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94話 森に突入3 -ラスボスが現れましたね-

ノリと勢いを止めることは誰にもできない!

「次が最後の広間になるみたい。この先は森が広がっていて道もない状態だったよ」


 亮二は休憩所となっている広場で今まで討伐した魔物の肉をメインとした料理を作っていた。これまでの30個を上回る広場の所有者を変更する為に討伐した魔物の数は130体程になっていた。魔ウサギに始まって、今まで討伐した事の有る豚人、犬人や猫人、赤狼を始めとする青狼、黄狼、緑狼とバリエーション豊かな魔物が現れた。狼が4色揃って現れた時に亮二は「戦隊物かよ!」と思わず叫んでしまったが。


「それにしても、物凄い数を討伐されましたね。途中からリョージ様お一人で倒されてましたけど」


「それはあれだよ。婚約者のカレナリエンとメルタに戦闘なんて危ないことさせられないじゃん」


「いやいや。今ままで散々戦わせといてそれはないですよ。それに私もリョージ様と同じBランク冒険者なんですからね」


 文官の率直な感想にあさっての方を向きながら苦し紛れの言い訳をしていると、呆れた表情でカレナリエンが会話に参加してきた。隣でメルタが「そうそう」としきりに頷いている横で何故か他の随員達も一斉に頷いていた。自分以外から「それはない」と同じ感想をぶつけられた亮二は慌てて立ち上がると食事の片付けを始めるのだった。


 ◇□◇□◇□


 最後の広場に突入した亮二達一行は広場の広さに驚いていた。


「あれ?ここの広場ってこんな大きさじゃなかったぞ?」


「どう言う事ですか?リョージ様」


「さっきまで、ここの広場の大きさは今見ている半分くらいだったんだよ。休憩所からここに来るまでの間に何かが有ったとしかおも…」


 亮二が喋っている途中で広場全体に無機質な女性の声が響き渡った。


「1人モードでのチャレンジ最終面になります。イージーモード発動、5分後に最後の敵が現れます。命の保証は出来ませんので挑戦者以外の方は最終ステージより退去して下さい。繰り返します、挑戦者以外の方は最終ステージより退去して下さい」


「多分、広場が大きくなったのもこれが原因だな。今まで無かった放送が掛かるくらいだからかなり危険だと思う。カレナリエン、メルタ、急いで馬車をさっきの休憩所に誘導!そしてその場で待機及び非戦闘員の護衛!」


「リョージ様、まさか1人で戦うつもりですか?せめて私だけでも残ります!」


 亮二の命令にカレナリエンが反論したが亮二から「メルタを一人にしないでくれ」と懇願されてしぶしぶと従うと休憩所に戻るために馬車に乗り込んだ。


「リョージ様、絶対に無茶しちゃダメですよ!危なそうになったらすぐに逃げて下さいね」


「婚約者のままで未亡人なんて洒落にもなりませんから、本当に危なそうなら逃げるんですよ」


「分ってるって!ちょっと調子に乗りすぎたけど、本来の目的は王都に行くことだからね。ここで旅が終わったらアチコチから文句が出るから頑張るよ!」


 馬車が広場から出て行ったのを確認すると亮二はミスリルの剣を取り出し、ミスリルの腕輪不可視の盾形ガントレットを装着している事を確認すると、広場の中央で最後のボスが出てくるのを待つのだった。


 ◇□◇□◇□


 亮二が装備を確認したのを待っていたかのように、広場の奥から地響きが聞こえてきた。地響きの音だけでも広場に向かってきている魔物の大きさがイメージできる程であり、魔物が近付いて来るにつれて木々が倒れだし魔物が姿を現した。


「おぉ!ひょっとしなくてもドラゴンだ!」


 亮二の嬉しそうな声に反応するように咆哮を上げた魔物の大きさはダンプカーほどのもあり、身体は鱗に覆われ鋭い爪と牙が見て取れた。咆哮を受けても相手の反応が無い事に不快感を示すように再度咆哮を上げると亮二に向かって突進を開始した。巨大な相手に近接戦闘をいきなり行う勇気もなく、亮二は間合いを取りながらドラゴンの側面に回り込むとライトニングショットを放った。


「あれ?全く効いていない?」


 亮二が放ったライトニングショットは鱗で止まったようでダメージが通っておらず、ドラゴンは煩わしそうに身体を振るとライトニングショット はかき消えてしまった。亮二は立て続けにファイアアローやアイスアローを撃ってみたが結果は変わらず、連射しても効果が無い事を確認すると一旦間合いを取って作戦を練ろうとした。戦闘が始まって先手先手と手を打っており効果はなかったが、ドラゴンの動きに対しては自分の方が優勢であると油断が生じたのであろう。ドラゴンが動きを止めた事に訝しげな表情を浮かべながら、その場で立ち止まって様子を見てしまった。


「なっ!」


 立ち止まったドラゴンが姿勢を低くしたと思うと口を開けて火炎ブレスを吐きかけてきた。亮二は慌てて回避しようとしたが火炎放射器のようなブレスの勢いを完全に躱すことは出来ず、不可視の盾形ガントレットを使って頭部の防御には成功したが、むき出しになっていた右腕は重度の火傷を負ってしまった。


 -痛い!痛い!マジで痛いんだけど!インタフェース起動!体力の残りパーセントは?82%?体力的にはまだまだ大丈夫だけど、これはダメだ。痛すぎて集中できないから魔法が使えない。!!あのドラゴン!ブレスを吐いた後に突撃してきてるんだけど!回避しないとまずいんじゃな…がっ!-


 ドラゴンからのブレスを何とか回避した亮二は慌ててインタフェースを起動さすると残体力の確認をおこなった。その隙をドラゴンが逃す訳を泣く、姿勢を低くすると勢い良く突撃してきた。インタフェースを注意していた亮二は、回避が遅れてまともに突撃を受けてしまい、不可視の盾形ガントレットを再び掲げて直接身体に当たる事は防いだが、勢いを殺すことは出来ずに弾き飛ばされてしまった。


 何とか意識を手放さずに済んだ亮二はミスリルの剣を一旦ストレージに仕舞うと代わりにポーションを取り出して一気に煽った。ブレスを受けた右腕の裂傷や火傷は綺麗さっぱり消えたが、引き攣ったような感覚と脳にこびり付いた痛みの感覚は消えずに残ってしまった。


「畜生!良くもやってくれたな。今度はこっちのターンだ!」


 亮二はそう叫ぶと再度、ストレージからミスリルの剣を取り出して雷属性魔法を二重で掛けるとドラゴンに向かって突撃するのだった。

こっちに来て初めてのピンチかも。

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