推理
Dくんがジャーナリストだとすれば、何の事件を追っていたかだ。グループオーナーの仮想通貨の詐欺とそれをねたにゆする元組長という関係だろうか。これについては担当部署が違う上に、まだ操作中なので、そちらに情報を渡すことになる。
元組長と関係のある逃走屋が彼の代わりに動く。組関係者が逃走屋を利用することは想像にかたくない。かれらなら多少手荒なこともするだろう。
火蔵の推理通りなら、僕は犯人かその仲間と思われて、彼等に拉致された。気絶させられた時の後遺症で記憶が引き出せなくなったのだろう。だが、犯人は別にいたことを知った彼等が、一年後死んだ僕を処分したってことだ。
僕は、仲間ではない・・・はずだ。記憶が欠落しているので自信があるわけではないが、そんな正義感は持ち合わせていない。
「おそらく仲間はCくんだよ。」
いまだに、メッセージの品を管理している。だが、これだけで自衛隊まで動くだろうか?
「確認とれました。運転手はフリーのジャーナリストで、十年前は獣医学部建設の賄賂疑惑を追っていました。」
車が本部からの報告を受けた。どうやら、僕は彼と間違えられて拉致監禁されたんじゃないかとおもわれた。何らかの原因で、一年後死亡。だれかを逃亡させるための身代わり死体に使おうと思ったが、失敗したのかもしれない。
自衛隊が動き回っていたのは、僕たちが動き回ることで、十年前のことが明るみに出ることを恐れたものの指示だろう。しかし、政治がらみじゃ捜査権がおよばない。公安にまかせるか。
「原九朗が、会ってもいいといってきました。」
手詰まりで困っていたところに、AIが朗報を告げた。