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彼岸まで  作者: 若松ユウ
二両目「憤怒と激情の国~A country of wrath~」
7/33

#006「不夜城」

@香澳島中央駅

中狼「二号線に停車してる毘沙門天号に乗って、あの暖かそうな橙色の巽橋を渡った先にあるのが、目的地の美国。ユニコーンが描かれた国章や、ドラゴン、狼、猿が描かれた国旗が目印。そこのガブルーンって場所で、エドワードって人を訪ねて、この瓶いっぱいのコーラを貰ってくるのが、今回の使命。慈悲を重んじる国柄でって。オイ、聴いてるのか、小小」

小華「聞いてるわよ。三割くらい」

中狼「十割で聴け」

駅員「まもなく、二号線の列車が発車いたします。ご乗車のお客様は、お急ぎください」

小華「早く乗らないきゃ」

中狼「走るなよ、小小。危ないだろうが」

小華「転んで怪我するから?」

中狼「違う。瓶を割られたくないからだ」

小華「あら、そう。……わたしの心配はしてくれないのね」

中狼「ん? 何だって?」

小華「うぅん、何でもないわ。急ぎましょう」

  *

@美国中央駅

中狼「フゥ。お喋り地獄から、ようやく解放されたぜ」

小華「前回とは逆だったわね。目が合って三秒で、向こうから話しかけられるんだもの。ビックリしちゃったわ」

中狼「よくも、まぁ、あんなに次から次へと話すことがあるもんだぜ。聞いてるだけなのに、ドッと疲れた」

小華「十割で聴くからよ。あぁいう話は三割だけ聴いて、あとは聞き流しちゃえばいいのよ。――さぁて。ガブルーンへは、どう行ったら良いのかしら」

エドワード「やぁ、お二人さん。待ってたよ」

中狼「それは、どうも」

小華「失礼ですけど、どちらさまですか?」

エドワード「様と呼ばれるほどの者じゃないさ。名乗る前に確認だけど、二人は、リトルフラワーちゃんとミドルウルフくんに間違いないかな?」

中狼「合ってます、けど」

小華「どうして、それを?」

エドワード「私は、アーサー・エドワード。ホワイトカープ氏とは、二十年来の付き合いなのさ。それから一度だけ、スカーレットムーン氏にも、お世話になったことがある。……あぁ、うん。彼女とは、二度と会いたくないね。あんな痛い思いをするのは、一度で充分だ。――オッホン。これで、謎は解けたかな?」

中狼「えぇ。でも」

小華「まさか、駅まで迎えにこられるとは思いませんでした」

エドワード「子供だけで街を歩くのは、ちょっと危ないんだ。特に、香澳島の治安の良さに慣れてる二人は、ズルイ大人にとって、絶好のピジョットだからね」

中狼「ピジョット? 鳩なんですか、俺たち」

小華「鴨ではなくて?」

エドワード「あぁ、そっか。そっちではダックだったね。うんうん。違う文化に触れるのは、面白いものだと思うよ。――オッと。立ち話が長くなったね。レディース、エン、ジェントルメン。どうぞ、こちらへ。それでは、これから眠らない街ガブルーンへ、二人をご案内しましょう」


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