳に変化した。龍族の血が騒いでいる証拠だった。


「実は……」マックスは慎重に言葉を選んだ。「もう少し鱗を提供することは可能です」


「本当ですか!?」ハリーは飛び上がって喜んだ。


マックスは人気のない路地に移動すると、軽く竜化して鱗を5枚剥がした。痛みはほとんどなく、数日で再生することも分かっていた。


「これで全部です」


「素晴らしい!合計6枚で金貨1200枚お支払いします!」


ハリーは大きな金貨袋を差し出した。マックスはその重量に驚いた。これほどの大金を一度に手にしたことは、人生で一度もなかった。


「ありがとうございます……」


「こちらこそ!また何かありましたら、ぜひお声をかけてください」


ハリーは名刺を渡しながら言った。


「実は、他にも同じような商品を求めている商人が大勢います。需要は無限にあると思っていただいて結構です」


グランベルク王国への帰路で、マックスの頭は金貨の重量とその可能性で一杯だった。


「マックス様、どうされたんですか?ずっと上機嫌で」


トムが不思議そうに尋ねた。


「トム、考えてみろ」マックスは興奮を抑えきれずに言った。「俺たち龍人族にとって、鱗は無尽蔵の資源だ。剥がしても再生する。そして、それが外国では金貨に変わる」


「それは……確かにそうですが」


「つまり、俺たちは歩く金貨製造機ってことだ!」


マックスの目が、完全に縦瞳になっていた。龍族の血に宿る財宝への執着が、確実に彼を支配し始めていた。


王国に帰ると、マックスは即座に豪邸を購入した。金貨1200枚という大金により、それまでの質素な商人の生活とは一転して、贅沢三昧の日々が始まった。


「これが本当の人生だ……」


高級ワインを飲みながら、マックスは心からそう思った。なぜこれまで、汗水垂らして働いていたのだろう。鱗を売れば、簡単に大金が手に入るではないか。


マックスの豪遊ぶりは、瞬く間に龍人族コミュニティに広まった。


「聞いたか?マックスが大豪邸を買ったらしい」


「え?あの真面目な香辛料商人が?」


「鱗を売って大儲けしたんだって」


「鱗を売る?そんなことができるのか?」


酒場「金鱗亭」では、連日このような会話が交わされていた。


店主のベティ・ブロンズウィング(45歳、外見30歳)は、常連客たちの変化を肌で感じていた。


「最近、みんな妙にそわそわしてるのよね」


彼女は親友のサラ・シルバーテイル(42歳、外見28歳)に愚痴をこぼした。


「マックスの話が広まってから、特にひどいわ。みんな、自分の鱗をじっと見つめて、何か計算してるみたい」


「でも、鱗を売るって、なんだか恥ずかしくない?」


サラは眉をひそめた。


「体の一部を売るなんて……」


「でも、金貨1000枚よ?」ベティの目も、少し光った。「うちの店の年間売上の3倍以上よ」


マックスの話を聞いて、最初に行動を起こしたのは若い冒険者のライアン・ファイアクロー(29歳、外見22歳)だった。


「俺も試してみよう」


ライアンは単身でクレセント王国に向かった。そこで、マックスと同じように鱗を売却し、金貨800枚を手に入れた。


帰国したライアンは、即座に冒険者を引退し、豪華な生活を始めた。毎日高級レストランで食事し、最高級の酒を飲み、美しい女性たちと遊んで暮らした。


「冒険なんて、馬鹿馬鹿しい」


ライアンは昔の仲間たちに語った。


「命をかけて魔獣と戦って、月に金貨10枚稼ぐなんて割に合わない。鱗を売れば、一日で何ヶ月分も稼げる」


「でも、それって……」


昔の仲間の一人が躊躇いがちに言った。


「なんだか、楽しすぎない?冒険の醍醐味って、困難を乗り越えることにあるんじゃ……」


「困難?」ライアンは鼻で笑った。「そんなものは貧乏人の発想だ。金があれば、何でも解決できる」


ライアンの成功例が広まると、もはや堰は切れた。


「俺も鱗を売ってみよう」


「私だって負けてられない」


「どうせ剥がれても再生するんだから」


次々と龍人族たちが鱗売りに手を出すようになった。最初は躊躇していた者たちも、周りの成功例を見るうちに、だんだんと心が揺らいできた。


学者のエドワード・ブックワーム(51歳、外見35歳)は、長年古代史の研究に没頭していたが、研究資金に困っていた。


「古文書を購入する資金があれば……」


エドワードは悩んでいた。貴重な古文書は高価で、研究者の給料では到底手が出ない。


「でも、鱗を売れば……」


ついに、エドワードも鱗売りに手を染めた。ベルガモット王国で鱗を売却し、金貨600枚を手に入れた彼は、当初の目的通り古文書を購入した。


しかし、それだけでは終わらなかった。


「これだけ金があれば、もっと良い生活ができる」


エドワードは豪華な研究室を借り、高級な食事をし、美しい衣服を身にまとうようになった。そして、肝心の研究は二の次になっていった。


「研究なんて、いつでもできる。でも、この贅沢な生活は今しか味わえない」


かつて知的で真面目だった学者は、完全に別人になっていた。


鱗売りが横行するようになってから1年が経つと、新たな問題が表面化した。


「家が……家が傾いてる!」


住宅街で悲鳴が上がった。マックス・スケイルウィングの豪邸が、構造的な問題を起こしていたのだ。


建築検査官のハワード・ストロングビーム(魔人族、134歳)が現場を調査すると、その原因は一目瞭然だった。


「これは……ひどい」


家の中は、床から天井まで金貨で埋め尽くされていた。リビングルーム、寝室、廊下、トイレに至るまで、あらゆる場所に金貨が山積みされている。


「推定重量は……50トン以上」


ハワードは青ざめた。


「この建物は、そんな重量に耐えられるように設計されていません」


家の主であるマックスは、金貨の山の上にあぐらをかいて座っていた。かつてのスリムな体型は見る影もなく、贅沢な食事により大幅に太っていた。豪華だが趣味の悪い装身具を身に着け、まさに成金の典型的な姿だった。


「心配いらないよ、検査官さん」


マックスは金貨を掴みながら言った。


「俺の宝物だ。龍族の血が、これらを守れと命じている」


「しかし、建物の安全性が……」


「安全性?」マックスの目が縦瞳になった。「俺の宝物に何か問題でもあるのか?」


龍族の血に宿るドラゴンレア(財宝庫)への執着が、マックスの理性を完全に支配していた。彼にとって、もはや金貨こそが人生の全てだった。


後にこれをドラゴンレア症候群と呼ぶようになった。


マックスのケースは、決して例外ではなかった。


「今月だけで、家屋の構造的問題が15件報告されています」


住宅管理局長のトーマス・ビルダー(魔人族、146歳)が、緊急報告を行った。


「全て、金貨の過度な蓄積が原因です」


龍人族たちは、鱗を売って得た大金を自宅に溜め込む習性を見せていた。これは、龍族の本能的な行動パターンだった。龍は本来、洞窟に財宝を集めて守る習性がある。龍人族も、その血を受け継いでいたのだ。


「しかも、彼らは金貨を銀行に預けることを拒否します」


「なぜだ?」


「『自分の宝物は、自分の目の届く場所に置いておきたい』とのことです」


これもまた、龍族の典型的な心理だった。財宝への執着は、単なる金銭欲ではなく、本能レベルでの所有欲だった。


金貨の蓄積と同時に、別の問題も浮上していた。


「肥満率が急激に上昇しています」


保健大臣のサラ・ヒーラー(魔人族、137歳)が心配そうに報告した。


「特に、鱗売りに従事する龍人族の間で顕著です」


働く必要がなくなった龍人族たちは、一日中家で金貨を数えながら、高級料理を食べ続けていた。その結果、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病が急増していた。


「かつてスリムで活動的だった龍人族が、見るも無残な姿に……」


サラは実際の写真を見せた。鱗売りに手を染める前と後の同一人物の写真だったが、まるで別人のようだった。


筋肉質だった体は脂肪で膨れ上がり、精悍だった顔は贅肉でたるんでいる。そして、全身に金や宝石の装身具をジャラジャラと身に着けていた。


「これは……ひどい」


クラル王も、その変貌ぶりに言葉を失った。


問題は一般市民だけではなかった。衝撃的なことに、王室にも影響が及んでいた。


「ミリリィア、それは一体何だ?」


アレクサンダー王(79歳、外見55歳)が、妻の姿を見て愕然とした。


ミリリィア(75歳、外見40歳)は、もはや歩く宝石店と化していた。首には太い金のネックレスが7本、腕には金と宝石のブレスレットが両腕に15個ずつ、指には巨大なダイヤモンドの指輪が全指に装着されている。


さらに、髪には宝石付きのヘアピンが30個以上刺さり、腰には宝石をちりばめたベルトが3本巻かれていた。歩くたびにジャラジャラと音を立て、その重量で歩行が困難になるほどだった。


「素敵でしょう、アレクサンダー?」


ミリリィアは嬉しそうに回転してみせた。しかし、装身具の重量でバランスを崩し、よろめいてしまった。


「ミリリィア!」


アレクサンダーが慌てて支えた。


「重すぎて、まともに歩けないじゃないか」


「でも、美しいものは美しいの」


ミリリィアの目が、異様にキラキラと輝いていた。これは明らかに、龍族の血に宿る財宝への執着が表面化したものだった。


「昨日、街で見つけたダイヤモンドよ。一つ金貨50枚もしたの」


「金貨50枚?そんな大金を……」


「大金?」ミリリィアは首をかしげた。「これくらい安いものよ。もっと大きなダイヤモンドも欲しいわ」


アレクサンダーは妻の変化に戸惑った。以前のミリリィアは、確かに美しいものを好んではいたが、ここまで極端ではなかった。


「ミリリィア、君は王妃だ。もう少し品格を……」


「品格?」ミリリィアは不機嫌そうに言った。「私の品格は、美しいものを身に着けることで表現されるの」


「しかし、それでは日常生活に支障が……」


「支障?」ミリリィアの目が縦瞳になった。「アレクサンダー、あなたは私の宝物を否定するの?」


龍族の血が騒いでいる証拠だった。財宝への執着は、もはや理性的な判断を超えていた。


娘のエリー(75歳、外見45歳)も、母親の変化を深刻に受け止めていた。


「お母様、最近本当におかしいです」


エリーは父親に相談した。


「先日など、宝石店で金貨300枚も使って、必要のない装身具を買い込んでいました」


「300枚?」


アレクサンダーは青ざめた。それは一般市民の年収の3倍に相当する金額だった。


「しかも、『これでもまだ足りない』と言うんです」


エリーの目にも心配の色が浮かんでいた。


「お母様の部屋を見たことがありますか?もう、足の踏み場もないほど宝石と装身具で埋め尽くされています」


「そこまで……」


「そして、それらを一日中磨いて、数えて、眺めているんです」


これは明らかに、病的な症状だった。龍族の財宝収集本能が、人間の理性を完全に圧倒していた。


さらに深刻だったのは、ミリリィアの行動が曾孫たちにも影響を与え始めていることだった。


「ひいおばあちゃま、僕にも宝石を買って」


エリーの息子ルーク(45歳、外見30歳)の息子、つまりミリリィアの曾孫であるティミー(15歳、外見15歳)が、無邪気に言った。


「もちろんよ、ティミー」


ミリリィアは嬉しそうに答えた。


「美しいものを愛するのは、龍族の誇らしい血筋の証拠よ」


「ミリリィア、子供にそんなことを教えては……」


アレクサンダーが制止しようとしたが、ミリリィアは聞く耳を持たなかった。


「アレクサンダー、あなたは龍族の誇りを理解していない」


ミリリィアの目が、完全に縦瞳になった。


「美しいものを集めることは、私たちの本能よ。それを否定することは、私たちの存在を否定することと同じ」


この理屈は、一見すると合理的に聞こえた。しかし、それは欲望を正当化するための詭弁でしかなかった。


鱗売りブームは、王国の経済基盤を根底から揺るがし始めていた。


「就労率が危険水域まで低下しています」


労働大臣のエドワード・ワークハンマー(龍人族、57歳、外見40歳)が、血相を変えて報告した。


「2年前は85%だった就労率が、現在は58%まで下がっています」


「原因は?」


クラル王が尋ねるまでもなく、答えは明らかだった。


「鱗売りです」エドワードは苦々しく言った。「龍人族の40%以上が、定職に就くことを放棄しています」


実際、王国の主要産業は軒並み人手不足に陥っていた。


「今年の小麦の収穫量が、昨年の60%まで低下する見込みです」


農業大臣のフランク・ハーベスター(魔人族、142歳)が、深刻な表情で報告した。


「理由は、農業従事者の大幅な減少です」


龍人族の若者たちが、こぞって農業を放棄していた。


「『汗水流して働くより、鱗を売った方が楽』だそうです」


フランクは悔しそうに拳を握った。


「私たちが何十年もかけて築き上げた農業技術が、無駄になってしまいます」


商業部門でも同様の問題が発生していた。


「港湾労働者の3分の2が、仕事を放棄しました」


港湾管理局長のジェームズ・ドックワーカー(龍人族、63歳、外見45歳)が報告した。


「彼らは皆、『鱗を売って金持ちになった』と言って、仕事を辞めていきます」


港は王国経済の生命線だった。そこが機能停止すれば、国際貿易も麻痺してしまう。


「工場でも同じです」


工業大臣のロバート・ファクトリー(龍人族、69歳、外見50歳)が続けた。


「熟練工が次々と退職し、生産能力が半分以下になっています」


「代替人員は?」


「魔人族の高齢者と、一部の龍族に頼っているのが現状です」


しかし、魔人族は既に高齢化が進んでおり、龍族は元々人数が少ない。労働力の不足は深刻だった。


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