真実の先にあるのは
おそらく、僕は学内で、テロリストかその支援者たちにあっていたのだ。いまだにかれらの顔は思い出せないが、ただ僕を助けてくれた人物の顔は思い出した。それが裏番頭。
僕は会っていたのだ。裏番頭に。愛媛のいとこ。それこそが、裏番頭の正体だった。正確には2代目というべきか。彼の親父が初代。かれは、情報拡散役をしていた。獣医学部に入学したのもバカだったからじゃない。高卒でミカン農家を継ぐつもりだったが、内偵のためにわざわざ入学したのだろう。その証拠に彼は、ほぼ授業料免除だった。もっとも、寄付の集め方がえげつないので、結果、あまり割引にはなっていなかったようだ。
ぼくは、監禁されていたところを、いとこに助けられた。僕はその後、当然、テロリストからマークされた。そんな僕を自衛隊は保護するために監視していたようだ。捜査妨害もテロリストたちだった。火蔵は最初から知っていたが、僕に余分な情報を与えないために隠していた。
捜査はこれで終わった。これでもう僕も起こされることはないだろう。もう、火蔵の声も聞かなくてすむ。今度生まれ変わる時は、人間はいやだな。動物。ペットとかが気楽そうでいいな。
「やあ、おはよう。」
僕は、あの聞き覚えのあるいやな声が、頭の中を駆け巡った。目を開けると、火蔵の顔があった。ひげがのび、少し老けたように見える。
「今日から君は、人間の頭脳を持った、ロボットエリート警察犬だ。」




