【短編】源氏物語のスケコマシに転生!?フラグは折らせていただきます!!
『いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際きわにはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。
(いずれの帝の御代であったか、大勢の女御、更衣がお仕えしているなかで、身分はそれほど高くはないが、帝のご寵愛を一身に浴びていた更衣がいた。)
はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方がた、めざましきものにおとしめ嫉みたまふ。同じほど、それより 下臈の更衣たちは、ましてやすからず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、いと篤しくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよ あかずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえ憚らせたまはず、世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。
(入内のときからわれこそはと思い上がっていた女御たちは、その更衣を目障りな女、と蔑み妬んだ。同じ身分でもそれより下位の更衣たちは、なおのこと心やすからず思っていた。朝夕の宮仕えのたびに、女御たちの心を掻き立て、怨みが積もったせいであろうか、その更衣は病気がちになり、心細げで里帰りが繁くなり、それにつれ帝はいっそう 更衣を不憫に思われ、人々の誹りりをもかまわず、世間の語り草になるほどのご寵愛であった。)
上達部、上人なども、あいなく目を側めつつ、「いとまばゆき人の御おぼえなり。唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ、悪しかりけれ」と、やうやう天の下にもあぢきなう、人のもてなやみぐさになりて、楊貴妃の例も引き出でつべくなりゆくに、いとはしたなきこと多かれど、かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにてまじらひたまふ。
(殿上人たちも、かかわるのを避けるように見ないふりをしながら、「大変なご寵愛ぶりだ。唐の国でもこのようなことがあって、世が乱れる悪い先例があった」と私語をかわし、世間でも苦々しく人々の心配の種になって、楊貴妃の例も引き合いに出されるようになり、更衣は居たたまれないことが多かったが、おそれおおい帝の類まれなる御心をただ一筋の頼りとして仕えていたのであった。)
源氏物語 第一帖 桐壺 』
ばぶ~っっっっ!!!
ばぶ、ばぶぅ、ぶぶ~!!!
「まぁまぁ、皇子様、今日も愛らしゅうございますわ」
「ほんに、このような美しい赤子は見たことがございませんわ」
「さようさよう」
「まこと光輝く宮様でございますわ」
なに? 何が起こってるの?
??にぎにぎにぎ・・・ペチペチ???
あら、可愛い紅葉の手・・・てっ! 自分の手じゃないか!!!
小さくなってる?
ばぶ、ばぶぅぅぅ、ぶぶっっっ(なに、これ、えっ?)
ばぶぅ(しゃべれない?)
ぅぅぅ、ぶぶ(赤ちゃんになってるの?)
ばぶ~っっっっ(どうなってるの?)
と、混乱の極みの陥っていた時もありました。
今ではかなり落ち着いて、新しい自分に慣れてきた次第ですよ。
どうやら僕は生まれ変わったようです。死んだ記憶は全くありませんが。
しかも千年前を舞台にした平安時代の世界に。
そう、かの有名な「源氏物語」の世界に生まれ変わっていたのですよ。
ちなみに僕は、主役の光源氏になっていたのです。
あの世紀のスケコマシ野郎になるとは!!
マザコンのシスコンのロリコンになるなんて・・・許すまじ!
なので原作を引っ掻き回すことにしたのです!
第一が、母である桐壺更衣を死なせないこと。
第二が、一宮である未来の朱雀帝の兄に気に入られること。
第三が、弘徽殿女御に媚びを売ること。
第四が、葵の上を兄の元に入内させること。
以上。
いや、ほんとそれだけでかなり僕が楽になるんだよね~。
家庭円満、国家安泰。これに限るよね~。
せっかく男宮(臣下の予定)に生まれて、美貌も金もコネも持ってるのに、わざわざ不倫して、不義の子作って、島流しにされて、晩年が家庭崩壊と正妻の不貞とその子供の面倒って・・・いやすぎる!!!
桐壺更衣が生きていれば、藤壺女御は入内してこないし(不倫にならないし不義の子も生まれない)。
兄に気に入られていれば何かと融通つくし(でも女三宮はいらないよ)。
弘徽殿女御に媚び売ってれば気に入られることもある(結果島流しはなくなる)。
葵の上を兄の元に入内させれば死なないし(実は一番のお気に入りキャラ)。
よし!
これでいこう!!
そう思っていた時が僕にもありました。
結果・・・カオスな展開になっちゃった。
原作クラッシャーできたけど・・・別の混沌な展開が開催された感じ?
「これ、光!」
「あ、義母上、すみません」
「先ほどから上の空でどうしました?」
「あ、明日の事をかんがえて・・・」
「そうですか・・・、でも、あなたが気にすることはありませんよ」
「はい」
にっこりとほほ笑む義母は美しい。
いつもは後宮の女主人としての矜持の高い華やかな美貌は、家族の前なのか今はふんわりと微笑んでいらっしゃる。
そう、このどこまでも勝気な義母が誰かというと弘徽殿女御である。
光源氏の最大の敵である。原作では。
僕にとっては、実母以上の母である。
そう、実母である桐壺更衣。
彼女は本来なら光源氏が三歳の時に病にて亡くなるのだが、そこは僕の出番!とばかりに父の桐壺帝にねだりにねだり、国一の医師や薬師に見せたのだ(父帝は普通に祈祷師を呼ぼうとしていた、アホか!)。
そうしたら、ビックリ! 病回復した。
いままで何だったんだ?と思ったら、桐壺更衣が熱がでようが、咳がでようが、鼻水がでようが医師ではなく祈祷師を呼んでいたというのだ。バカなのかな?
でも、これで第一フラグは折れたと思ったら桐壺帝が仕事しなくなった。
何言っているのかわからないよね。僕も分かんない。桐壺更衣の側を離れたくないと駄々をコネて後宮から出てこなくなったんだよ。死にたいのかな??
仕事しろ!と言ってもムダ。一度拳で語り合ったら余計に後宮から出てこなくなった。
不思議。
兄の東宮からは「おいたはいけないよ」と優しく諭された。
お兄ちゃんは媚びを売らなくても、とっても優しかった。まさに天使。
一部始終見ていた左大臣はなぜか子猫のようにピルピル震えていたのには首を傾げたけど。
右大臣と弘徽殿女御は上機嫌だった。「よくやった!」と褒められたよ、てへっ。
ただ妻の葵の上は、父と語り合った拳に血がついていたから酷く心配させちゃいました(全部返り血なんだけどね)。
そう、結局葵の上は僕の正妻になった。
結婚が決まった十一歳の幼子に回避はムリだった。
葵の上を私の妻にしたい父帝と左大臣。
この二人だけなら回避できたんだけどね。
僕にはしっかりした後見人と美しい妻が必要だと、兄東宮と弘徽殿女御がむっちゃ葵の上を押すんだもの。拒否権がなかった。
で、十二歳で結婚。四歳年上の葵の上は十六歳だった。
花の十六歳の夫が十二歳の子供って・・・気の毒だ。
しかも葵の上、メチェクチャ美人! なんかいい匂いもするし。
原作の光源氏は何故彼女に不満だったんだろう?
謎だ。
後宮で綺麗処をみて目が肥えているはずの僕でも驚くほどの超美人さんなんだよ?
「一生、大事にします!」
そう叫んじゃったよ。
葵の上は真っ赤になってるし、義両親はそんな私達を微笑ましく見ているし、義兄の頭の中将は何とも言えない表情をしていた。「女は一人じゃないぞ」と頭の中将がボソと言ったせいで葵の上が真っ青になっちゃったことは一生覚えとく。すぐに丁寧にお話しておいたからわかってくれたよ。
しばらく歩けないだろうから、頭の中将の正妻である右大臣家の四の君にお手紙だしといたよ。僕はいい子だから詳細をキッチリとしたためておいた。
頭の中将は左大臣と一緒に生まれたての子鹿のようにプルプルしてたけど、どうしたのかな?
なんで手紙だしてるかって?
それは僕と四の君が仲良しの文通相手だからだよ。
だからね、頭の中将のことはよ~く聞いてるよ。あ~んなことや、こ~んなこともネ。
にっこり笑って教えてあげたら、白目むいて倒れちゃった。
僕は親切だから、四の君の屋敷まで頭の中将を届けるよう惟光にお願しておいた。
惟光が「東宮様にお伝えしなければ・・・」とかなんとか青い顔でブツブツ言ってたけど、どうしたのかな?
暫くの後、四の君の屋敷から、悲痛な男性の雄叫びが聞こえてくる、と噂になっていた。
どうやら以前プレゼントした『旦那の調教用のムチ』を使ってくれているようで何より。
四の君からお礼の手紙と共に沢山のお菓子もくれたので、葵の上と一緒に美味しく頂きました。
そうそう、葵の上も四の君と文通始めたんだよ。
二人とも義姉妹になるけど、今まで全然交流がなかったんだって。
僕を介して交流を始めたらとっても気が合ったらしく、義母の大宮も交えてよく女子会してるよ。
四の君は、僕のお姉ちゃん的存在だからね。
奥さんとお姉ちゃんが仲良くなって僕は満足。
結婚してからは葵の上の住む三条邸が僕の家。たまに実家の御所(弘徽殿女御と東宮のいる場所)にも泊まるけどね。
でも、僕があんまりにも葵の上を好き好き言ってるから、兵部卿の宮あたりの親王達が「父帝にそっくりだ」とか悪意ある言い回しをするものだから、これまたお話し合いをしておいた。
後でお見舞いのハチミツも惟光にお願いして送ってもらったんだ。惟光が「ああ、東宮様に・・・」とかなんとか白い顔でボソボソ言っていたけど、どうしたんだろう?
僕のお見舞い品はちゃんと届いたようで、お話し合いをした親王達の邸宅から大量の蜂が飛び去ったと都中で噂になっていた。
何かの呪いとか何とか。
それ以降、何故か親王達は顔を覆い隠すように頭巾をかぶってる。
熱くないのかなあれ?
しっかし、僕のどこが父帝に似てるって?
僕はちゃんと仕事してるよ!
一緒にすんな!
全く失礼な!
しかもだよ、彼奴ら葵の上が桐壷更衣と同じ「楊貴妃のごとく」とかなんとか言ってたんだ。
明らかに僕に喧嘩売ってるよね。
主犯の兵部卿の宮には更に追加のプレゼントを考え中だ。後で惟光にお願しないと。
そんなこんなで葵の上と仲良くしていた結果。
二十歳にして四人の子供の父親だよ。やったね!
因みに、葵の上の死因の原因になる六条の御息所は、左大臣の養女になって兄東宮の元に入内していったよ(子供付きで)。
そう、ここまではいいんだ。
問題は奴らだ。
桐壺帝、桐壺更衣、藤壺女御、兵部卿の宮。
この四名。
次点で左大臣かな?
左大臣はなんだか父帝に甘々で、父帝が命じたことには何でもうなづいちゃうんだよね。何で?
まあ、葵の上と大宮がかなり〆てくれて今では監視されてるからマシになってるけど。以前は酷かった。悪い人ではないんだけどね。父帝に激甘なのが問題なのだ。
まあ、問題児四人に比べれば大したことないだろうけど。
そう、父の桐壺帝は桐壺更衣が病回復した日から仕事をしなくなっていき、今では全くしていない。なら、さっさと兄東宮に位を譲ればいいのに、それを嫌がる。
意味不明。
さっさと譲位しろ!
何度か話し合ったけど効果なし。
僕と父帝との話合いは途中で他の人が割り込んでくることも多くて困っちゃうんだよね。「これ以上は帝が死んでしまいます」とか「もう気を失ってます、帝にお慈悲を」とか言って止めるんだよ。
これは息子から父親に対する愛のムチなのに、変なの。
実母の桐壺更衣は、よくわからない不思議ちゃんだ。
いつまでたっても少女のような美少女の姿。
あどけない美貌で周囲を魅了しているけど、僕は彼女と会話をしたことがない。
そういうと親子関係が破綻しているように聞こえるだろうけど、それは違う。
彼女の声が聞こえないというか、口パクに見えるというか・・・でも父帝とはそれで会話してるし、彼女付きの女房ともそれで会話している。
・・・できないのは僕だけ。
なぜ!?
そもそも彼女は父帝と自身の女房としかお話しない。
まあ、後宮一の嫌われ者だから他の妃達と会話どころか交流さえないんだけどね。弘徽殿女御もまともに会話したことないと言ってた。彼女が話すのはいつも自分の熱烈な信者達のみ。
つまり、彼女の声が聞こえるのも熱烈な信者達!
・・・宗教か!?
でも納得・・・僕は実母の信者ではない。
だから声も聞けなかったという訳だ。
まあ、あまり害のない人ではある。
そして一番の問題が藤壺女御とその兄の兵部卿の宮。
桐壺更衣がいる以上、来ないと思っていた藤壺女御が入内してきたのだ。しかも原作と同様に十五歳で。
なんで!?
どうやら兄である兵部卿の宮の策略だったらしい。
桐壺更衣に瓜二つの妹宮を入内させれば、必ずや桐壺帝の寵愛を得られると踏んだとのことだ。
確かに、同じ顔で、自分の妹宮の方が遥かに若く身分も遥かに高い。帝の桐壺更衣への寵愛は、妹宮にそっくりそのまま移るであろう、という考えだったらしい。
考えが甘いんじゃないかな?
あの実母は不思議ちゃんの信者製造機よ?
普通の皇女じゃムリでしょ?
そう思っていたら、やっぱりムリだった。
根回しをして『藤壺の局』(本来、寵愛する妃が使用する局)を妹宮に用意した兵部卿の宮だったが、帝の御手がつかないという惨事に見舞われた。
おバカさんかな?
やっぱりおバカさんなんだね?
これからは馬鹿宮と呼んであげよう!
この十数年、桐壺帝は桐壺更衣としか床を共にしていないんだよ!
ばかたれ!!!
可愛そうなこの兄妹皇族に、僕はお見舞いの品を用意した。
『春画』だ。
男女、男男、女女、バリエーションが豊富できっと喜ぶだろう!
だって、二人のために頑張って作ったんだから!
「大輔の命婦、これもっていって~」
乳姉妹の一人であり僕付の女房にお願いする。後宮ではさすがに惟光にお願いはできないからね。
結果、大輔の命婦が腐女子になった。
あ、やっぱり?
そんな気がしたんだよね~。
彼女、華やかな美女で恋多き女性として有名だけど、茶目っ気たっぷりの姉御気質だからね~。隠してるようだけど女性からもモテるんだよ。美女と誉れ高い式部といい雰囲気なのも知ってるよ~。
だから春画と漫画を彼女に教えておいた。これで女性との恋愛もいけるでしょう。
僕っていい子!
数百年先の芸術と文化を先取りするなんて!と喜んでいたら、大輔の命婦によって後宮は腐女子の巣窟となった。おっかし~。
あれ?惟光どうしたの?
惟光は顔が土色になってぶっ倒れて運ばれていった。
どうしたんだろう???
後で兄東宮から「惟光を労わってあげなさい」と言われちゃった。
あれ?
こき使いすぎてたのかな?
気をつけないといけないな、と兄東宮に話したら、頭をなでなでしてくれた。
あぁ~兄上のなでなでは相変わらず気持ちいいな~。
藤壺女御にプレゼントした春画はとても気に入ってくれたようで、しばらく雲林院に参篭することになったようだ。
うんうん、こんな空気の悪い桐壺帝の後宮にいるよりずっといいよね。
夫には相手にされないわ、皇女でござれと入内してきても後宮の主は弘徽殿女御だもん。
しかも兵部卿の馬鹿宮がいずれ妹宮は中宮になり東宮を産み落とすなんて言っちゃうもんだから、後宮中の女を全て敵にまわしちゃったよ。弘徽殿女御と兄東宮にいるのに僕がそんなこと許すわけないでしょう。
でも、騒動が起こった。
なんと藤壺女御が懐妊した。
え?
誰の子?
原作同様、僕の子なんて言ったら兄妹まとめてコロコロしないといけないかな?
でも兵部卿の馬鹿宮は僕が思っていた以上のアホだった。
なんと、腹の中の子は、桐壺帝の子供と言いだしたんだよ~。
アホだ!
ドアホだ!!
一度も御手がついてないことは宮中の者が全員知ってるっていうのに~。
葵の上と大宮とでお菓子を食べながら笑っていた。
兵部卿の馬鹿宮の斜め上を行く行動が収まらないうちに、藤壺女御が出産した。
生まれたのは藤壺女御によく似た男子。
兵部卿の馬鹿宮は「親王の誕生だ!」と触れ回っていたけど、誰も相手にしない。
当たり前だよ。
だって明らかに不義の子だよ?
何を堂々と嘘ついてんだよ!
でも、藤壺女御とその子供はどうにかしないといけない。どうしようか、という相談が左大臣と右大臣とでしていた処に、アホがアホなことをいいだした。
何と、子供の父親は僕だと言いだし始めた。
なんでも生まれた子供が僕そっくりだというんだ。
お前は、自分の妹宮の顔を見たことがないのか!
てめぇの妹宮は僕の実母に瓜二つ!
そして僕は実母に瓜二つ!
似ていて当たり前だろう!!
どうやら、兄妹+αはまとめてコロコロされたいようだね。
僕が色々と準備を始めていたところ、子供の父親が現れた。
だれ?
雲林院の律師だという。
だれそれ?
そんな人、原作にいたっけ?
とりあえず、その父親を名乗る人物を見に行くことにする。
コロコロに人数が増えるかもだし。
・・・すごい美僧だった。
え!?
なんで出家したの?
顔だけで人生勝ち組だよ!
それぐらいの美貌の僧だった。
しかもこの美僧は、僕の伯父だという。
はぁ!?
なにそれ?
どゆこと?
桐壺更衣の実兄だと。
・・・知らないよ~、そんな存在!!!
でも桐壺更衣の実兄ということで、桐壺帝は全てを不問にした。
・・・ダメだこのおやじ。
速攻、父帝と話し合いをおこなった僕は悪くない。
僕達の話し合いを見ていた藤壺女御が失神し、伯父は僕に土下座した。なんでだろう???
ちょっと兄妹+αを✖✖✖✖すると言っただけなのに、変だな~???
結果、藤壺女御は後宮を去ることになり(母親の屋敷に行くという)、子供は伯父に引き取られた。
どうやら伯父が寝込みを襲われて出来た子供らしい。
・・・何それ?
伯父の美貌に参ってしまった藤壺女御。
恋煩いで寝込んでしまい、想いを密かに告げても素っ気ない美僧。
思い余って、王命婦に媚薬を用意させて事に及んだというのが真相みたい。
・・・実母といい、伯父といい、魔性か!?
因みに、兵部卿の馬鹿宮は、僕の件で怒った兄東宮によって須磨に流された。
いいきみだ!
お兄ちゃん凄い!
素敵!!
兄東宮は「もう大丈夫だよ、怖かったね光」と言って僕の頭をな~でなでしてくれる。
うん! 怖かったな~。
周りがボソボソ言ってやがる。
「いや、怖かったのは兵部卿の宮では?」とか「遺書かくように勧めた」とか「藤壺女御は源氏の君のせいで心の病に・・・」とかいってるけど、き・こ・え・ま・せ~ん!
だいたい、僕は被害者なんだからね?
分かってる?
惟光? どうしてそんな顔するの?
え? 僕が彼らを・・・?
まっさか~、そんなことしないよ。ふふふ。
そうして嵐が一つ去った。
そして嵐を今度はおこす。
明日、父帝に退位を表明(強制)させ、兄東宮が即位するのだ!
そのための準備ももう出来てる!!
だから、明日は存分に語り合おうね! お・と・う・さ・ま!!!