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焦土作戦の実行!

「新作戦の概要は至って単純明快です」


王国の軍事顧問、ヴィクター・アイアンクラッド将軍が説明を始めた。集まった高位魔法使いと護衛の冒険者たちの前で、大きな地図が広げられている。


「グリムハウンドの群れを発見次第、広範囲魔法による爆撃を実施します」


「爆撃...ですか」


エリアナ・ストームコーラーが眉をひそめた。


「はい。従来の個別戦闘は放棄し、圧倒的火力による殲滅作戦に切り替えます」


将軍の説明は続いた。「魔法使いの皆様には、最大威力での範囲攻撃をお願いします」


「さらに、グリムハウンドが潜伏している可能性のある森林は、全て焼き払います」


この発言に、会議室がざわめいた。


「森林を全て...ですか?」


Aランク魔法使いの一人、フレイア・インフェルノが確認した。


「そうです。グリムハウンドたちの隠れ家を根こそぎ破壊します」


将軍は冷酷に答えた。「草一本残さず、完全に焼き尽くしてください」


クラルは胸の奥に不安を感じていた。これは戦術というより、もはや環境破壊に近い。


「しかし、将軍」


年配のAランク魔法使い、セオドア・ウィズダムが懸念を示した。「森林を全て破壊すれば、生態系が完全に崩壊します」


「承知しています」


将軍は頷いた。「今後、この地域がどのようになるかは未知数です」


「それでも実行するのですか?」


「はい。現在の緊急事態を考えれば、やむを得ない選択です」


確かに、状況は刻一刻と悪化していた。


「昨日だけで、また2つのチームが消息を絶ちました」


バルドリックが最新の報告を行った。「そのうち1つは、Bランク冒険者3名とCランク冒険者2名の混成チームです」


「今週の被害者は計12名になります」


数字だけ聞けば統計のようだが、それは12名の人間の命が失われたということだった。


「このペースが続けば、1ヶ月以内にグランベルクの冒険者は全滅します」


「一般市民の恐怖も限界に達しています」


王国の民政官が報告した。


「街では外出を控える人々が増加し、商業活動も大幅に縮小しています」


確かに、グランベルクの街を歩いていても、以前の活気は感じられなかった。人々は怯えた表情で急ぎ足で歩き、子供たちの笑い声も聞こえない。


「夜間は完全に人通りが途絶えます」


「市民の多くが、王都への避難を希望していますが...」


「しかし、国境封鎖により避難も困難な状況です」


これが最も深刻な問題だった。危険から逃れたい市民たちが、事実上閉じ込められている状態だった。


「魔法使いの招集が完了するまで、封鎖を解除するわけにはいきません」


「つまり、市民たちは恐怖の中で耐え続けるしかないということですね」


クラルは市民たちの心境を思いやった。


「まさに悪夢のような期間です」


エリアナが呟いた。「強力な冒険者たちが次々と餌食になっていく光景は、一般市民にとって絶望そのものでしょう」


確かに、頼りにしていた守護者たちが次々と消えていく状況は、市民たちの心を深く傷つけていた。


「子供たちは夜眠れず、大人たちは仕事に集中できない」


「このような状況を一日でも早く終わらせなければなりません」


「では、明日から焦土作戦を開始します」


将軍が最終決定を下した。


「第一目標は、グランベルク北東の森林地帯です」


地図上の広大な森林が赤いマーカーで囲まれた。


「魔法使いチームA、B、Cが同時攻撃を実施します」


「雷撃魔法による焼き払いを担当します」


エリアナが自分の役割を確認した。


「私は炎系魔法で森林を燃やし尽くします」


フレイア・インフェルノも準備を始めた。


「では、私は風系魔法で炎を拡散させましょう」


それぞれの魔法使いが、破壊的な魔法の準備を始めていた。


「我々護衛の役割は?」


クラルが確認した。


「魔法使いの皆様が魔法詠唱に集中できるよう、周囲の安全を確保してください」


「グリムハウンドが接近してきた場合の迎撃も含みます」


これまでとは全く違う戦闘スタイルになりそうだった。


翌朝、第一次焦土作戦が開始された。


「目標地点に到着しました」


クラルたちは、グランベルク北東の森林地帯を見下ろす丘の上にいた。眼下に広がる深い森は、間もなく消失することになる。


「魔法使いの皆様、準備はよろしいですか?」


「準備完了」


エリアナをはじめとする高位魔法使いたちが、それぞれ詠唱を開始した。


「サンダーストーム・デバステーション!」


エリアナの雷撃魔法が森林を襲った。


「インフェルノ・カタストロフィー!」


フレイアの炎魔法が追い討ちをかける。


「ハリケーン・アンプリフィケーション!」


風系魔法使いの強風魔法が、炎を森全体に拡散させた。


わずか30分間の魔法攻撃で、広大な森林が完全に消滅した。


「これは...」


クラルは言葉を失った。緑豊かだった森林が、黒く焼けた荒野に変貌している。


「効果は絶大ですね」


しかし、その光景には美しさのかけらもなかった。


「グリムハウンドの死骸を20体確認しました」


偵察に向かったリナが報告した。


「逃げ延びた個体もいるようですが、相当数を討伐できました」


作戦としては成功だった。しかし、代償も大きい。


「鳥たちの死骸も大量に...」


ガレスが重い表情で報告した。


「小動物たちも逃げ切れなかったようです」


森林と共に、無数の無関係な生き物たちも犠牲になっていた。


「第二目標、西の森林地帯に移動します」


将軍の指示で、部隊は次の攻撃地点に向かった。


一日で3つの森林地帯を攻撃し、グランベルク周辺の森林の約30%が消失した。


その夜、作戦の成果が検証された。


「本日の討伐数は推定60体」


「森林面積の約30%を焼き払いました」


数字上は大きな成果だった。


「しかし、これで本当に良いのでしょうか」


エルザが疑問を口にした。


「環境への影響が深刻すぎます」


「でも、他に選択肢がありますか?」


ユーリが現実的な意見を述べた。「このまま放置すれば、人的被害はさらに拡大します」


「必要悪と考えるしかありません」


クラルは苦渋の決断を下した。「市民の安全が最優先です」


確かに、理想的な解決策ではない。しかし、現実的には最も効果的な方法でもあった。


「明日は南東の森林地帯を攻撃します」


翌日の作戦も既に決定していた。


「この調子で行けば、1週間以内に全ての森林を焼き払えるでしょう」


しかし、クラルの心には重い疑問が残っていた。


「森林が全て消失した後、この地域はどうなるのだろうか」


生態系の破綻、気候の変化、土壌の劣化。様々な問題が予想された。


「でも、今は目の前の脅威を排除することが最優先だ」


グランベルクの街では、今夜も市民たちが恐怖の中で夜を過ごしていた。


魔法爆撃の光と音が聞こえることで、少しは希望を感じているかもしれない。しかし、根本的な解決まではまだ時間がかかりそうだった。


焦土作戦開始から2日目、攻撃範囲はさらに拡大していた。


「本日は南東森林地帯を完全焼却します」


ヴィクター将軍が朝の作戦会議で宣言した。


「昨日の成果を踏まえ、より効率的な攻撃パターンを実施します」


エリアナをはじめとする魔法使いたちは、既に魔法攻撃に慣れ始めていた。


「準備完了です」


「では、開始してください」


「メテオ・インフェルノ!」


フレイアの大規模炎魔法が森林を襲った。


「チェイン・ライトニング!」


エリアナの連鎖雷撃が、炎をさらに拡散させる。


前日以上の威力で、南東の森林が瞬く間に焼き尽くされていく。


「効率が上がっていますね」


クラルは複雑な思いで眺めていた。技術的には見事だが、破壊の規模があまりにも大きい。


魔法攻撃終了後、各チームは焼却地域の調査を開始した。


「グリムハウンドの討伐数を確認します」


リナを中心とした偵察チームが、焼け跡に向かった。


「気をつけてください。まだ高温の場所があります」


トビアスが注意を促した。


調査が進むにつれ、悲惨な光景が明らかになった。


「動物の焼死体が...大量に」


偵察から戻ったリナの表情は青ざめていた。


「鹿、狼、熊、小鳥...数え切れないほどです」


森林に生息していた野生動物たちが、逃げ切れずに焼死していた。


「中には親子らしき個体も...」


ガレスが重苦しく報告した。


しかし、最も衝撃的だったのは別の発見だった。


「こちらに来てください」


偵察チームの一人が、震え声で呼びかけた。


焼け跡の奥で、人間の焼死体が発見されたのだ。


「これは...」


クラルは息を呑んだ。黒く炭化した遺体が、苦悶の表情を浮かべたまま横たわっている。


「装備品から身元を確認します」


トビアスが慎重に調査を行った。


「この剣...見覚えがあります」


焼け焦げた武器の中に、特徴的な装飾が施されたロングソードがあった。


「これはBランク冒険者、ロバート・アイアンクラッドの愛剣です」


ロバートは、1週間前に行方不明になったチームのリーダーだった。


調査が進むにつれ、さらに多くの人間の焼死体が発見された。


「こちらにも2体」


「向こうにも1体います」


合計で7体の冒険者の遺体が発見された。すべて、過去2週間で行方不明になった冒険者たちだった。


「皆さん、炎によって死亡したわけではありません」


トビアスが検死結果を報告した。


「魔法攻撃以前に、既に死亡していました」


遺体の状況から、グリムハウンドによる攻撃で死亡し、その後に魔法の炎で焼かれたことが判明した。


「つまり、グリムハウンドたちは獲物を森の奥に運んでいたということですね」


クラルは状況を整理した。


「捕らえた冒険者を、隠れ家で...」


その先を言葉にするのは辛すぎた。


「ご遺族にはどのように報告しますか?」


エルザが心配そうに尋ねた。


「事実をありのままに伝えるしかありません」


バルドリックが重い口調で答えた。「ただし、詳細な状況については配慮が必要でしょう」


グランベルクのギルドに戻ると、発見の報告は大きな衝撃を与えた。


「7名もの冒険者が...」


「しかも、魔法攻撃で焼いてしまった」


ギルドメンバーたちの表情は暗く沈んでいた。


「この作戦は正しいのでしょうか?」


若い冒険者の一人が疑問を口にした。


「仲間の遺体を焼いてしまうなんて...」


確かに、結果的に行方不明の冒険者たちの遺体を焼却してしまったことは、深刻な問題だった。


「やむを得ない結果です」


ヴィクター将軍は冷静に答えた。


「彼らは既に死亡していました。我々の攻撃で死んだわけではありません」


「しかし、もう少し調査してから攻撃すべきだったのでは?」


「時間的余裕がありません」将軍は断言した。「毎日新たな犠牲者が出ている状況では、迅速な行動が最優先です」


結果的に、作戦は継続されることになった。


「明日は西の森林地帯を攻撃します」


「ただし、事前の偵察を強化します」


わずかな譲歩として、攻撃前の調査時間が延長されることになった。


「正直、気分が悪いです」


エリアナが率直な感想を述べた。


「仲間の遺体を焼いてしまうなんて...」


「でも、他に選択肢がありますか?」


フレイアが現実的な意見を述べた。「作戦を中止すれば、さらに多くの犠牲者が出るでしょう」


その夜、クラルは一人で考え込んでいた。


「これが正しい選択なのだろうか」


仲間の焼死体を目の当たりにして、作戦への疑問が深まっていた。


「しかし、他に効果的な方法が見つからない以上...」


一方、市民たちにとっては、わずかな希望の光が見えていた。


「魔法攻撃が続いているということは、対策が進んでいるということでしょう」


「早くこの悪夢が終わってほしい」


しかし、彼らは焦土作戦の残酷な現実を知らない。


3日間の作戦で、グランベルク周辺の森林の60%が消失していた。


「生態系への影響は計り知れません」


環境問題に詳しい魔法使いが警告した。


「土壌の劣化、気候の変化、水源への影響...」


「10年後、20年後のことを考えると...」


しかし、そんな長期的な視点は、現在の緊急事態の前では無力だった。


「今は目の前の脅威を排除することが最優先です」


「明日の攻撃では、より慎重に行動しましょう」


クラルはチームメンバーに告げた。


「事前調査を十分に行い、可能な限り遺体の回収を試みます」


「了解しました」


全員が重い表情で頷いた。


焦土作戦は継続される。しかし、仲間の焼死体発見により、作戦の残酷さが改めて浮き彫りになった。


効果的だが非人道的な戦術、環境破壊への懸念、そして仲間への罪悪感。様々な感情が渦巻く中で、クラル・ヴァイスは再び困難な選択を迫られていた。


明日もまた、森林が焼き尽くされる。そして、新たな犠牲者が発見されるかもしれない。グリムハウンド討伐作戦は、予想以上に重い代償を伴う戦いとなっていた。


焦土作戦開始から1週間、ついに最後の攻撃が実施されることになった。


「本日をもって、グリムハウンド掃討作戦は完了予定です」


ヴィクター将軍が最終作戦会議で宣言した。残っているのは、グランベルク西部の小規模な森林地帯のみだった。


「これまでで、推定300体のグリムハウンドのうち、280体以上を討伐しました」


「残り20体程度が、最後の森林に潜んでいると思われます」


エリアナを始めとする魔法使いたちも、この1週間で大きく消耗していた。連日の大規模魔法使用により、魔力の回復が追いついていない状態だった。


「最終攻撃には、全ての魔法使いが参加します」


Aランク魔法使い10名、Bランク魔法使い30名が一斉に魔法攻撃を行う。これまでで最大規模の攻撃となる。


「一気に決着をつけましょう」


フレイア・インフェルノが決意を新たにした。


「はい。長かった悪夢を終わらせます」


クラルも護衛として最後の作戦に参加する。


午前10時、最終攻撃が開始された。


「グランド・インフェルノ・ストーム!」


「メテオ・アポカリプス!」


「サンダーボルト・カタクリズム!」


40名の高位魔法使いが同時に最大威力の攻撃魔法を放った。その威力は、これまでの攻撃を遥かに上回るものだった。


わずか15分間の攻撃で、最後の森林は完全に消滅した。


「グリムハウンドの反応...消失しました」


偵察魔法による確認で、最後のグリムハウンドたちも殲滅されたことが判明した。


「作戦完了です」


ついに、2ヶ月間続いた悪夢が終わった。


「グリムハウンド討伐作戦、完全終了」


この発表と共に、グランベルク全体に安堵の空気が流れた。


「国境封鎖も明日より解除されます」


「市民の皆様も、安心して日常生活にお戻りください」


しかし、周囲に広がるのは一面の焼け野原だった。かつて豊かな森林に覆われていた土地は、黒く焼けた荒野に変貌していた。


「これは...壮絶ですね」


クラルは変わり果てた景色を見回した。グランベルク周辺の森林の95%が消失し、見渡す限り焼け跡が続いている。


「生態系は完全に破綻しました」


環境に詳しい魔法使いが報告した。「この状態から自然回復するには、最低でも50年はかかるでしょう」


しかし、この焼け野原に新たな可能性を見出す者もいた。


「この土地、農業には最適かもしれません」


グランベルクの農業顧問が提案した。


「焼畑農業の原理と同じです。灰に含まれるリン酸やカリウムが、土壌を非常に肥沃にしています」


確かに、焼け跡の土壌は栄養豊富で、農作物の栽培には理想的な状態だった。


「これだけ広大な土地があれば、大規模な農業を始められます」


王国の開発担当者が興奮気味に語った。


「グランベルクを王国最大の農業地帯にできるでしょう」


具体的な計画が練られ始めた。焼け野原を農地に転換し、大規模な食料生産基地とする構想だった。


「焼畑後に最適な作物は...」


農業専門家が詳細な説明を始めた。


「まず、アブラナ科の野菜が最適です。キャベツ、小松菜、チンゲンサイ、ハクサイなど、栄養豊富な土壌で良く育ちます」


「根の深い野菜も良いでしょう。ほうれん草、人参、大根は、土壌の栄養を効率的に吸収できます」


「その他、玉ねぎ、トマト、ピーマンなども、連作障害が起こりにくく、焼畑後の栽培に適しています」


「ただし、これだけ大規模な農業を始めるには、相当な労働力が必要です」


開発担当者が課題を指摘した。


「熟練した農民を王国全土から集める必要があります」


その時、クラルの頭に一つのアイデアが浮かんだ。


「私の故郷の村の人たちが役に立つのではないでしょうか」


クラルが提案した。


「あの村の人たちは、全員が熟練した農民です。」


クラルの故郷は農業の村として知られていた。クラルがいた時は革新的な農業技術の導入を行なっており、他の村の模範となりそうだ。


「うちの村の人たちは、焼畑農業の経験もあります」


クラルは故郷の農業技術を思い出していた。


「土壌改良、水管理、作物の選定...どれも得意分野です」


「それに、大規模農業の組織運営も可能でしょう」


「依頼終了後、村に戻って相談してみます」


クラルは決意を固めた。


「この大規模農業計画に、故郷の人たちを招いてはどうでしょうか」


「それは素晴らしいアイデアですね」


開発担当者が目を輝かせた。「ぜひ検討させていただきます」


「長い戦いでした」


エリザが疲れきった表情で言った。


「でも、やり遂げました」


マーカスも満足そうだった。


「多くの犠牲はありましたが...」


ガレスが亡くなったアリスや他の冒険者たちを偲んだ。


「皆様、お疲れ様でした」


バルドリックが最終報酬を支払った。減額されてはいたが、それでも相応の金額だった。


「金貨22枚です。当初の予定より少なくなってしまい、申し訳ありません」


「いえ、これで十分です」


クラルは受け取った。金銭よりも、この経験から得たものの方がはるかに価値があった。


この2ヶ月間で、クラルは多くのことを学んでいた。


「組織指揮の技術、大規模作戦の運営、そして仲間を失う辛さ」


頭領から学んだ戦闘技術に加え、リーダーシップや危機管理能力も大幅に向上していた。


翌日、国境封鎖が解除された。


「ついに自由になりました」


クラルは解放感を味わっていた。


「故郷に帰って、村長さんと約束の話をしなければ」


4ヶ月後の約束は既に過ぎていたが、それでも帰郷する意味は大きかった。


「クラルさん、本当にお疲れ様でした」


チームメンバーたちが別れの挨拶をした。


「皆さんも、ありがとうございました」


「また機会があれば、一緒に冒険しましょう」


ユーリが笑顔で言った。


「それでは、故郷に向かいます」


クラルは軽装で旅立った。新しいショートソードと、2ヶ月間の経験を携えて。


焼け野原となったグランベルク周辺を通り過ぎながら、クラルは考えていた。


「この土地が、いずれ豊かな農地になる日が来る」


そして、故郷の人たちがその一翼を担うかもしれない。


長期依頼を通じて、クラル・ヴァイスは大きく成長していた。


個人の戦闘技術だけでなく、組織運営、危機管理、そして人間関係の構築。すべてが、これからの冒険に活かされるだろう。


故郷への道は長いが、クラルの足取りは軽やかだった。新たな可能性を胸に、彼は帰郷の途についた。

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