レクレーションのメンバー
「同じ班になれなかったね」
リコが残念そうにつぶやく。
隣で歩いている栄生も残念そうだ。
「生活班って一緒にお風呂とか入るグループだよね?一緒に入りたかったー!」
「わたしもだよーー!」
二人で残念さを共有しあう。
「わたし、同じ班に沙羅がいるんだけど」
何でなのよ、と栄生が不満げにつぶやく。
「因縁……だね。掃除も同じだし」
「ほんと、よく分からない。沙羅運つきまくりだよー」
クスッと楽しそうにリコが笑う。
「私は、班に栄生ちゃんがいないけど、旧友ならいたよ」
「……はい?」
旧友。
リコに旧友がいたのか。
「リコって旧友いたの?」
「うん。亜美ちゃん。同じになれて嬉しかった」
川島亜美。
去年、リコと栄生は同じクラスになれなく、一人ぼっちだったリコに手を差し伸べたのはあみだった。
ちょっとドジっ子のあみは、リコの旧友とも呼べる存在。
「あ、でも大丈夫。旧友というより、切っても切れない友ってことだから」
「腐れ縁?」
「…いや、そんなとこまでは……あみちゃんはド、ドジだから…私がいつも面倒を見ているんだ…」
「リコって優しいね」
栄生は微笑む。
もちろん、旧友がいるからって嫉妬はしない。
あみがいようがいまいが、自分とリコは親友だから。
次の時間は、日光移動教室の宿舎の担当ぎめだった。
班長・清掃・保健・食事・レクレーションの6つの係。
「これは、絶対レク‼」
レクレーションは、キャンプファイヤーなどのイベントの司会や企画を立てたりする係だ。
栄生は速攻で手を挙げる。
「……って!?」
8人中、5人が男子。
もう3人が栄生とあみと。
「沙羅!?」
「栄生っ‼」
二人の声が見事にハモる。
(なんでまた、沙羅と)
(放送係から腐れ縁ね)
不機嫌顔な沙羅と、迷惑顔な栄生。
その二人を見て、近くにいた生徒は小さく気付かれないように笑ったのだった。