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第12話 ツインソウルとモノリス

「ねえ。ユウト」

「なに?カンナ」


「もしかして、私たち、あそこに向かっているのかな?」

「そうみたいだね」


ユウトとカンナは、今、超最先端な宇宙船の中にいると思われる。と、いうのも、六畳くらいの広さの真っ白な部屋にいて、ユウトは、アンティークなロッキングチェア、カンナはロココ調みたいデコラティブな椅子に座っている。


元々は何もない真っ白な部屋だったのが、「椅子ってないの?」って聞いたら、僕好みなロッキングチェアが出てきて、「私も」というカンナには、カンナ好みのデコラティブな椅子が出てきた。


すっと床が盛り上がったと思ったら、しばらくしたらそれぞれの椅子の形になった。原理は分からないけど、すごく便利な機能がついている。


「状況を知りたいな」と言ったら、今。搭乗している宇宙船の情報と進んでいく方向の画像が出て来た。


それによると、僕らが乗っているのは、10mほどの宇宙船。もともと乗っていた搭載機がどうなったのかは不明。白い光の輝きがなくなってきたら、そんな状況になっていた。


僕らの向かっているのは、宇宙生命体『アイナ』がいた場所から1万キロ先の地点だとスクリーン上の情報が指し示している。その地点の画像を出してもらうと、巨大な物体があった。


黒い板。最初、その物体を見たとき、僕もカンナもそう思った。そして、僕はその物体の名前を知っていた。


「もしかして、モノリス?」


長い辺が1000メートルで、短い辺が450メートルで、厚さは50メートルほど。黒くてピカピカな物体。宇宙にちょこんと浮いていて、じっと動かない。


これは、伝説になった名アーケードゲーム、『ゼビウス』に出てくる、モノリスだ。そのルーツを追いかけると、名作SF映画「2001年宇宙の旅」にいきつく。


黒くて薄い神秘的な板、そんな物体はモノリスに違いない。


「モノリスって?」


カンナに聞かれて困ってしまった。転生した話をしていないから、説明不可能だ。


「謎の物体だ」

「そうね」


さすがに色んなことが一気に起きて、僕もカンナも驚くことに飽きてしまった。どうせ一度はあきらめた命。モノリスだろうが、マクロスだろうが、なんでも来いの気持ちになっている。


「何が起きたのか説明してほしい」


そんな指示を出してみたけど、反応は無し。きっとこの宇宙船も説明できない状態なのだろう。


まぁ、現実的な説明をイメージをふくらましてするとすると、あの物体はこの宇宙船の母船が基地なのだろう。どうやったら知らないが僕らのことを助けて、母船に連れていく。それがこの宇宙船のミッションなのだろう。


「ちゃんと助けてくれたお礼を言わないとね」

「そうね。でも、言葉伝わるかしら」


「きっとさ、万能翻訳機くらいあるでしょ、あのくらい超最新技術を使っている宇宙船なら」

「それもそうね」


一万キロの距離は宇宙船にとって身近な距離で5分ほどで着いてしまった。

モノリスがすぐ近くにある所まで来ても宇宙船は接近を続け、とうとうモノリスの中に吸い込まれてしまった。


真っ白な宇宙船の部屋が端から黒く変わっていく。その部分がモノリスの境目なのだろう。部屋がすべて真っ黒になって、宇宙船の動きが止まった瞬間、聞きなれた音がした。


ジャジャジャジャーン♪


「チュートリアルのチュー太ですっ」


ネズミモチーフのゆるキャラ、チュー太。


あれ、でも違う。いつものチュー太は、できそこないのキャラのほず。サンリオのキャラを許可なく真似した安っぽいキャラのはずだ。


「かわいいっ、何これ?」


ほら、カンナが反応してる。あんまりキャラ物に興味がない僕が見ても、今回のチュー太はよくできている。まるで、サンリオとジブリが共同して次世代かわいいキャラを開発して、それも偶然すごいのできたってレベル。

ぬいぐるみにしたら、一気に銀河級に人気になるに違いない。


「どうしたチュー太。ずいぶんとレベルが上がっているじゃないか」

「何を言っているんですか、ユウトさん。いままでのチュー太がレベルが低かったのは、イメージ貧困かユウトさんが

原因なんですから」


「そ、そうなのか?」

「波動パワーが低いからイメージ転送に限界があって、ああいうキャラになったんです」


「なるほど・・・って、もしかして、レベルアップってこと?チュー太が出てきたということは?」

「まぁ、それもあるけど、まずはそっちから片付けましょうか」



チャラララッタラーン♪


「ユウトとカンナはふたり揃って、ツインソウル覚醒レベル1になりました」

「そして、モノリスに入ったことで、ユウトとカンナはルートモノリスレベル1になりました」



よくわからないけど、ふたりとも不思議なレベルが上がったということね。そして、やっぱりここはモノリスってことで。



「はい。ここはモノリスです。ちょっと説明すると、このモノリス、レア物なんです。全銀河系で今は、201個あるルートモノリスのひとつです」


「うーん、それはすごいんだろうね。よくわからないけど」


「えっと、全銀河系というと、3200億ある星系で201個だけってこと?」

「そうです。ルートモノリスですから」


「ふーん、なんかレアっぽいね。で、モノリスレベルが付くとなんかいいことあるの?」

「ご自分の胸のあたりを見てください」


そう言われてみてみると、胸のところに長さ5センチくらいのモノリスが見える。まるでペンダントをつけているようだ。


「へぇ、なんかおしゃれ」


「カンナさん、気に入ってもらえました?」

「はいっ」


確かに高そうな物質で作られている感があり、高級感が感じられる。



「そのモノリスは、モノリスレベルが1以上の人にしか見えません。モノリスレベルがある人はお互いに認識できるということです」


「そうかぁ、で、モノリスレベルが1以上の人ってどれだけいるの?」

「内緒です」


おいおい、そのくらい教えろよ、チュー太。


「それよりもチョー太さん。モノリスってそもそも、何なの?」

「よくぞ聞いてくれました、カンナさん。ユウトと違って良いこと聞くなぁ」


おまえ、一言多いぞ。


「モノリスというのは、基本的には高次元の存在です」


「高次元?」

「はい、高次元です」


そこからチュー太による次元の解説が始まった。


次元というのは、今いるところが3次元と呼ばれる場所で現時空とも呼ぶらしい。だから4次元は超時空と呼ばれる。超時空においては現時空の物理法則は適用されない。だから、4次元の超次元空間を通って移動するのが、超時空ジャンプ。恒星間の移動は超時空ジャンプをすることで光速を超えて移動できるんだ。


もっと高次元の五次元とか六次元とかあるらしいけど、現次元には直接影響することはあまりないから、今は在るということだと理解すればいい。


「次元というのは、ずっと上の十次元とかもあるのかな?」

「うーん、察しが悪いぞ、ユウト。そんなにあるはずないだろう。七次元までだ」


なんか、チュー太の対応の仕方、カンナと僕じゃ違う気がするんだけど。


「チュー太さん。じゃあさ、モノリスはどうなの?」

「いい質問です、カンナさん」


やっぱり対応違うよね、こいつ。


「モノリスは三次元から六次元まで、4つの次元に在ります」



うーん、4つの次元に存在するモノリスかぁ、すごいとこにいるんだなぁ、今。



「それじゃ、モノリスレベル1になったってことは、もしかしてすごいことなんじゃないかな?」

「おっと、ユウトさん。気づいてしまいましたね。正直言ってモノリスレベルはチートです」


チート。

そうじゃないかって思っていんだ。だって、モノリスに向かうだけの宇宙船だって、とんでもない代物だったから。

モノリスレベルがあるってことは、なんでもできる。かもしれないっ。


「じゃあ、チュー太さん。モノリスレベルがあると、何ができるんでしょう?」

「ごめんなさいカンナさん。それは僕が教えることができないんです」


「なぜ?」

「それはモノリスの意志と言っておきましょう」


内緒かぁ。でもいいさ。チート能力が手に入ったのは間違いない。

さて、困ったぞ。チート能力があるのに何をすべきかは、何もないぞ。


「それじゃ、チュー太さん。ちょっと教えてほしいことがあるんですが」

「なんでしょう、カンナさん」


「モノリスに出会ってしまった私たちは、何かすべきことがあるんでしちょうか?」

「よくぞ聞いてくれました。それがモノリスミッションです」


「へぇ、そんなのあるんだ」

「はい。ファーストミッションは、『うさ耳八幡宮』の参拝です」


八幡宮っていう神社の参拝かぁ。ずいぶん簡単なミッションだなぁ。


「それでは、そろそろ時間です。私は一度消えます。必要なときは勝手に現れますので

カンナさん、よろしくです」


「以上、超時空チュートリアル、チュー太でした」



そういうと、チュー太は消えた。そして宇宙船はモノリスを通り抜けて、室内が黒から白に変わる。


「ふう。まぁ、なんだな。やるべきこともわかったし、ちょちょちょいと参拝しましょうか?」

「えっ、本気で言ってる?それ。簡単にはできないわよ」


「なんで?」

「『うさ耳八幡宮』っていうのは、30光年先の星系イナバ、にあるのよ」


30光年って、なかなか遠い。この時代の常識は一般人は10光年をジャンプするのに1年の準備期間が必要とされている。

つまり、『うさ耳八幡宮』に行くには最低3年はかかるということ。当然費用もけっこうかかる。


「そうかぁ、じゃあモノリスミッションは一旦おいておいて。護衛艦『サザナミ』に戻ろうか」

「そうね」


宇宙船に護衛艦『サザナミ』と合流する予定ポイントを指示して、そこへ行くように頼む。すると、光速の95%のスピードで向かったので、約1時間で到着した。


「いないわね」

「いないね」


『サザナミ』との合流予定地点には何もなかった。しかたがないから、今度は『サザナミ』の到着場所、第4惑星の宇宙ステーションに向けて移動をした。

すると、大変な騒ぎになってしまった。


あらかじめ到着を通常通信で連絡したのに、待っていたのは宇宙ステーションを守るすべての戦闘艦。

駆逐艦8、護衛艦20、戦闘機・攻撃機多数。


接近するば攻撃すると警告されてしまった。


どうも、二人のいる宇宙船がとんでもない波動エネルギーを発しているらしい。そのパワーは皇国ソルート連合艦隊の誇る巨大戦艦『ミワ』のなんと5倍だという。

積み荷を拾いに行ったふたりがそんな化け物な宇宙船に乗って帰ってきたと言っても信じてくれるはずはない。

皇国ソルート軍と戦闘なんてしたくないから、あきらめて去ることにする。



「どうしよう。いくとこなくなっちゃったわね」

「うーん。困った」


この宇宙船、必要なものなら言えば大抵は用意してくれる。たぶん波動エネルギーは無限だろう。なんの心配もないと言えばそう言えるのかもしれない。

だけど、目的が全くないというのも困ったもんだ。


「あ、そうだ。この船ならもしかして30光年くらい跳び超えることくらいできるかも」

「無理よ。船ができても、私たちが耐えられないから」


ぴぴぴ。

あ、チュー太だ。ただ、3センチくらいでとっても小さい。


「この船はモノリスから1光年以上離れることはできません」


それだけ言うと、ミニチュー太は消えた。チュー太のメッセンジャーらしい。



「やっぱり、目的がなくなってしまったわね」

「あ、忘れてた」


「何?」

「目的があるじゃないかっ」


「何するの?」

「ジジャーン」



取り出したのは、レオナルドリゾート株式会社のスタートアップ会員証。キャッチセールスを手だったお礼のひとつとして、バウマンさんからもらっていたのだ。


第三惑星ネーデルにあるリゾート専用小島。そこのリゾート宿泊施設がなんと8割引きで利用できるという。それも、惑星ネーデルにおいては、イウト連邦の法律が適用になるので人権制限者であることは関係ないらしい。


「やった、カンナさんとリゾートデートっ!リア充な青春が目的だぁ」


やっと、モノリスとツインソウルが出てきた。

第一部が終わりました。次からは毎日朝8時の更新だけになります。



◆ユウトの獲得スキル一覧


レーザー射撃  レベル1

シミュレーション・レーザー射撃 レベル13 レバレッジ8

  サブスキル/精密射撃 溜め射撃 未来予想射撃 連続射撃

テニス     レベル4 レバレッジ5

  サブスキル/ブーストサーブ

セールス    レベル3 レバレッジ2

搭載艇操縦   レベル8

搭載艇射撃   レベル10

ツインソウル覚醒レベル1

ルートモノリス レベル1

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