3話
あの後、悠真は私に初めてのことをたくさん経験させてくれた。
夏は海にプール、お祭りに花火を見て楽しんだり、
秋は紅葉狩りに行ったり美味しいものを食べに行ったりした。
冬はクリスマスにプレゼントを交換してイルミネーションも見に行った。
私は最後の一年をとても楽しく過ごすことができた。
今まで生きてきた中で1番楽しくて、色鮮やかに映った世界で、とても素敵な1年になった…
私は悠真に恋をした…
いつからかはもう分からないけど気づいたら好きになっていた。
悠真が笑ったり、顔を背けて照れたり、少し怒ってムッとした顔が可愛かった…
こんな気持ち…知らなければよかった…
もっと悠真と一緒に居たかった、どうして私は生きられないの?
恋なんて…とても胸が苦しくて…辛い…
でも…私の心が豊かになったのはきっと悠真に恋をしたから…
私は恋をしなければこんな気持ちを知らなかったけど
心が豊かになることはなくただ死ぬ運命だった…
心が豊かになっただけよかったのかな…悠真との思い出もたくさん増えた…
いろんなところに遊びに行って、お土産も買ってそれを部屋に飾って、楽しかった…
でもそろそろお別れを言わなきゃね、あっという間に月日は過ぎて1月になっちゃった…
「なぁ今日はどこに行く?」
悠真は私に話しかけた。
「ごめん、今日は用事があって行けないや。ごめんね、また今度ね」
私は悠真にそう言い、放課後は病院に向かう。
「狐白 千晴さん診察室にどうぞ」
「先生、私はあと、3ヶ月は生きられますか?」
「うーん、今すぐご両親に電話できる?」
「えっ?だめ…ですか?」
「実はね、今日検査してみたんだけど、どうにも生命反応が弱いんだよね。多分今から入院すれば3ヶ月もつけど、しなかったら1ヶ月半しかもたない。だからねご両親に電話して欲しいんだよね」
「わ、わかりました…」
私は病院の中で電話できるスペースに行き、母親に電話をした。
「もしもし…千晴だけど…」
「千晴?どうしたの?」
「あのね…今、病院にいるんだけど、先生から話があったの…」
「うん、大丈夫?」
「うん…
私ね今から入院すれば3ヶ月生きられるんだって…
でもね今、入院しないと1ヶ月半までしか生きられないんだって…
どっちがいいかな……」
「千晴…
それはあなたが決めなさい…
お母さんも、お父さんも千晴の好きなように生きて欲しいの…
私達はあなたの選択を尊重するわ…」
「じゃあ……
今は、入院しない…
ごめんね」
「それが千晴の選んだ道なら仕方ないわ…
私達はあなたの背中を押してあげることしかできないもの…」
「ありがとう….」
「先生、私は入院しません。ただ最後は入院すると思うので、できれば私の学校が見える病室にしてくれませんか?わがままを言って申し訳ありません…」
「いいや、いいわよ。悪いけど、そういうと思って病室は準備していたわ…
入院してからは任せてちょうだい」
「そうなんですね…ありがとうございます」
私と悠真は、あとの3週間をゲームセンターやショッピンモール、夕焼けの見える綺麗な丘などたくさんのところに出かけた。
土日には少し遠くの方まで行って新しい思い出も作った。
あとはもう悠真と別れるだけ…
私は悠真を好きになってよかった………
でも最後は悠真には、嫌われるようにしなきゃね…
あぁついに別れをいう日が来ちゃった…
お昼休みになり悠真の席に行く。
「悠真、今日の放課後屋上で待っててくれる?」
「おう、いいよ。でもなんで?」
「そうゆう気分なの…じゃあお願いね」
その後の午後の授業は雑音のように聞こえ、全く頭に入ってこなかった。
あっという間に放課後になりみんなが帰り始める…
30分もしたら教室から人がいなくなり、私はそっと涙流した…
学校なんて…嫌いだったのにな。
いつの間に好きになっていたんだろう…
悠真に勝負を仕掛けた日からかな…
学校にいる時間は悠真がいるからか、とても色鮮やかな世界で毎日がキラキラ輝いていて、とても楽しかった…
でもそれも今日でおしまい…
私は悠真に別れを告げたあと、保健室の先生に挨拶をしに行き、担任の先生にも挨拶に行く。最後に校長先生に退学届を出して家に帰り、明日から入院する…
実はもう学校に来るだけでも辛い…
でもそんなことは言えなかった…
自分が選んだ道だったから…
よし!悠真のところへ行こう…
きっと屋上で待っているはず…
私は悪女、悠真を悪く言ってから別れる最悪な女。
仮面を被るの、絶対に破られない仮面を……
決してみられてはいけない、涙を隠す仮面を……
「悠真、待たせてごめんね」
「いや、いいよ。それでなんで屋上なんだ?」
「実はね私、来週いっぱい来れなくなっちゃったの。だからね今日勝負の結果を発表しようかなって思ったんだ」
「じゃあ俺から、言ってもいい?」
「うん、いいよ」
「俺はさ…最初はなんだこの女って思ったよ…
でもそれは最初だけだった…
千晴と一緒にいると楽しくて、もっと一緒に居たいと思うようになった。
いつから好きになったかは分からないけど俺はずっと千晴と一緒にいたい。
俺の負けでいいから、
好きだ、これからも俺の隣にいて欲しい」




