メモリー4:中級ボス魔族マカロンと食料調達
お父さん、お母さん、お元気でしょうか。私はスィート砦で頑張って毎日を生きています。ですが最近とんでもないことに気づきました、それは食料がもう全然ないということです。
我ながらよくカバンの中に詰めた缶詰だけで四週間ほど生きながらえていたなと考えていたのですが、そろそろ欲求の限界です。
理由は言えませんが、
私はいま猛烈に"ローストビーフ"を食べたいと考えています、"ローストビーフ"という単語に聞き覚えがないと思いますが、空腹でおかしくなっているだけど解釈していただいて構いません。
ともかくツナ缶と桃缶でやりとりしていくのが限界でして、水道は繋がっているので、まぁ2週間は頑張れば持つのでしょうが、そんなことマカロンには酷すぎるので、急いで、食べ物を、見つけます。
「あ゛ぁ゛〜。」
動きたくない、動けない体で私マカロンは死体のようなうめきをあげる。理由はもちろん、そう食料がそこをつきたのだ。
なればやることは一つ、誰かにとってきてもらうか自分が取りに行くかの二つだけ。
「でも行きたくないヨォ、動けないヨォ、お腹が空いて死にそうだヨォ。」
第二の人生を謳歌している私にとって、まぁなんとかなるでしょ頑張ればいけるいけると言っていた一週間前の自分をボコボコにしてやりたいと考えている。
現代人の記憶が蘇ったからなのか、お腹の減り具合が尋常ではない。
(ていうか、朝昼晩3食とるのって普通なんだ。こっちじゃ普通じゃないんだけど、)
自問自答、もはや自分にもう一つの人格があると完全に思い込んだこの行動は流石に見ていられない。だが次の瞬間には腹時計がそんな思考を掻っ攫っていく。
「いかなきゃ、しんじゃう、いかなきゃしんじゃう、いかなきゃ─────」
そうして動いた体わずか4㎝。お腹が空いているとはいえ、この場合は精神が負けている。
2食が当たり前から3食が当たり前になったおかげで私の食生活はかなり裕福になっただろう。それもいっときだけ、、
「だれかぁ、たすけてぇ、、マカロンが乾燥マカロンになっちゃう。」
マカロンは元々乾燥しているのでは?っという疑問は後回し。水は自分の腕でも脚でも蛇口にすれば出てくるが、流石に食べ物は無理だ。だって食べたら間接的に自分の腕を食べることになる。
私ができるのは、変化した部分から生み出された"物体"ならコストを0で無限に使えるだけであり。変化した部位をそのまま食べることではない。
例えばわたあめマシン、構造原理ともにどういうものか知っているので、わたあめを出して食べることができる、砂糖がなくてもだ。
しかし木の実の場合、腕を木、指を果実と捉えると食べれるわけではない。木の実単体を出すにしても齧ったら手がオジャンになる
こんな感じ、すごく説明むずくて頭働かないからあとは他人にでもって、何言ってんだ私。
「いい加減動かないと、いくら魔族が感情だとしても、このままじゃ年中深夜テンション、悪く言って精神崩壊だヨォ。」
前世の記憶さえなければっとこの時ばかりはすごく思う。なぜ私は3食きっちり食べていたのだろうか、
「だって食物栄養がぁ、バランスがぁ。」
お言葉だが人間3食別に食べなくてもエネルギー的には問題ない、なんなら魔族ならもってのほかだ。人間の2倍以上の力を出せるくせに、燃費は人間の1/2で済むとかいうとんでも種族のくせに。
「本音を言うと、意識したりとか、もっと美味しいものとか求めちゃって。」
なら仕方がないな。
「って、脳内鍵している場合じゃなーい。行かないとやられるっ!!」
私は近くにあった壁に寄りかかりながらベットから起き上がる。マカロンは一世一代の本気、もう勇者戦でもこんな本気出さないだろう(未来予測)、ここを乗り越えないと私がのちに勇者を追い払うことも、勇者を食べることもできないのだから(錯乱)
「うぉー、人肉食べないけど。勇者って名前おいしそーパワー!!!!!」
お前の名前の方が美味しそうとは、本人の談。
しかし私は両手を上げまるで威嚇する猿のようになりながらも立ち上がり、ズシンと構えるその様はまるでスーパーロボット達の面影を感じなくもない。
「よし、立ち上がった。あとはご飯を求めるだけ、、それだけぇでぇ。」
ゆったりと、壁に手をつきながらまるで歩くこともままならない小鹿のようなペースで外へ向かう。近くに森があったはず、食べれる木、、じゃなかった、食べれる虫、、は論外。
そう、木の実を求めてぇーー!
「どこかに、どこかに食べ物はぁ。」
もはや虫が少し通り過ぎただけで目が行ってしまう。いけない、私は現代社会に生まれたキャリアウーマンのはず、そんな孤島で30年生きてきた歴戦の猛者のような考え方に至ってはいけない。昆虫食っていうのを知っている、だからそこなのか本当にさっきから頭がおかしくなりそうだ。
「、、今の私って臭くないよね?」
突如として冷静になる。虫が寄ってくるということは私くさいのか?っと。しかしそれも腹時計でかき消される。
「木、木の実、それさえあれば。もしくはきのこぉ。あるでしょー、森林伐採って言っても少ししか切ってないんだからぁ、、」
血に飢えた獣のような眼光を照らしながら私は森へ進んでいく。
「食べもの、食べもの、、たべ、もの。」
しかし体力(精神)の限界、マカロンはバタリと倒れてしまったのです。おぉマカロンなんと情けない、彼女の冒険譚はここでつい終わるのです。
「何この固いの?」
私はふと顔を上げて土とは違う感触の物体に疑問を持ちながら見る。そこには地面に埋まりつつも頭を出す野菜(?)みたいなのがあった。
「や、野菜。やさい?、、野菜?!」
私は起死回生の如く立ち上がり、その埋まっているものをよく観察した。それは間違いなく根類の野菜、しかしその色は紫色、根類で頭だけ出して紫色のもの、、っと脳内で検索してみるも該当なし、だって明らかに大根クラスの大きさを誇っているのにも関わらず、色が紫色。
「あ、怪しい。でも!!」
そう、怪しさだけでは今の私を止めることはできない。葉っぱを掴んで、一度か二度くらいしか体験したことがない農業経験(前世)をフルに生かして引っ張る。
魔族の力を宿した今の私なら、簡単に、簡単に。
「で、できない……でも、負けない!!うおーーー待ってろ紫色のダイコンもどきィ!!!!」
これは命をかけた戦い、この大根もどきを抜けなかったら私の負け、しかしこれを抜き調理でも生でも食べることができたのなら私の勝ち、怪しい見た目で毒とかありそう(偏見)だけど、魔族なら毒くらい耐えられるはず
※マカロンは毒を受けたことないのでわかりません
「う、うおりぃやぁぁぁああああああ!!!!!!!!」
火事場の馬鹿力とはまさにこのこと、命の危機を感じるほどに人間(魔族だけど)は自分の本気を出すことができる、だがそれもこれっきりだし、次からはそうはなりたくない。
「うおーーーー!(ガジガジガジー!!)」
抜けた大根もどきに私はかぶりつく、もはや理性なき獣に等しいその行いは魔族の品位を最低値まで下げる行いであろう、しかしマカロンにとっては……
「ん!?、あ、甘い!!!美味しい!!!!」
私は口の中に含まれた物をよく噛んで胃へ入れる。頭がはっきりして視界もはっきりする。そして私はかぶりついた大根もどきをよくみる。
「こ、これ…サツマイモ?、いやサツマイモって根菜類でしょ?、なんで大根とのハーフみたいな感じになってるの?!」
そう、サツマイモは大根と違い、太くなった根を食べているのではなく、根から連なってできた部位を食べているのである。そのため、根類という表記ではなく根菜類という表記の方が正しい。
だが目の前にあるサツマイモは明らかに大根の見た目をした中身がサツマイモな野菜。これをなんと名づけた方がいいだろうか、食べることは確定したわけだし(生で食べて腹が下る気がしない)
「うーん。なんで、こうなっているかわからないけど、ヨシ…今日から君は薩摩大根だ。私の記憶が正しければそんな名前の大根はなかった…はず」
そして私はそのかぶりついたサツマダイコンをとりあえず、完食。味は本当にサツマイモそのまま、これは大根要素見た目だけのただの変異種なのでは?っと考えたが世界観の違いから別にこんな名前でもいいやとおもった。
体力が戻った私はニ、三本近くに生えていたやつを持って帰り。ついでに種も持って帰る、種の場所は大根似だったりする、いや本当になんだこの植物というか野菜。
※(大根の)種は葉っぱが成長した後に花が咲き、その花が後に種になります。
持って帰ったサツマダイコンをとりあえず調理、一口サイズに切り。火で炙る、調味料なんてものはもちろんないのでここは我慢。
食料にありつけただけ感謝して
「いただきます。」
感想はうん、美味しかった、ただただそれだけ。涙流して食べたよ、生きててまでは行かなかったけど、食べ物にありつける奇跡に感謝した。
「ご馳走様。」
そうして私の食糧調達の1日は幕を閉じた。
畑を耕して種を植えればまた同じのが生えてくることを祈って砦裏に畑を作った、ちなみに火がよく当たるところに植えた。そうじゃないとよく育たないからね。
次回 中級ボス魔族マカロンと砦