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記憶が消えた日

 ある日、店長から呼び出され、正社員にならないかと誘われた。いや、いや、この快適なアルバイト生活をなぜ手放さなければならないのか?結婚を機にとかならよく聞く。扶養手当や育児手当ががあるし、育児休暇制度も間違っても使っちゃいけないがある。なぜ独り身の僕が、わざわざ真っ黒な正社員にならなければいけないのか?


 そういえば、先月、正社員になった先輩が急になくなった。店長はガンとか言ってたが、前日まで元気に働いてたやつが、ガンで急死するか?まさか、今度は僕を過労死にでもさせる気か?

 ただ、即答するには準備不足だ。断るだけの十分な理由が必要だ。

「急なんで、一応、考えてからで。」

「そうだよな。いや、急ですまなかった。正社員になれば、すぐじゃないが時給は倍になるぞ。」

 店長は、満面の笑みでごり押ししてくる。


 知ってるんだよ。自給が倍になったって、保険だの制服代とか備品代とか、とにかくやたら天引きされてたうえ、バイトで積み上げた実績もちゃら。手取りは、バイトの新人なみってんだから。ようは、時給の上がったバイトを一旦くびにして、安い手取りで再雇用するってからくりだ。

 仕事にもどると、

「正規社員になるだって。いやあ、給料上がるんでしょ。いいなあ。」

 バイト仲間が口々にうらやましがる。

 おいおい、どこからその話しを聞いた。どうせ、俺が減ったら、その分、自分達の昇給があると考えてるんだろ。それに、おれがもしお前らの上になったときのことを考えて、おべんちゃらを言ってるだろ。

「まだ、決まっちゃいない。お前等バイト仲間が気に入ってんだ。お前等の上に立つ気なんてねえよ。」


 僕の記憶はその日の帰宅途中で消えている。

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