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冒険者適性Aランク でも俺、鍛冶屋になります  作者: むひ
ケイの章

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序章:流れ星の夜

長時間労働と寒さでダウンし、執筆できていません。早く暖かくなって、、、

**交易都市、ケイの宿**


窓から、無数の流れ星が見える。


ケイは、書類を整理しながら、その光景を一瞥する。


「流星群か。珍しい」


彼は興味を失い、再び書類に目を戻す。


だが――


その時、一通の手紙が、扉の下から滑り込んできた。


ケイは手紙を拾い、開封する。


封蝋には、エルドラン王国の紋章。


手紙の内容:


「拝啓

初めてお便りいたします。私はエルドラン王国財務官、リオン・フェルナンドと申します。


貴殿の名声は、遠くこの国にも届いております。困窮する企業や都市を、次々と再生させる奇跡のコンサルタントと。


今、我が国は死に瀕しております。しかし誰もそれを認めず、変化を恐れております。


貴殿の力で、この国の『効率』を取り戻していただきたく、お願い申し上げます。


報酬は、銀貨一万枚。決して少なくない額かと存じます。


ですが――貴殿が注目されるのは、別の事実かもしれません。


このままでは、500万の家族が路頭に迷います。最後の砦である魔導馬車産業が崩壊すれば、この国は終わります。


そして――その波及効果は、大陸全土に及びます。貴殿が活動する交易都市も、無関係ではいられません。


ご検討いただければ幸いです。


敬具

リオン・フェルナンド」


ケイは、手紙を読み終えると、窓の外を見る。


流星群は、まだ続いている。


「500万の市場崩壊か」


彼は、頭の中で計算を始める。


エルドランの魔導馬車産業が崩壊すれば――


交易路が混乱する。


物流コストが上昇する。


連鎖的に、各地の産業が打撃を受ける。


最終的な経済損失は――


「……莫大だ」


ケイは決断する。


「行くか」


彼は、荷物をまとめ始める。


その時――


街の広場から、騒ぎ声が聞こえてくる。


ケイは窓から外を見る。


人々が、広場の中央に集まっている。


何か――光るものが、浮かんでいる。


ケイは宿を出て、広場に向かう。


**場面:交易都市、中央広場**


人々の輪の中央に――


一冊の本が、浮かんでいた。


黒い革装丁。表面には、金色の魔法陣が刻まれている。そして――光り輝いている。まるで、月明かりのように。


「何だ、あれは」


「本?」


「浮いてる」


「触っても大丈夫なのか」


人々は、恐る恐る見つめている。


一人の若者が、手を伸ばす。


本が――開く。


ページが、ゆっくりとめくられる。


そこには、古代語で何かが記されている。


若者は、文字を読み上げる。


「汝の魂に応じし者を、深淵より呼び出さん」


「契約により、汝の望みを叶えん」


「されど、対価を忘るるなかれ」


人々がざわめく。


「悪魔を呼ぶ本?」


「願いを叶えてくれる?」


「でも、対価があるって」


ケイは、その様子を冷静に観察する。


本は本物だ。魔力を感じる。古代の魔法――召喚術。


「興味深い」


彼は、その場を後にする。


だが――心の片隅で、考えている。


「あの本が、エルドランにも現れているなら――」


「状況は、さらに複雑になる」


### 第一章:灰色の国へ


**場面:エルドラン王国、国境**


三日後。


ケイは、魔導馬車でエルドランの国境に到着する。


国境検問所。古い石造りの建物。壁には、無数のヒビが入っている。


検問官は、70歳ほどの老人。動作が遅い。


「パスポートを」


ケイは、パスポートを差し出す。


老人は、それを受け取ると――


まず、パスポートを光に透かして偽造チェック。


次に、虫眼鏡で細部を確認。


そして、分厚い台帳を開き、ページをめくり始める。


ケイは、黙って待つ。


5分が経過。


10分が経過。


15分が経過。


ようやく、老人が口を開く。


「名前は?」


「ケイ。パスポートに記載されている」


「生年月日は?」


「これもパスポートに」


「目的は?」


「商談」


老人は、さらに台帳に何かを書き込む。


そして――


別の部屋に消える。


さらに10分が経過。


老人が戻ってくる。手には、上司らしき別の老人を連れている。


上司老人が、ケイのパスポートを再度確認する。


同じ手順を、もう一度繰り返す。


さらに20分が経過。


ようやく――


「入国を許可する」


パスポートに、封蝋のスタンプが押される。


合計所要時間:45分。


ケイは、何も言わずに国境を越える。


だが――心の中で、呟く。


「……この国は、本当に死にかけている」


**場面:エルドラン王国、首都への道**


国境から首都への道。


魔導馬車が走る。だが――


道路の状態が、悪い。


穴だらけ。石畳が剥がれている。補修の形跡がない。


馬車は、何度も大きく揺れる。


ケイは、窓から外を見る。


畑がある。だが――


作物の育ちが悪い。雑草が生い茂っている。農夫の姿は見えない。


村がある。だが――


建物が古い。壁は崩れかけ、屋根は穴だらけ。人の姿は少ない。


工房がある。だが――


煙突から煙が出ていない。稼働していない。


全てが――停止している。


まるで、時間が止まったかのように。


ケイは、ノートを取り出し、メモを始める。


「インフラの老朽化、深刻」


「農業生産性、低下」


「工業活動、停滞」


「人口密度、低い」


「総合評価――」


彼は、ペンを止める。そして、一言だけ書く。


「末期」


**場面:エルドラン王国、首都**


夕方。首都に到着。


だが――


ケイは、言葉を失う。


街並みが――古い。


100年前の絵画に描かれているような、古風な建築。


石畳は、摩耗して凹凸だらけ。


街灯は、魔法ではなく、古いランプ式。しかも半分が壊れている。


看板は、色あせて判読困難。


そして――


人々の服装も、古い。100年前の様式。


ケイは、馬車を降り、街を歩く。


魔導具店がある。


ケイは、店に入る。


店内には、古い魔導具が並んでいる。全て、50年以上前の型式。


店主は、60代の男性。


「いらっしゃいませ」


ケイは、商品を見る。


「これは――『エルドラン式魔導灯TYPE-7』?」


「はい。我が国が誇る、最高傑作です」


「50年前の型式だが」


店主の表情が、僅かに曇る。


「……伝統の証です」


「南方では、10分の1のサイズで同じ光量の魔導灯が」


「南方の製品など」


店主の声が、冷たくなる。


「我々の品質には及びません」


ケイは、それ以上何も言わずに店を出る。


次に、官公庁の建物に向かう。


入口で、書類を提出する。


受付の役人は、70代の老人。


「何の用件で?」


「財務官リオン・フェルナンド殿との面会」


「予約は?」


「手紙で連絡済み」


役人は、分厚い台帳を開く。


ページをめくる。遅い。


5分が経過。


「……確かに、記録があります。しかし」


「しかし?」


「面会には、三つの部署の許可が必要です」


「三つ?」


「はい。第一受付、第二審査、第三承認」


「それぞれに、申請書を提出してください」


ケイは、無表情で尋ねる。


「所要時間は?」


「最短で、3時間です」


ケイは、深く息を吸う。そして――


「分かった。申請書をくれ」


**場面:官公庁、待合室**


3時間後。


ようやく、リオンとの面会が許可される。


だが――


ケイは、待合室で待たされている。


室内には、他にも数人の来客が座っている。


皆、老人。


誰も話さない。ただ、黙って座っている。


表情は、虚ろ。


まるで――


生きているように見える死体。


ケイは、その様子を観察する。


これが――


エルドランの現実。


ようやく、扉が開く。


若い男性が現れる。茶髪、緑の瞳。端正な顔立ち。書類を抱えている。


「ケイ様ですか?」


「そうだ」


「お待たせしました。リオン・フェルナンドです」


二人は握手する。


リオンの手は、震えている。緊張しているのか。それとも――


「こちらへ」


リオンは、ケイを応接室に案内する。


**場面:応接室**


部屋は広いが、古い。


家具は100年前の様式。


窓からは、首都の街並みが見える。だが――活気がない。


リオンは、ケイに椅子を勧める。


「まず――遠路はるばる、ありがとうございます」


「礼はいい。状況を説明してくれ」


リオンは、頷く。そして――


資料を広げる。


「我が国の魔導馬車産業――かつては大陸最大でした」


「市場シェア80%。年間生産台数10万台。雇用人口200万人」


「だが――」


彼の表情が、暗くなる。


「現在は――」


「市場シェア12%。年間生産台数8千台。雇用人口30万人」


ケイは、資料を見る。グラフが、急降下している。


「原因は?」


「南方の軽量魔導車です。我々の製品の半分の重量、2倍の速度、半分の価格」


「技術革新に遅れた」


「いえ――」


リオンは、苦しそうに答える。


「技術革新を、拒否しました」


ケイは、眉をひそめる。


「拒否?」


「はい。10年前、若い技術者が軽量化の提案をしました。だが――guildが却下しました」


「理由は?」


「『伝統に反する』と」


ケイは、暫く沈黙する。そして――


「つまり、自滅したわけだ」


リオンは、何も答えられない。ただ、頷くだけ。


ケイは、さらに尋ねる。


「他にも問題は?」


「あります。官僚機構の硬直化。貴族会議の保守化。若者の機会の剥奪。形式主義の蔓延。そして――」


リオンの表情が、暗くなる。


「生命の否定」


「生命の否定?」


「はい。妊娠・出産に対する差別です。少子化が進行していますが、誰も本当の原因を見ようとしません」


ケイは、興味を示す。


「詳しく聞かせてくれ」


リオンは、深く息を吸う。そして――説明を始める。


### エルドラン七大儀礼の説明


(※以降、原文のリオンによる七大儀礼の説明が続く)


**リオンの説明**


「まず、第一儀礼――席次の絶対法則」


(中略)


「これが――我が国の現実です」


ケイは、暫く沈黙する。


そして――


「……これは」


彼の声が、低く響く。


「組織的自殺だ」


リオンは、何も答えられない。


ケイは、窓の外を見る。夕日が、古い街並みを照らしている。


「この国は――死んでいる」


「いや、死にかけている」


「そして――」


彼の目が、鋭くなる。


「誰も、それに気づいていない」


リオンは、震える声で尋ねる。


「では――どうすれば」


ケイは、リオンを見る。


「まず――」


彼は、懐から何かを取り出す。


小さな、黒い本。


リオンは、それを見て――目を見開く。


「それは――」


「召喚の本だ。闇市場で手に入れた」


「まさか――」


「ああ。使う」


ケイの目が、決意に満ちる。


「人間の力だけでは、この国は変えられない」


「悪魔の力を借りる」


リオンは、恐怖と期待の混ざった表情で、ケイを見つめる。


「……本当に、大丈夫なんですか」


ケイは、冷静に答える。


「保証はない。だが――何もしないよりはマシだ」


彼は、本を仕舞う。


「今夜、召喚を行う。場所を貸してくれ」


リオンは、暫く考える。そして――


「……分かりました。古い塔があります。誰も使っていません」


「案内してくれ」


二人は、部屋を出る。


廊下を歩きながら、リオンが小声で尋ねる。


「ケイ様――あなたも、流れ星の夜に本を見たんですか」


「ああ」


「私も――実は、本を持っています」


ケイは、立ち止まる。


「使ったのか?」


「いえ。まだです。怖くて」


「賢明だ。だが――」


ケイは、再び歩き出す。


「いずれ、使うことになるだろう」


「この国を変えるには、それしかない」


### 物語は始まったばかり


夜。


古い塔の最上階。


満月の光が、床に描かれた召喚魔法陣を照らしている。


ケイは、魔法陣の中央に立つ。


手には、召喚の本。


リオンは、部屋の隅で見守っている。


ケイは、本を開く。


古代語の呪文が、記されている。


彼は、深く息を吸う。


そして――


呪文を唱え始める。


魔法陣が、輝き始める。青白い光。


空間が、歪む。


そこから――


何かが、現れようとしている。


ケイは、呪文を唱え続ける。


魔法陣の光が、さらに強くなる。


空間の裂け目が、大きくなる。


そして――


一人の男が、現れた。


金色の髪。青い瞳。圧倒的な存在感。


だが、その表情には――僅かな疲れが見える。


男は、ケイを見て、小さく笑う。


「成程。君が私を呼んだのか」


ケイは、警戒しながら答える。


「あなたは――」


「クラル・ヴァイス。かつて神王と呼ばれた者だ」


クラルは、部屋を見回す。古い石造り。埃っぽい空気。


「今は魔界の住人だが――」


彼の目が、ケイに戻る。


「君の本質を見た」


「効率を追求し、結果を求め、感情を排する」


「だが――」


クラルの目が、鋭くなる。


「心の奥底には、罪悪感と贖罪の願いがある」


ケイは、動揺するが、表情には出さない。


「契約の条件は?」


クラルは、真剣な目でケイを見る。


「君の望みを叶えよう」


「この国の改革を、私の力で支援する」


「対価は――」


彼は、一呼吸置く。


「君の『未来の幸福』だ」


ケイは、一瞬、息を呑む。


「未来の――幸福?」


「ああ。君がこれから得るかもしれない、全ての個人的な幸せだ」


「愛、家族、安らぎ――」


「全て、私がもらう」


部屋に、静寂が落ちる。


リオンは、息を呑んで見守っている。


ケイは、暫く考える。


窓の外では、月が輝いている。


そして――


「構わない」


ケイの声が、静かに響く。


「私に幸福は必要ない」


「結果があれば十分だ」


クラルは、微笑む。


「では――契約成立だ」


二人の間に、光の紐が現れる。


それは、ケイの胸とクラルの胸を繋ぐ。


契約の証。


ケイの右手に、紋章が浮かび上がる。


神王の紋章。複雑な幾何学模様。そして――青白く輝く。


クラルは、ケイに言う。


「一つ、警告しておく」


「何だ?」


「この国の死気は――尋常ではない」


「100年間の停滞が、あらゆるものを腐らせている」


「改革は、容易ではない」


「人々は変化を恐れ、死を選ぶかもしれない」


ケイは、頷く。


「分かっている」


「だが――」


彼の目が、決意に満ちる。


「やるしかない」


クラルは、笑う。


「良い答えだ」


リオンが、恐る恐る前に出る。


「あの――」


クラルは、リオンを見る。


「君も、召喚の本を持っているな」


リオンは驚く。


「なぜ分かるんですか」


「君のエーテルに、本の痕跡が残っている」


「使うつもりはあるか?」


リオンは、ケイを見る。


ケイは、頷く。


「使え。一人では足りない」


リオンは、決意する。


「……分かりました」


「今夜、私も召喚します」


クラルは、二人を見る。


「では――」


「明日から、調査を始めよう」


「この国の実態を、完全に把握する」


「そして――」


彼の目が、鋭くなる。


「改革の計画を立てる」


窓の外では、月が雲に隠れ始めている。


古い塔は、静寂に包まれている。


だが――


その静寂の中で――


新しい物語が、始まろうとしていた。


設定を細かく練る予定です。3/10 0:25


次回の投稿は未定 週一休みの合間で作るのでかなり長引く可能性あり。

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