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フリーター天国

 僕が覚えている、一年前の姿は、ごくありふれた普通のフリーターだった。すぐれた人工知能と高景気によって企業は人間を必要としなくなった。むろん、優秀な人材は必要だ。その反面、なんのとりえもない僕らのような労働者は、次々解雇されてしまった。人間はサボる、食する、しゃべるの3Sから、無駄のスリーエス労働者とよばれた。


 しかし、収入がなければ税もとれない。国は最低賃金にみあう雇用と労働を義務化した。その結果、僕らのようなアルバイトやパートといった非正規雇用者だらけの国となったのである。そうなると、安い外国人労働者に対抗するため、長時間のサービス残業が蔓延する。金も時間もないから遊ぶこともできない。石川啄木のように手を見てため息をつくことしかできなかった。


 それでも、若者達にとっては幸せだった。銃弾が飛ぶこともなく、病気になれば手厚い医療が格安で受けられる。気に食わない上司にいびられる正社員より、店長に気を使われるアルバイト。有休はなくとも、長期休暇はとり放題。それも、次の就職先が決まるまで。こんなフリーターに優しい国がほかにあるだろうか。フリーター万歳!

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