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一件落着?

 操作はいきなり終了した。

「え?何か忘れていない?自衛隊に役人はどうした。」

 ぼくの声は届かない。

「上からの命令だ。きみの死因が特定され、犯人も捕まった。操作は終わりだ。」

 その言葉を最後に、AIは停止し、僕の記憶も消えた。


 その後、僕が目覚めたのは三年後の真冬だった。

「久しぶり。」

 火蔵の声だ。ん?部屋が以前より狭い。

「はは、世の中の技術は進んでいる。僕は今、カプセルベッドの中だ。目の前のVRモニタに必要な資料はすべて映し出される。今君とも、モニタ越しに会話している。新しい発見があった。どうやら君は記憶喪失にかかったことで、旧記憶と新記憶が別々に蓄積されてしまったようだ。残念ながら新記憶はかなり失われてしまったが、断片的には訓練で戻るそうだ。それと、この三年間で起こった関連する事件の情報を加えて置いた。」


 僕はその時初めて衝撃の事実を知った。Dくんが殺害されていた。ジャーナリストのDくんは恨みも買うこともたびたびあったろうし、口封じにあってもおかしくない。

「関係する事件は全て洗い直すことになった。」


 カプセルベッドは、人間を寝たまま運ぶ宅配サービスだ。人は乗り物に乗るための移動すらも面倒になったようだ。ただ、一方では、古い車が好きで、自分で運転するようなマニアもいる。火蔵は移動中、僕に一枚の写真を見せた。

「この人物に見覚えは?」

 ない、と即答しそうになったが、もやもやした感覚をおぼえた。何度も見返す。う~ん。なんだか初めて見る気がしない。

「白いつなぎを着せてみようか。」

 デジタル社会は便利だ。写真の着せ替えなど造作もない。僕は、思い出した。その時、憎しみの感情もよみがえった。

「僕が死ぬ直前に逃がした男。」

 しかし、だれなんだろう。

「次に、これはどうかな。」

 野良着をきたおばちゃんの姿。

「知ってる。香川のうどん屋。」

 そうか、僕らが逃がしたのは、裏番頭だったんだ。しかし、どうして火蔵は逃がしたのが裏番頭だと気付いたんだろう。

「君の新しい記憶を抽出しようとした時に、現れた映像に彼がいた。」

 しかし、これがDくんとなんの関係があるんだ。

「当時、Dくんとこの男が頻繁に連絡をとっていたことが確認されている。だが、ある日を境に世間から姿を消した。警察がその所在を知ったのはずっと後のことだ。」

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