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ブラックジャンク

 原九朗の話の概要はこうだ。


 一年前のあの日、彼と他の二人は何者かに呼び出された。そして、サギソウとユスリカを見せられて、秘密を知ったものがいると分かった。

 彼が行っていたのは、詐欺ではなく、メニュー偽装だった。現在は消されているが当時のメニューにはA5ランク松坂牛使用とかかれたものがあった。オージービーフに松坂牛のA5の牛脂をまぜていた。ステーキ―を焼く油として、あるいはハンバーグに混ぜて。

「きちんと一部A5ランク松坂牛使用と書いておいた。大抵の客は一部のメニューの肉がA5ランク松坂牛と勘違いしたようじゃが。料理はほぼ真っ黒じゃから見た目にわかるやつはおらんかった。それに、うちのようなジャンクフード屋にくる連中なんぞは、みんなバカ舌じゃしな。後に、紛らわしいと注意を受けたが罪にはならんかったよ。」

 悪びれる様子もない。それを僕が感づいて脅してきたんだと思ったらしい。


「わしは、昔馴染みの組長に相談した。そんな矢先の、あの日じゃ。サギソウは偽装のことだと思った。」

 それだと組長がユスリカで驚いたこととつじつまが合わない。

「やつは、ユスリカではなく赤虫だから驚いたんじゃ。赤虫とは火事の事じゃ。今時店に放火するような連中はいない。このネット社会で火事といえば、炎上。つまり、法でさばけなくても、偽装していることをネットでばらし、炎上させるということになる。そうなったら、売り上げはがた落ち。ゆすりたかりの類なら簡単に片が付くが、炎上狙いの正義漢ぶったやつはたちが悪い。だから、打つ手なしと思ったのじゃろ。」

 犯人捜しのために、店長を通じて僕に正社員の話を持ち掛けてきたそうだ。それを断わろうとしたことで、正義感の強い犯人の仲間だと思ったらしい。

 そこで、逃走屋に拉致をさせたが、犯人からの要求がつづいて、間違いだと気づいた。今は、メニューを直して、炎上だけは避けたが、現在も戒めとしてサギソウと赤虫は処分させてもらえないそうだ。


 これと僕の失踪とどう関係するのか。疑問に思いながらも話を聞いた。


 拉致した時の打ちどころがわるかったのか、記憶喪失になってしまったらしい。そのため、僕は逃走屋の手伝いをしながら生活をしていた。話によると潜りだが腕のいいブラックチェーンの医者の治療を受けていたらしい。


「自衛隊になにか心当たりは?」

 オーナーは火蔵の問いに、知らぬ存ぜぬと繰り返すだけだった。

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