floor.7 ダンジョン:学校
「学校だな……」
ダンジョンに潜った俺が最初に感じた感想はそれだった。
学校の校庭と思われる場所に俺は現れていた。
少し距離があるところに、古ぼけて蔦が這い回り、ヒビがたくさん入っていて、今にも崩れ落ちそうな学校の校舎のようなものがある。
それと、空は晴れ渡る快晴などではなく、黒い雲が立ち込め、時々赤い稲光が走っている。
地獄の学校感すごい。
紅麗亜の時は洞窟の中みたいな感じだったので、この空間とはまた違った趣のダンジョンだった。
人によって生成されるダンジョンには大きな違いがあるらしい。
とまあ、ダンジョンの違いを冷静に指摘してみたが、どうやらそれどころではないらしい。
俺の方に向かってワラワラと移動してくる、血塗られた大量の人型のモンスター。
俺に気付いたやつから順次移動を開始してきていた。
手には武器として釘バットを持っているやつが多い。
あれは野球部がモチーフなんだろうな……。
あと、赤と黒で色付けされた釘サッカーボールをドリブルしてくるやつが多い。
これはサッカー部がモチーフなのだろう……。
すごい技術でドリブルしながら迫って来ると思っていたが、釘を刺したことによって空気が抜け続けてドリブルできなくなっちゃってシュンとしてるんだけど……。
なんか1人は釘サッカーボールに空気入れ始めちゃったんだけど……新入生かな?
多分君がどれだけ頑張ってももう空気入れれないよ……アーメン。
他にも釘テニスボールと50cmほどの釘を持ってる敵もこちらに向かっている。
いや君達そのラケット(釘)でどうテニスしてたの? 当てられる場所狭すぎじゃない? どんな縛りプレイなん?
部活をモチーフにしたモンスターたちの周りで女性型のモンスターも動き回っている。
マネージャーのようで、なにやらモンスターたちにものを配っている。
なるほどね、汗を拭くタオルを配ってるんだね、健気。
ただ問題なのはそのタオルもやはり釘タオルになっていて釘が露骨に部員の肌に結構な割合で刺さってるから!
ほらもう何人か出血しすぎて死傷者出てるから!
私を争って仲間割れするのはもうやめて!
とりあえずツッコミどころがありすぎる進軍ではあったが、釘タオルの魔の手から逃れたメンバーたちがジワリと俺との距離を詰めてきている。
俺は自分自身のステータスを表示しようとイメージする。
すると、ふわりとステータス画面が空中に浮かび上がった。