メモリー6:中級ボス魔族マカロンと問題
お父さん、お母さん、お元気でしょうか。実のところ、私は最近体が重たくてたまりません。まるで重量級の水を常に背中に背負っているような、それでいて週の初めはいつも雨が降っているようなかったるさがあります。
私は若さゆえなのかそこまで重症な方ではないと思いますが、お父さんとお母さんはあんまり無理しないでください。
「ん〜〜〜っ。」
体をぐぐっと伸ばして私は体を朝日に当てて起きる。眠い目を擦りながら洗面所へと向かう、いつも通り水を手から出してバケツいっぱいに入れる、そしてそれを顔にかけながら洗剤などももう一つの手から出し、顔を最後に自分のタオルで拭いて
「はぁ。スッキリ。」
この最初は工程が多いと思っていた作業も今ではそんなに難しいことではないと思ってきた。
だがやはり現代人の記憶を引き継いでいるマカロンからしたらなにぶん窮屈でたまらない。
(水道管でもなんでもつけれるノウハウがあればよかったんだけど。)
そっち方面はやる機会がなかった、家の補修なんかは母親に頼まれたり、内装工事も姉の"理想の部屋計画"とかいうやつが……
「いや、そんなことはどうでもいい。とりあえず、今日も今日とて砦の改装工事しなきゃ。」
服を着替えた私は砦の外に出る。砦は外から見ればまだまだボロボロに見え、ところどころ蔦のような植物が外装に張り付いている。
「よく見ればレンガとかが欠けていたりしてる。」
魔族の視力はいいものだ、人間の2倍ほどもあり基本的に悪くなることもない、まさに超人。でも前世とのギャップを考えてしまうのは悪い癖だ、マカロンとしての人格が表に出ることが多くなっているとしてもやはり歳は前世の方がくっており、記憶領域も前世の方が多い。
ゆえに人間基準で物事を考えてしまう。魔族ならこういう時自分の能力を活かすのだろうかと考えるが、やはり人間基準。
まぁ今の時代背景的にも中世みたいなものだし、現代のあの便利すぎる生活に限ってはこちらも真似したくなるのは当然である。
「おしゃれではあると思うんだけど、やっぱり自分の住むところくらいはなんとかしなきゃ。」
ということで、まずは蔦の除去。なんの面白みもなくただ絡まっている蔦を魔族の腕力で引き剥がし砦の邪魔をしている大木をいつも通りチェーンソーに右腕を変化させて切り落とす。
切り株をスコップで引き抜こうとしてもかなりギリギリなので、魔族パワーで切り株の中心に穴を開けてそこから引き抜く。爪が木に食い込んでそこそこ痛かったのは内緒。
※マカロンは比較的に非力な魔族です
続いて壁の補修。セメントを使ったことはあったけど、この時代はいったいどうやるのが正解なんだろう…っと思う。
マカロンの記憶を漁ろうにも知識が少ないので当てにならず。
「セメントは配合してできるっていうけど、あいにく手元でできるほどのじゃないだろうし。」
そういえば、昔の建築はセメントとか使わなかったんだっけ?あれ……まぁともかくそれで行くならこの砦も無数の岩によって作られているすごいものになる。(小並感)
「うーん、やっぱり限界だなぁここは。」
下手なやつが修理すると壊れるっていうし、やはり私にはまだ早い。本なんか読めば私でもできる気がするけど、
「第一ここに本屋とかがあるわけじゃない。あったとしてもお金を引き出せるところがない。本国に戻ろうにもここからじゃかなり遠い。」
郵便屋さんは来るんだけどなぁっと思う。まぁそれも手もないポーチを首から下げた黒カラスなんだけど、、
「近くに人里っでも問題ない気がするけど、この尻尾と角じゃ。それに魔族は基本的に嫌悪の象徴だし。」
今でこそマカロン以外の人格が入っているのでそこら変抵抗なく言っているが?これが100%マカロンだった場合、間違いなく泣く。
マカロンは心がとっても弱い魔族なのだ。
「能力で角と尻尾を別のものにできたらいいんだけど。」
じゃあ逆に何がある?っと言う話。
えーと耳とか、、それでは獣人になってしまう第一この世界には獣人がいない。前世の二次元作品なら出てきてもおかしくないがこのゲームにはそんな存在確認されていない、
「ゲームで思い出した。たしかゲームで魔族が人間に化けているやつがあった気がする。」
たしかその時は帽子をかぶって尻尾を体に隠して、だったか。いや単純すぎる、それもそうだだって私みたいに何かに擬態やら変えることができないのだから。
「角を髪飾りしたりとか、」
イメージをして、能力で角を変えてみる。一応基準上質量的に以下のものまでは形を変えることができるのでシュシュのような可愛らしいものに変えることができる。
「なんだ、やればできるぞ私!!」
少し自信がついたので次は尻尾。私の尻尾は悪魔的というか、ともかくまぁ細くて尻尾の先端が少し変わった形になっているやつ。うーん、元々尻尾というか腰につける装飾品がないからなぁ、それに感情が昂ったりすると動いたりする危険性があるから。
「最悪からだに隠すでもいいけど蒸れたらもっと嫌だし。」
うーんっと悩むマカロン。腰につけるもの、それでいてそこそこ固定できて、感情が昂っていても全然問題箇所にあるものぉ。
「あ、難しいけどロープとか。」
ここでいう難しいは構造的な話だ。だがロープは我ながらいい線行っていると思う、別にそこら辺歩いていてロープをつけても怪しまれないはず。あわよくば西部開拓時代の方が身にあっていたと思うけど。
そう思いながら、尻尾を小ロープに変えた。
これならば間違えようもない。ロープが勝手に動くか?と言われれば魔法とだけ答えておけばまぁ問題ないだろう。
「よし、って何がよしかわからないけど。今度人里に行ってみよう。」
どこにあるかなんてものはよくわかっている、なんせ私が死ぬ理由でもある人里なのだから。
次回 中級ボス魔族マカロンと人里