眩しい夢
栄生「放送係」
リコ「フローガン係」
シュン「フローガン係」
沙羅「フローガン係」
そしてもう一人…
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島村晃は「応援団」に手を挙げていた。
「え…一人だけ」
先生は他の人がいないかと催促する。
──無理もない。目立つ係だが、人気はない。
「れん、やれよ…」
「う…ん、どうしよ」
晃は親友のれんを誘う。
「晃がやるんならおれもやろっかな」
れんが誘いにのって手を挙げた。
「じゃあ、やります」
「はい、二人。あと…」
「は、はい…」
「やる!」
晃とれんを口火に男子女子構わず手を挙げはじめた。
「あ…多くなちゃったな。じゃんけんで…ん…まあ、これは目立つ係だし、簡単に試験をしようか」
先生は候補者を呼んだ。
「声を出して。投票をしてもらいます」
「なにそれ。私のときはやらなかったのに」
不満げに沙羅がつぶやく。
しかし、先生は聞こえていないように無視した。
晃をはじめ、候補者が声を張り上げる。
みんなどんぐりの背比べ。
しかし晃は違った。
「すごい…」
「やっぱ晃が一番良くね?」
大きな声。堂々とした声音。
ハキハキとした喋り方。
完璧だ。応援団に入らばければならない人材と言っても過言ではないだろう。
「じゃあ、投票します。一人で投票できるのは一人」
栄生は隣にいたリコと目を合わせた。
「もちろん、晃でしょ」
「そうだよね〜」
二人は晃に投票。
もちろん、晃は当選した。
「夢は…団長になること!」
そう言い切った晃はすがすがしかった。
「夢、か…」
栄生はそっとつぶやく。
放送係は前からなりたいと思っていた『夢』ではない。
でも、晃はある。
それが眩しくて。
(わたしはいつもその場で決めてるだけ)
楽そうな係は?
この係面白そう!
実況やるならやろうかな
ただそれだけの感情。
単純な考えで決めているのだ。
だから、夢なんてない。
(なんであんなに眩しんだろ…)
少し羨ましく思う栄生であった。
自分でも書いていて味気ないな…と感じます。
それでも読んでくれている人には感謝しています。
本当にありがとうございます。