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第5話 護衛艦と駆逐艦

今日は夜にもう一本アップします

「それでは、作戦の概要から説明する」


ここは護衛艦「サザナミ」の中で一番大きな部屋の『会議室』。主に搭乗員達を集めて情報伝達をする場だ。

会議室と言っても、実際に会議することはほとんどない。護衛艦は作戦を立案する機能を持たない艦であり、多くの護衛艦は同様だ。


護衛隊では旗艦となるのは護衛艦の中でも、主導護衛艦と呼ばれる艦。主導護衛艦は情報装置が高度になり、作戦立案のたの要員が常駐する。

護衛艦「サザナミ」は主導護衛艦の立案要員が立てた作戦を受領して、作戦行動を行うのが役割となる。

現在は、まだ作戦行動中ではなく、作戦開始をする集合地点まで航行している状態。


ユウトを含めてすべての乗組員が会議室に集められたのは、2日後集合地点に着き作戦がスタートするためである。


「今回の作戦は、輸送船団を護衛して第四惑星の軌道上にある宇宙基地まで送り届けること。護衛する輸送船は4万トン級12隻、護衛艦は『サザナミ』と同型艦4隻。旗艦は主導護衛艦『ハヤナミ』」


作戦の説明をオキタ艦長が実施し、各員にしっかりと伝わっているか確認する。


僕はそんなものかな、と聞いているだけで、戦闘領域にいるということがどうしても実感できないでいる。ちょっと前まで秋葉原でシューティングゲームをしていたんだから、仕方ない。


「ついては、各員同時の2時間の戦闘シミュレーション訓練を行うものとする。開始は3分後の13:00。各員戦闘配置につけ!」


カンナさんによると、戦闘シミュレーション訓練というのは、各搭乗員が護衛艦の戦闘配置について行う訓練方法とのこと。作戦に合ったシナリオが用意されていて、擬似的に戦闘が起きている様にスクリーン表示される。

当然、攻撃の指示も通常戦闘のとおり行い、ただし、実際はシミュレーターモデル上で戦闘が行われるので、攻撃することも、されることもない。


「どんな敵が攻撃してくるのかな?」

「まぁ、戦闘機と攻撃機が合計100機くらいじゃない?実際の攻撃もそんな感じだしね」

「そうなんだ」



対空レーザー室にカンナさんと一緒に入って、ヘルメットをかぶる。両手を操作孔に入れて自動的に固定されるのを感じる。

スクリーンが表示され、戦闘準備ができたことを示す。


「第一級戦闘警報発令。総員、30秒後の戦闘に備えよ」


オペレータのアナウンスがなされて、スクリーンに情報が表示される。それによると、戦闘機72機と攻撃機32機と表示されている。


「まぁ、こんなもんでしょ」


カンナさん、さすがわかってらっしゃる。

だけど余裕で答えていたカンナさんの表情が変わる。スクリーン上に展開している敵機編隊の後ろにちょっと大きな長方形が2つ表示されたのだ。情報の表示は「駆逐艦」となっている。


「なんで、こんなとこに駆逐艦が来るのよ!」


どうも、駆逐艦に攻撃されるのはカンナさんの想定にはなかったことらしい。

どうせ、僕らが操作するのは、対空レーザーだから駆逐艦は関係ないや、と思ったけどカンナさんによると違うらしい。


輸送船団の護衛において、重要なのは輸送船の損害を出さないことであり、駆逐艦がいるってことは、まず、無傷という訳にはいかないらしい。


「とにかく、戦闘機を減らしてミサイルと攻撃機と駆逐艦に届かすこと、それが私たちの役割よ」


やっぱり、僕らは戦闘機が相手をすればいい。前の実戦闘のときは、とにかく何も分からずにいきなりだったけど、今度は訓練だし、必要な情報はちゃんと集めたし、状況はずいぶんらくだ。


来たぞ、戦闘機の編隊。どれを狙おうかな。じーぃと見ていると第三編隊が気になる。三機の編隊。なんで、第三編隊が気になるのかは不明だけど気にせず、レーザー射撃してみよう。


第三編隊のリーダー機に、レーザー到達までの時間差を考えて見越し射撃をする。命中!

損傷「25/100」と表示される。

いきなり命中ですか。なかなか幸先がいいねっ。


チャラララッタラーン♪「チュートリアルのチュー太ですっ」

出たなチュー太。射撃レベルが2レベルに上がったかな?


「シミュレーション射撃レベル1になりました」

えっ、シミュレーションだと別のスキルなの?


「はい。実戦とシミュレーションは別のスキルです」

ふーん。じゃ、がんばってシミュレーションでも、レベル上げしないと。


「大丈夫です。ユウトさんはシミュレーション射撃の前世のスキルがあります」


あ、シューティングゲームの経験がシミュレーション射撃に活かせるんだ。ラッキー。


「前世スキルをコンバージョンしますか?」

もちろん、はいっ。

どのくらいの評価を受けられるんだろう。僕の前世のシューティングゲーム経験。


「シミュレーション射撃スキル、レベル12にアップしました」

なんと、いきなりレベル12。すげー。シューティングゲームに、はまっていて良かった。


「シミュレーション射撃サブスキル、精密射撃をマスターしました」

おおっ、精密射撃ができるんだ。どうやって使うのかな?


「スキルには無意識的に発動するスキルと意識的に発動するスキルの二種類があります。

射撃スキルやテニススキルは、無意識発動です。精密射撃は意識発動タイプなので、命令することで発動します」

命令って、どうやるの?


「『精密射撃せよ』って感じで頭の中で命令します。もちろん、声に出してもオッケーです」

さすがに声に出すのは恥ずかしいな。頭の中だけでいいのはよかった。


「シミュレーション射撃サブスキル、溜め射撃をマスターしました」

おっ、溜め射撃。時間はかかるけど損害が大きくなるあれ、だよね。


「そのとおりです。溜め射撃も意識発動になります」

おおっ、頭の中で命令するのね。


「シミュレーション射撃サブスキル、未来予想射撃をマスターしました」

おっ、なんかすごいの、マスターしたなぁ。


「未来予想は見越し射撃の精度を上げる無意識発動スキルです」

おおっ、もともとやっていたけど、今度はスキルのサポートが受けられるんだ。そりゃ便利だね。


「以上、前世コンバージョンでした。シミュレーション射撃の習得レバレッジは8倍になります」


チュー太が手をくるっと廻してお辞儀して消えた。なんかチュー太のアクションもレベルアップしている感じがする。


さてさて。レベル12って、どのくらいすごいんだろう。試してみよう。サブスキルも使ってみよう。


「精密射撃して、あと、溜め射撃もして」

(精密射撃と溜め射撃して、で同時に意識発動できます)


おっ、ちょっとだけチュー太アドバイスかな。じゃ言い直して。


「精密射撃と溜め射撃して」

頭の中で念じてみる。すると。


第三編隊の二番機を狙って射撃を。。。すぐにしないで溜めて。いけっ。当然ながら、見越し射撃をして。

命中!スクリーンから機影が消えて、変わりに赤いマークが表示される。

これは、脱出ポッドね。撃ってはいけない奴。


一発撃破できるんだ、レベル12の溜め射撃なら。それとも精密射撃が効いているのかな。まぁ、気にせず、連続で精密射撃と溜め射撃の命令付きでレーザーを撃ちまくる。

敵の攻撃機と駆逐艦が攻撃エリアに入る前に僕は戦闘機を合計8機を撃墜した。


しかし、72機のうち、半数以上は残っているらしくこちら側のミサイルはことごとく戦闘機と駆逐艦の対空レーザーにより破壊されてしまう。


敵の攻撃機と駆逐艦が対艦ミサイルを合計128発、発射した。やばいぞ、そのうちの10発は護衛艦「サザナミ」に向かってくる。全部命中したら撃沈かも。

今度は精密射撃だけ命令して、とにかくミサイルを打ち落とすことに専念する。一発、二発、三発。命中して撃破をするけど、数が多すぎる。四発、五発、六発。半分ちょい叩き落としたとき。


チャラララッタラーン♪「再び登場のチュートリアル、チュー太ですっ」


おっ、また出たな。レベル上がった?


「シミュレーション射撃レベル13になりました」

おおっ、やったね。


「サブスキルの連続射撃をマスターしました。意識発動で射撃スピードを上昇できます」

なんと、今、それ欲しいなと思ったとこなんだよ。


「ですよね。間に合うのかどうか、ドキドキしてしました」

えっ、おまえ、そんなこと、考えるの?


「チュートリアルのチュー太ですから」(笑)


そういって又、手をくるんと廻して挨拶して消えた。


「精密射撃と連続射撃せよ」

(精密射撃と連続射撃は同時に発動しません)


あ、そうなの?じゃあ、今は「連続射撃せよ」だっ。射撃スピードが上がる。精密射撃を使わなくても、近距離だと外れることもないらしい。

七発、八発、九発、十発。すべてのミサイルを撃ち落とした。やったー。


「護衛艦『ハヤナミ』撃沈しました!護衛艦『オキナミ』撃沈しました!」

うわっ、他の護衛艦がやられたっ。


「輸送船1番、2番、4番、5番、8番、10番、撃沈」

ありゃ、輸送船も6隻やられた。

残念。「サザナミ」は無傷だけど他の艦船はぼろぼろ。


「健闘空しく、惨敗という結果で終わった」

再び、会議室でオキタ艦長が戦闘シミュレーションの結果を報告している。搭乗員は神妙な顔をして聞いている。


「だけどさ。駆逐艦なんてずるくない?勝てっこないじゃん」とカンナさん。


駆逐艦というのは、護衛艦より2倍サイズだし攻撃力も強い。だから、四隻の護衛艦に二隻の駆逐艦だけでも、つらい状況。その上、戦闘機、護衛機が100機以上。パワーバランスが悪すぎる。というのがカンナさんの意見。


「当然、こんな状況も現実に起きるかもしれない。気持ちをひきしめて欲しい」

オキタ艦長の話が終わった。戦闘シミュレーション後のミーティングも終わりだ。


「すごいじゃん、ユウト。『サザナミ』が無事だったのはユウトのおかげだね。本番でもよろしく頼むな」

操舵手のスズカワさんが褒めてくれる。


こうして転生後、初めての戦闘シミュレーションは終わった。もっとも、実戦の方が先に経験していたので、それほど感情は動かなかった。

しかし、このシミュレーションがユウトにすごいプレゼントを残してしたと分かるには、一週間の時間が必要だった。


ユウトのスキル


レーザー射撃  レベル1

テニス     レベル4 レバレッジ5 サブスキル/ブーストサーブ

シミュレーション

 レーザー射撃 レベル13 レバレッジ8 サブスキル/精密射撃 溜め射撃 未来予想射撃

                           連続射撃

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