floor.9 悪夢
俺はモンスターたちの上に浮かぶHPバーがすさまじい勢いで削られていくのを確認しながら彼らの元に近づいていく。
どんな悪夢にうなされているのか、ちょっと近づいて聞いてみるか。
我ながら悪趣味すぎるな……。
釘バットを持っている野球部らしいモンスターはうめいている。
「丸刈り……う、頭が……」
「お前そんな気にしてたのか……。確かに丸刈り気にしてる人多いけど」
釘サッカーボールをけろうとしていたサッカー部らしいモンスターはうめいている。
「1+1……う、頭が……」
「いやちょっと待てそれは馬鹿すぎるぞお前!? そこで頭痛くなっちゃったら割り算とか頭破裂しちゃうよマジで!?」
釘サッカーボールに空気を入れてくれていた新入部員らしいモンスターはうめいている。
「フェルマーの最終定理……この余白は狭すぎる……」
「お前頭いいな!? たぶん先輩よりだいぶ高度なライン到達してるぞ!? 君何年生!?」
釘テニスボールを使っていてテニス部らしいモンスターはうめている。
「テニヌ部の意地にかけて釘でボールを打ち返して見せる……」
「お前テニヌ部か。どおりで普通じゃない装備なわけだよ」
いや納得しちゃうのかよ。さすがテニヌだなおい。
マネージャーらしいモンスターはうめいている。
「や、やめて先輩、こんなところじゃだめ……」
「おいこいつだけHP鬼上昇してるじゃねえか。しかもHPバーよく見たらこいつのだけHentai Pointじゃねえか。HPっていう表現だけでも奥と闇が深すぎるだろ。てかこれ悪夢じゃなくて淫夢なんですがどうなってるんでしょうか」
なんだかんだでみんなマジでヤバい夢を見てるわけじゃなくてよかった。
こうして全員を見守っていると、HPがゼロになったやつはうめきながら光の粒子となり空に帰っていった。
HentaiPointがマックスになったやつはハァーーーーンとか叫びながら昇天していった。完全に果ててるじゃねえか。まあなんだかんだ敵を倒してくれてありがとう先輩。君の技術に感謝するよ。
こうして俺は敵を一掃した。
やっぱりこのスキル想像以上に強いわ。
俺はスキルの強さに感動しながら敵を倒したのを確認して校舎に入っていき、職員室と思われる場所まで歩いて向かっていく。
構内にはモンスターはおらず、静かに歩き回ることができた。
そして職員室につき、教室のドアを開ける。