第21話 宇宙怪獣が増える訳
カンナとユウトが波動錬成をした直後。
誰も知らないところで物事は起きていた。
モノリスが大きく輝いて、膨大な波動エネルギーが放出されだしたのだ。
その波動エネルギーを受けて、宇宙植物のアイネが大きく葉をゆらし、一段と茂り始めだと、アイネの実がたわわに実る。
アイネの実を食べに古代魚型宇宙怪獣が現れる。
「がががおーーーん」
宇宙には何もないから音はしないという常識はすでに崩れている。
波動は何もない宇宙であっても伝わる物。
古代魚型宇宙怪獣が波動の咆哮をあげると超時空まで揺るがす。その結果、超時空を通して宇宙怪獣が集まってくるのだ。
最初に集まってきたカブトガニタイプだけでなく、今は数種類のタイプが現れた。
波動が波動を呼び、波動の集約度があがっていく。
モノリスが活性化すると、自然とその流れが起きてくる。
それを止めることができる存在は・・・神と呼ばれるようになる。
「エルヴィン隊長。新しい敵が現れてました!」
「なにっ、本当ですか。グレッグさん」
「今度は、5つの腕を持つ宇宙怪獣です。ヒトデタイプです」
「よし、調査に向かうぞ」
サンダーボードのエルヴィン隊の三機が出撃する。
エルヴィンのサンダーレオ2改、ユウトのサンダーレオ3、カンナのサンダーキャット。
「今日は探知された新型宇宙怪獣調査だ。まだどのくらいの強さかは不明だ、無理するなよ」
「「了解」」
出たぁ、宇宙怪獣ヒトデタイプだ。
しかし、そんな奴、新生サンダーレオ3にとっては敵じゃないぞ。
いけーーー。
三体のヒトデタイプがスクリーンに映っている。
おっ、なんだかぐるぐる回っている。うわっ、複雑な動きをしだした。
波動レーザーで狙いをつけようとするけど・・・間に合わない。
「エルヴィン、こいつら速すぎるぞ。照準すらつけられない」
「こっちも一緒だ。そうだ。カンナさん。にぉおーん、一発撃ってくれ」
にゃおーん、っていうのはカンナさんがサンダーキャットの波動エリア兵器をそう呼んでいる物。
「わかりました。一発いきます」
三機の機体の中に「にゃおーん」っていう大きな音が流れる。これは単にエリア兵器を発射したことがわかる様にしているだけ。本当は無音だ。
「どうだ?おっ、ヒトデタイプの動きが止まったぞ。いけっ、ユウトっ」
「もちろんだ」
止まったヒトデタイプに接近して、強化された波動レーザーをぶち込む。一体撃破。
旋回して次に向かいこれも波動レーザーで攻撃。二体目撃破。
三体目はエルヴィンが数度の攻撃で撃破に成功。
「敵の殲滅を確認した。ドロップアイテムは2」
新しい敵だから、ドロップアイテムも新しくなっている可能性あり。
どんなのか、楽しみ。
「あ、青くてきれい」
ドロップアイテムは波動クリスタルで大きさはカブトガニタイプと一緒。
だけど、色が赤から青に変わっている。
小さな波動クリスタル(青)だ。
「どうします?もう帰りますか?」
いちよう、リーダーのエルヴィンに聞いてみる。
もっとも、まだ帰るつもりはないんだけどね。本音では。
「まだいけるよな。新型は見つからないから、カブトガニタイプを狩るぞ」
「「了解」」
結局、その日はあとカブトガニタイプを12体倒して、赤の波動クリスタルを5つ回収して基地に帰還した。
「グレッグさん。ヒトデタイプも、『にゃおーん』を使うと余裕でした」
「そうでしょう。あれ、いいですよね」
「それと、これ回収したんです」
「おっ、青クリスタルですね。いいですね」
「波動錬成に使えますか?」
「もちろん。ただ、来週にしてくださいな」
「なぜです?」
「あまりのユウトとカンナの波動錬成が高出力だったみたいで、調整がいるんです」
残念。
仕方がないから、来週まで一杯集めておくか。




