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冒険者適性Aランク でも俺、鍛冶屋になります  作者: むひ
クラルの章

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偽りの理想郷 ネオニッポン:快楽の国への招待

3ヶ月後:ネオニッポン最高会議室


「諸君、次の段階に移行します」


アスモデウス・ドミニオンが重要な発表を行った。


「ネオニッポンを異世界諸国に開放し、『快楽の国』として各国から人を呼び込みます」


他の悪魔たちが興味深そうに身を乗り出した。


「具体的には?」


ベリアル・ナレッジが詳細を求めた。


「交易都市として、娯楽都市として」


アスモデウスが壮大な計画を説明した。


「異世界の人々に、我が国の素晴らしさを体験してもらうのです」


異世界への宣伝活動


ベリアルの魔法技術により、異世界各国に巧妙な宣伝が配信された。


魔法伝達による宣伝内容

『ネオニッポン:究極の快楽と癒しの都市国家』

『すべての欲望が叶う、夢の楽園』

『昼夜問わず、あらゆる娯楽が体験できる』

『異世界最高水準のサービスと、良心的な価格設定』


宣伝内容

- 巨大なカジノと賭博場

- 世界最高の娼館サービス

- 完璧に再現された東方文化

- 異世界各国の料理が味わえるグルメ天国

- 魔法技術による娯楽施設


「異世界最大規模の娯楽都市を建設してください」


アスモデウスがバエルに指示した。


メガ・カジノ『ネオベガス』

- 総床面積:王宮5つ分の規模

- 魔法スロット装置:1,000台

- カードゲーム台:500台

- ルーレット:100台

- 異世界各国のギャンブル


宿泊施設『パラダイス・タワー』

- 20階建て、2,000室

- 各室に専用サキュバス・コンシェルジュ

- 屋上に巨大な魔法温泉

- 最高級エステ・マッサージ


娯楽会場『エターナル・シアター』

- 収容人数:5,000名

- 毎晩異なるサキュバスによるショー

- 幻術と魔法の融合演出


開放から1ヶ月後の状況


ネオニッポンには異世界各国から来訪者が押し寄せた。


西方商業国の大商人:ハンス・ゴールドマン


「これは...驚異的だ」


ハンスが巨大なカジノを見回した。


「我が国の王宮賭博場など子供騙しに見える」


カジノでは美しいサキュバス・ディーラーが出迎えた。


「いらっしゃいませ。初めてお越しでいらっしゃいますか?」


「ああ、初めてだ」


「でしたら、歓迎の印として金貨100枚分のチップをプレゼントいたします」


「え?無料で?」


「はい。ごゆっくりお楽しみください」


ハンスは3時間で金貨500枚を儲け、完全に魅了された。


北方騎士国の女騎士:エリカ・アイアンハート


「なんと美しい都市なのだ...」


エリカが娼館街を歩いていた。


「男性向けだけでなく、女性向けのサービスもあるのか」


サキュバス(男性形態)が声をかけた。


「お疲れ様でございます。いかがですか?」


「私のような騎士でも利用できるのか?」


「もちろんです。高貴なる女性のお客様も大歓迎です」


エリカは人生初の極上サービスに完全に虜になった。


多くの来訪者が予定を大幅に延長していた。


「商会?任せておけ」


ハンスが魔法通信で部下に告げた。


「ここに商館を建てることにした」


「え?ハンス様、正気ですか?」


「正気だとも。ここは商人の楽園だ」


訪れた男女問わず、皆等しく快楽に落ちていく。


- カジノで大勝利を重ねる快感

- サキュバスとの極上サービス

- 高級料理とエンターテイメント

- 全てが思い通りになる万能感


元戦士たちの現在


翔太と美月をはじめとする元戦士たちは、もはや戦争のことを忘れていた。


「魔王クラル?」


翔太が首をかしげた。


「ああ、なんか悪い奴がいるって話だっけ?」


「でも、そんなことより今度の新しいアトラクション楽しみじゃない?」


美月が無関心に答えた。


「魔法で色んな幻想世界を体験できるんでしょ?」


- 正義への使命感:完全消失

- 魔王討伐への意志:皆無

- 戦闘訓練への興味:ゼロ

- 快楽への関心:最大


「僕たち、何で戦う必要があったんだっけ?」


元戦士の一人が疑問を口にした。


「知らない。でも今が楽しければいいじゃん」


「そうそう。毎日が楽しくて最高」


- 朝:カジノで遊ぶ

- 昼:高級食堂で食事

- 午後:娼館やエステでリラックス

- 夜:ショーを見て、酒場で踊る


もはや教育も訓練も存在しない、純粋な快楽追求の日々だった。


ベリアルが脅威の経済効果に驚きを示す。


「異世界の富裕層が、競うように大金を落としています」


サキュバス・サービスの料金体系


エンチャントレスが料金体系を説明した。


「幸福度を最優先に考慮した価格設定です」


ブロンズ・コース(1時間)

- 料金:銀貨10枚

- 基本的なサキュバス・サービス

- 好みの外見への変身

- 基本的な快楽提供


シルバー・コース(2時間)

- 料金:金貨3枚

- 高度なサキュバス技術

- 完璧な理想相手への変身

- 極上の快楽体験


ゴールド・コース(4時間)

- 料金:金貨8枚

- 最高級サキュバス・サービス

- 複数同時サービス

- 人生最高の快楽保証


プラチナ・コース(24時間)

- 料金:金貨30枚

- 専属サキュバス・コンシェルジュ

- あらゆる願望の実現

- 記憶に残る最高の体験


「異世界の相場と比較して、約70%の良心価格です」


アスモデウスが価格戦略を説明した。


「高すぎると幸福度が下がり、魂の品質に影響します」


完璧なカスタマイズ・サービス


「お客様の理想の相手に変身いたします」


サキュバスが客に説明していた。


変身可能パターン

- 年齢:18歳〜40歳の範囲で調整

- 種族:人間、エルフ、獣人等に対応

- 体型:スレンダーからグラマラスまで

- 性格:従順から積極的まで

- 特殊:初恋の人や故人の再現


「亡くなられた恋人に似せることも可能です」


「肖像画があれば完璧に再現できます」


この完璧なサービスにより、客の満足度は100%を記録していた。


2週間後:グランベルク王国


「レイモンド、ネオニッポンの調査結果はいかがでしたか?」


クラル王が執務室で報告を求めた。


「陛下...」


レイモンドが困惑した表情を見せた。


「何か問題がありましたか?」


「いえ、問題というより...驚愕というべきでしょうか」


1週間前:ネオニッポン入国


レイモンドは商人に変装してネオニッポンに潜入していた。


「これは...」


国境を越えた瞬間、レイモンドは息を呑んだ。


圧倒的な文明レベル

- 高層建築群(王都以上の規模)

- 完璧な都市インフラ

- 最新魔法技術の交通システム

- 美しすぎる街並み


「グランベルクとは...比べものにならない」


レイモンドが愕然とした。


技術力の差

- 建築技術:グランベルクの数百年〜数千年先

- 魔法システム:科学と魔法の融合

- 娯楽技術:想像を絶するレベル

- サービス水準:完璧すぎる接客


「我が国は...田舎の村だったのか」


「いらっしゃいませ!」


通りの酒場で、美しい店員サキュバスが声をかけた。


「初めてのお客様ですね。特別サービスいたします」


「え?何もしていないのに?」


「お疲れ様でした。ネオニッポンへようこそ」


この一言で、レイモンドは心地よい安らぎを感じた。


(なんという接客レベル...)


食堂で食事をすると、これまで食べたことのない美味しさだった。


「これは...魔法料理か?」


「いえ、当店自慢の特製料理です」


料理長サキュバスが説明した。


「材料から調理法まで、すべてにこだわっています」


レイモンドは1週間の調査で、攻撃が停止した理由を理解した。


「なるほど...彼らは進攻に興味を失ったのか」


観察結果

- 元戦士たちは完全に快楽に夢中

- 戦争への関心は皆無

- 毎日が娯楽とサービスで満たされている

- 外の世界への興味を完全に失っている


「唐突に進攻がなくなったのは、何か大変なことが起こったからではない」


「ただ単に、彼らが進攻することに興味がなくなっただけだ」


レイモンドは賭博について多少の知識があった。


「これくらいなら分かる」


カードゲーム台に着席した。


「いらっしゃいませ」


美しいディーラー(サキュバス)が微笑んだ。


「初回の方には、特別にチップをプレゼントしています」


「無料で金貨10枚分です」


- 最低賭金:銅貨1枚

- 飲み物:無料

- 食事:格安(高級料理が銀貨1枚)

- 宿泊:1泊金貨5枚(宮殿級の部屋)


「これは...安すぎる」


レイモンドが困惑した。


良心的すぎる価格設定により、レイモンドは予定より長く滞在してしまった。


「気がつけば3日も...」


「これ以上いると、任務を忘れてしまう」


慌てて調査を中断し、グランベルクへの帰還を決断した。


「陛下、率直に申し上げます」


レイモンドが重い口調で報告した。


「我が国は、あらゆる面でネオニッポンに劣っています」


「技術、文化、サービス、建築、娯楽...何もかもが負けています」


クラル王が沈黙した。


「そして、彼らが攻撃を止めた理由は単純です」


「我々を征服する必要性を感じなくなったのです」


「彼らにとって、我が国など取るに足らない存在になってしまった」


レイモンドの報告により、グランベルク王国は新たな現実に直面することになった。


「つまり...我々は見下されているということですか?」


クラル王が複雑な表情を浮かべた。


「敵視すらされていない...」


「そういうことになります」


レイモンドが頷いた。


「しかし、それより深刻な問題があります」


「何ですか?」


「あの国は...人を堕落させる力を持っています」


レイモンドが警告した。


「私自身、3日間で完全に魅了されてしまいました」


「もう少し長くいたら、帰ってこれなかったかもしれません」


ネオニッポンの真の脅威は、武力ではなく魅力にあった。


人々を幸福にし、快楽を与え、すべての欲望を満たす。


その結果、誰もがネオニッポンから離れたくなくなる。


これこそが、悪魔たちが仕掛けた最も恐ろしい罠だった。


武力で征服するのではなく、快楽で支配する。


抵抗する意志すら奪ってしまう、完璧な支配システム。


クラル王は、これまでとは全く異なる種類の脅威に直面していることを理解した。

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