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貧乏舌

 車は赤坂の一軒の小さな料亭に入っていった。こういったところは、一見さんお断りなので、一介の刑事では入っていくわけにもいかない。道の向かいの雑居ビルに入っているコンビニで、時間をつぶす。駐車場がないので、車は自力で近くの交番の駐車場に向かった。さすがに、街中でドローンは飛ばせないので、携帯端末とリンクする。

 しばらくすると、黒塗りのハイヤーが入っていった。

「文科省の役人がよくつかう会社だ。獣医学部と何か関係でもあるのか?」

 いやいや、こんな最下位の卒業生が何も知るわけないだろう。

「みかん農家のじいさんがらみか?建設当時、多額の賄賂が出回ったという話もあったが。」

 火蔵の問いに、AIは即答した。

「そこまでの資産は確認できません。無関係だと思われます。」


 AIってのは随分失礼なやつだ。

「料亭か。一生に一度でいいからいってみたかったな。」

 僕が思ったことをAIが口にした。

「うまいとも思わんがな。コンビニの大盛りのカップ焼きそばの方がよっぽどうまいし、腹にたまる。」

 火蔵は生来の貧乏舌だった。彼は、コンビニのイートインコーナーで、焼きそばをすすりながら、外の様子を見ていた。時折似たようなハイヤーが出入りする。

「たしか、卒業した獣医学部って大物政治家絡んでたって騒ぎになったよな。もう十年以上昔のことだから、今更とも思うが、明日あたってみよう。」

 その日は、彼はすみかである地下の資料室に帰っていった。僕のAIは充電のためスリープモードとなった。

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