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彼岸まで  作者: 若松ユウ
二両目「憤怒と激情の国~A country of wrath~」
8/33

#007「摩天楼」

@ガブルーン

中狼「天に向かって聳える、無数の鉄骨ビルディング」

小華「群青と蛍光オレンジのケーキ、ショッキングピンクのジュース」

中狼「大量のスジ肉とポテトの山」

小華「どうやら、大きいこと、丈夫なこと、たくさんあること、派手なこと、目立つこと、一番であることが重要みたいね」

エドワード「美国は開拓されて間もない、新しいエネルギッシュな国だからね。スクラップアンドビルドに、トライアンドエラーの連続さ」

中狼「より強く、より絢爛に ポップでゴージャス」

小華「興奮と感動のドリームカントリーで、エキサイティングな毎日を。パンフレットのままね」

エドワード「看板に偽りなしだろう? 退嬰せし栄華の面影にしがみついてる、どこぞの元覇権国家とは違うよ」

中狼「ひょっとして、吉国のことですか?」

エドワード「知ってるのかい?」

小華「ここに来る前に、行ったことがありまして」

エドワード「陰気な国だっただろう? 古都としての気位だけが残り、そのプライドの高さが邪魔して他国の良さを受け入れられない、可哀想な国さ。時代は、パクスガブルーナになりつつあるというのにね。――ここだよ。ようこそ、我が家へ」

  *

@エドワード邸

夫人「お疲れになったでしょう? どうぞ、お掛けになって」

中狼「失礼します。うわぁ、フカフカだ」

小華「中中。どっかり真ん中に座らないで、端につめて。――わぁ、どこまでも沈んでいって、起き上がれなくなりそう」

夫人「アーサーが珈琲を淹れてますから。クッキーもあるわよ」

中狼「何から何まで、すみません」

小華「家中を隈無く紹介してもらって、その上、ご家族の皆さんまで」

夫人「ゲストを安心させるための、この国ではポピュラーな歓迎パフォーマンスなんだけど、自慢たらしいと思ったかしら?」

中狼「いえいえ。そんなことないです」

小華「広いお庭やプールがあって、素敵なお家だと思います。お子さんたちも、明るくて元気いっぱいで、一緒に居て楽しい人たちですし」

夫人「フフフ。多様な種族が共存するためには、どうしても自己開示が必要なの。後ろ暗い隠し事がないという証明ね」

中狼「所変われば」

小華「品変わる、ね」

エドワード「珈琲用のカップは、どこだったかな、マイハニー?」

夫人「また忘れたの? その隣の戸棚にあるバスケットの中よ、マイパンプキン」

中狼「ハニー? パンプキン?」

小華「クララベルさんは蜂蜜で、アーサーさんは南瓜なんですか?」

エドワード「最愛の人、という意味だよ。――おまたせ」

夫人「お砂糖が無いわよ。――どちらも、甘くて美味しいでしょう?」


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