俺は身長と体重がありすぎてジェットコースターに乗れん
「乗れません」
遊園地に来た俺は美琴の頼みでジェットコースターなる遊具に乗ることになったのだが、198センチ、体重140キロの俺は乗り物が負担に耐え切れないという理由で乗車を拒否されてしまった。
「お前ひとりで乗ってこい。俺は構わん」
「うう……不動さんと一緒に乗りたかったです……」
「諦めろ」
美琴は172センチなのでコースターは大丈夫らしく、乗車させることにした。
列車が動き、らせん状の道を高速で疾走したり落下していく。
車から歓喜と恐怖の絶叫が木霊している。
ジェットコースターを乗り終わった美琴は額に薄く汗をかき、息を吐いた。
「こ、怖かったです」
「ガキ共もなかなか面白そうなモノを作り上げるものだな。
俺も乗ってみたくなったよ」
「ほんとですか!?」
先ほどの疲れはどこへやら、美琴は黒目を輝かせて満面の笑みを浮かべた。
期待するのは構わんが、俺はどこへいっても身長と体重で引っかかると思うのだが。
「あのっ、今度はお化け屋敷に行きませんか?」
「いいだろう」
美琴と並んでお化け屋敷に入ったのは良いのだが、美琴は俺の腕に身体をピタリと寄せてきて妙に距離が近い。
屋敷内は冷房が効いている。
「寒いのか?」
「は、はい! ですから不動さんの腕を抱いていると温かいんです」
「俺は抱き枕か」
「今だけはそう思ってくださいっ」
美琴の考えていることはよくわからんが、喜んでいるのなら何よりということにしよう。