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floor.2 緊急ダンジョン速報

 生徒会室のソファに横たわらせていた紅麗亜はじきに目を覚ました。


「大丈夫か?」


「ん……。うん、なんとかね」


 紅麗亜は起き上がった後、「いっつ」と頭を押さえる。


「あんまり無理すんなよ?」


 俺は努めて優しい声を出しながら言う。


 傷ついた乙女にかける言葉慎重に選ばなければならない。



「体重が増えたんだから体を起こすのも大変だろ?」


「おいコラテメェそれ乙女に言うセリフじゃねえだろ」


 寝起きに紅麗亜にいきなりぶん殴られた。


 う、俺は気遣っていったのに……まあ90%ぐらいはいじる目的で言いましたけども。


「はあ……。なんにしてもありがとね灯夜、ちょっと闇落ちするところだったよ……」


「ダンジョンになった時点で結構闇落ちしていたと思うんだがどうだろう」


「まあギリセーフなんじゃない?」


「そんなもんか?」


「うん。……あれ、スマホになんか連絡が来てる……?」


「え? マジか。あ、俺もなんか来てるかも」


 俺は震えるスマホに気付き、画面を見る。


「ヤバい、緊急ダンジョン速報が来てるよ!」


「いや、緊急地震速報みたいな感じでよく知ってる風に言わないでもらっていいですか? 俺初めて見たんですが?」


 俺はあたかもこれまでも見たことがある風に言う紅麗亜にツッコミを入れながら、この謎の緊急ダンジョン速報というのを見る。


 どうやらこの学校周辺で緊急ダンジョン速報が発令されているらしい。


 いやそれなんだよというツッコミはもはやしようがない。


 中身を見るとこんな感じだ。


『本日15:44頃、何かやばそうな領域の出現が零世(れいせい)高校のそばで確認されました。付近にいる人は速やかに避難してください』


 何かヤバそうな領域っていう語彙力がすでにかなりヤバいことは置いておいても、とりあえず避難はしたほうがよさそうなことが分かる。堅苦しくてわかりづらい文章より、語彙力がヤバくてもわかりやすいって大事だよね!


「とりあえず、放送室に行って全校生徒への避難を呼びかけよう。クラスごとに順々に避難を促すことにするわ」


「そうだな。ただ、どうなんだろう、俺がさっき紅麗亜を助けるために飛び込んだやつがこのダンジョンってやつじゃないのか?」


「え? あー。確かに。そういえば私ダンジョンコアになってたもんね」


「ごめん、切り返しがナチュラルすぎて怖いんだけど? そういえば私五十嵐のライブ行ってきたよみたいな普通にイベント風に言わないでもらっていいですか?」


「やー、ダンジョンコアだったころの記憶が結構はっきりと残ってるからさ」


「そうなのか? どんな感じだったんだ?」


「とりあえず、チアシード飲んだら痩せるかなとか考えてたかな」


「結構牧歌的な感じでよかったです」


 怖い想いをしてないだけましだな。


 うん、そんな平和的で大丈夫かダンジョン。ダンジョンっぽさがなさすぎるぞ。


 だが、そう思ったのもつかの間だった。



 きゃああああああああ!



 甲高い悲鳴が近くの職員室から響き渡った。

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