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異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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70話 レベルアップの秘密なんて無いです -種も仕掛けも有りますよね-

人の口に戸は立てられません

 ドリュグルの街では上へ下への大騒ぎになっていた。“ドリュグルの英雄”として時の人となっている亮二がまた偉業を達成したからである。


 牛人の討伐によるギルド史上例を見ない2階級スキップランクアップや駐屯軍への属性付与伝授、魔術師ギルドと提携して通常より5倍の効果があるポーションの販売開始。更には冒険者ギルドの2枚看板受付であるカレナリエンとメルタとの婚約発表など、この1ヶ月で情報屋が嬉しい悲鳴を上げるほど話題に事欠かない亮二が、今度は婚約者であるメルタを冒険者として登録し10日ほどで冒険者ランクを一気に【F】まで上げたからである。


 例え、【C】ランクへのアップ条件が「後進の育成」とは言え、婚約者であるメルタを冒険者として登録した時には「素人を冒険者登録するなんて無茶しやがる。そこまでするか?」「メルタさんに狩人やらせるなんて最悪な婚約者だよな」「上手くいってるからって何でも出来ると思い込んでると痛い目を見るぞ」などと陰口を叩いていた冒険者達は、亮二とメルタの依頼完了や討伐などの報告を聞くたびに、完了までのスピードの早さや討伐数に驚き、不正を行っているのかと疑い調べたが、問題ないことが分かると驚愕と共に陰口は鳴りを潜め、変わって賞賛や、どうすれば効率良く依頼や討伐がこなせるかが興味の的になっていた。


「こんなペースでランクアップしたのってメルタさんが初めてじゃない?さすが俺の大事な未来の奥さん!」


 ギルドの受付で亮二は上機嫌でメルタに笑顔で話しかけていた。大勢が聞き耳を立てている状態で大きな声で「大事な未来の奥さん」と言われたメルタは恥ずかしさの余り真っ赤な顔をして俯いてしまっていたが。そんなメルタの様子を嬉しそうに見ている亮二と、何かレベルアップのヒントが聞けるかもしれないと聞き耳を立てていた冒険者達は対照的に苦虫を噛み潰した顔で「けっ!見せつけやがって」「何だよ、何かの秘密でも聞けると思ったら惚気話かよ!」「リョージの飯だけ腐るように呪いをかける」など罵詈雑言を吐いて「ヤケ酒飲むぞ!」と酒場に繰り出していった。そんな冒険者達の状況に苦笑を浮かべながら見送った状態で近付いて来たマルコは亮二に対して話しかけてきた。


「えげつねえ追い払い方をするな。それにしてもメルタにどんな育成をしたんだよ。尋常じゃないスピードでランクアップしたぞ。歴代の記録なんて目じゃない位の更新だぞ」


「やっぱり?俺もそう思って頑張っちゃたんだよね。いい武器とポーションが有ればパワーレベリングなんて簡単なもんさ!もちろんメルタさんの頑張りが一番なんだけどね」


 亮二はマルコに対してレベルアップするために何をやったかの説明を詳しく始めた。難しい話ではなく「討伐系の依頼を中心に受領して確実に達成」「狩人としての特性を活かして遠距離攻撃でダメージを受けない」を積み重ねる事で達成したとの説明をしただけだったが。


「“ぱわあれべりんぐ”?それはお前の国「ニホン」国の言葉か?お前の言った2つなんて誰でもすることだろう。それだけで10日で2ランクもアップできないだろ?何か秘密があるんなら教えろよ。俺とお前の仲じゃないか」


「じゃあ特別にマルコには教えてあげるよ。多分誰でも出来るけど出来ないよ」


 人の悪い顔でマルコに顔を近づけると種明かしを始めた。


「まずは金貨を250枚用意します」


「は?何言ってるんだよ、リョージ?」


「そして、その内の金貨100枚を使って短弓を自分で作ります。その際に“力の指輪”と“加速と集中の指輪”を加工して取り付けます。さらに“ミスリルの服”“防御の腕輪”“素早さの靴”を、それぞれ金貨50枚を使って購入します」


「おい!ちょっと待てって!」


「最後にこれが大事です!ウチノ家特製秘伝のポーションを20本用意します。それを1日2回に分けて飲むことで、あら不思議!1日中戦うことが出来ます。それを10日間続けたら【F】ランクメルタさんの出来上がりです!」


 どうです!と言わんばかりのドヤ顔で胸まで張って説明した亮二に対してマルコはこめかみ辺りを押さえながら声を絞り出すように吐き出した。


「って事はなにか?金の力を使って強引に依頼をこなして行ったって事か?」


「さすがマルコ!その通り!」


「ばかだろお前。そんな大金つぎ込んでどうするんだよ。これから生活出来るのか?いくらポーション事業を始めたからってポンポンとそんな大金を使っていたらあっという間に文無しになっちまうぞ」


「大丈夫だって!今までドリュグルで使ったお金なら大したこと無いから」


 今まで使ったのはお小遣い位だからと言わんばかりの亮二を見ながら、ドリュグルの街だけでなくこの国全体を動かせる人材を手に入れた確信がじわじわと湧いてきたマルコだった。


 ◇□◇□◇□


「そう言えばポーションを売り始めたんだよな?」


「そうだよ。マルコも良かったら買ってくれよな」


「もうすでに買ったわ。“試練の洞窟”でもらったポーション程じゃないけど、物凄い効果があるよな、あのポーションは」


「買ってくれたんだ。だったら丁度良かった、新作のポーションを実験…試してくれる人を探してたんだよ」


「お前!実験って言っただろう!嫁子供が居る人間を実験に使おうとするなよ!」


「大丈夫だって!ポーションの味を色々と付けようと試行錯誤してるだけだから!ちなみに蜂蜜味とオレンジ味と焼肉味と有るけど?」


「なんで、焼肉味なんてもんが有るんだよ」


「そこは、ノリと勢いで」

ポーション焼肉味はダメでした。

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