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事故

 元組長は警察に協力していると知られると困るということで、直接、話は聞けなかった。ただ、オーナー経由では、自衛隊についてはやはり知らないという。

 その代わりと言ってはなんだが、僕の死んだ状況を逃走屋が話してくれるということで、店の中で待った。


「こんな商売なんで、名前は伏せさせてもらいます。」

 男は、酎ハイを頼んだ。面が割れると仕事がやりにくいので、運転手は車の中にいるという。

「あいつのことは、よく覚えてるよ。勘違いでわりぃことしちまった。まあ、こっちもできるだけのことはしたんだがな。食い物も、おれたちよりいいもの食ってたし、暇なときにはオンラインゲームもし放題。力仕事もないし。結構優雅な生活だったと思うぜ。死んじまったのは誤算だったがな。」


 その日、僕らは仕事のため二人で出かけたそうだ。記憶喪失の僕が運転はできない。仕事のために白いつなぎを購入し、現場に向かった。宅配業者に化けて、荷物の中に依頼者を隠すのが普通だが、この日は少々違った。依頼者が閉所恐怖症ってことで、依頼者と僕がいれかわって、僕を荷物にいれてでていく手はずだった。二人で宅配にいくのは不自然なため、電気工事の業者として出かけ、段ボールに隠れて搬出する予定になっていた。依頼者と逃走屋が僕の入った段ボールを運び出す。あとすこしというところで依頼者が縁石につまずき、僕は段ボールごと放り出された。真っ暗な箱の中、僕は何もできず舗装道路に頭をぶつけた。

 逃走は成功。ワゴンでは目立つので、依頼者を別の車に託すと、依頼人を守るために僕の死体を公園に処分しに行ったそうだ。死体遺棄は罪。経緯を秘密にしてくれれば、自首するそうだ。かわいそうだが、刑事罰なので、僕の意見は意味がない。


 今となっては、依頼人がわざとだったかどうかも確かめようがない。事故であれば、隠れている依頼人を探し出してことを荒立てる必要もない。

 警察の仕事は、法に反する行動に関して調査したり、犯人を捕まえることで、真実をあばくところではない。それは、検事や裁判官の考えることだ。

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