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後日談10 亮二が再びやらかす - イオルスさんもびっくりしますよね -

久しぶりに書きたくなったので投稿です。

「俺はこれから飼育員になるのですー。そして夢はキノコ王国を建立ですー。配管工には負けないのですー

るららー」


 なにやら摩訶不思議な歌を口ずさみながら、亮二が楽しそうに作業をしていた。ここはウチノ領にある亮二の屋敷であり、広い庭で柵を作って何かを飼育するための設備を作っているように見えた。カレナリエンやメルタ、他に妻達は亮二の作業を一瞬だけ確認に来たが、やっている内容が理解できないため、いつもの行動であり、なにか決まったら連絡があるだろうと放置を決めたようであった。


 しかし、イオルスだけは亮二の作業が気になったようで近付いてきた。


「亮二さん。なにをしているんですか? パッと見た感じはなにかを飼育するように見えますけど?」


「おお、イオルスじゃん。結局、期待していた世界の崩壊もなかったじゃん? いや、崩壊しないならその方が良いんだけどさ。『これぞテンプレ来たー』と思っていたのに一瞬で解決するし、それ以外も初級テンプレが多いじゃん? だったら俺がテンプレを自ら創り出そうと思ったわけさ!」


「は、はあ?」


 イオルスの質問に、亮二は嬉しそうにしながら柵を軽く叩き説明を始める。自らテンプレを創るとの意味が理解できなかったイオルスだが、柵を作っているのは分かるので追加で質問をする。


「それで、その柵の中に何を放牧するのですか?」


「ん? 魔物だぞ。あっ、でも心配しなくてもいいぞ。キノコのお化けにするから。暴れたりし、もしなにかあっても俺以外でも対処できるだろ? 柵をきっちりと作っておけば問題ないさ。材料も製造方法もこだわっているから安心してくれ」


 魔物を飼育するとの言葉に驚愕の表情を浮かべたイオルスに、亮二が慌てて補足の説明を行う。材料の木は盤面の森から無尽蔵に採れるのを加工した上で、属性を付与して多少の事では壊れないように強化してこと。また、連結をする事で、強固さが増す魔法陣が埋め込んでいるの事を熱く語った。


「ぐるり囲んでしまえば、5メートルくらいの高さで不可視のガントレットくらいの強度を誇る障壁が出るようにしておいた」


「は? えっ!? 不可視のガントレットは私が作った神器ですよ? それと同じレベルの物が作れるって……。それにしてもドラゴンを飼育じゃないですよね? キノコのお化けですよね? そんな神器を超えそうな魔道具が要ります?」


 自らが生み出した神器と同じレベルの障壁が作れると笑顔で話す亮二の言葉に、イオルスの頬が引きつる。神を超える魔道具を作り出している亮二を見ながら微妙な表情になっているイオルスに、さらに爆弾が投下された。


「ちなみにドラゴンだったら、セバスチャンに言って飼育中だよ。確か10頭くらいはいたかな? エンシェントドラゴンの指示だから、みんな逆らえないみたいだなー」


「可哀相! ちょっとどころでなくドラゴンさん達が可哀相すぎますよ! お願いですから止めてあげてください」


 ドラゴンはすでに飼育中と聞かされたイオルスが思わず叫ぶ。博愛主義の神様ではないと自覚しているイオルスであっても、古のドラゴンに脅され狭い小屋に押し込められているのを想像して、思わず助けてあげたくなったようである。


「いやいや。鶏小屋みたいに狭くはしていないぞ? ちゃんと、この柵を使って東京●ーム10個分の領地は確保しているから」


「うそでしょ!? 東京●ーム10個分って! どれだけ柵を用意したんですか! それと東京●ームの大きさは私にしか伝わらないですよ! いや、私も実際の大きさなんて知りませんけど。他の人に説明するときはどうするつもりだったんですか」


「え? そっか……そうだよな。伝わらないな。どうしよう……。マルセル王への報告書に広さの単位として使っちゃったよ」


 極力、転移前の言葉で伝わりにくいものは使わないようにとと気を付けていた亮二であったが、よりにもよって文章として残してしまった事に今さら気付く。さすがの亮二も少しだけ気になったが、報告書をみたマルセルは意外と東京●ーム何個分との表現を気に入ったようで、サンドストレム王国では広さの単位として東京●ーム何個分が正式に使われる事になるのだった。


◇□◇□◇□


「まあ、報告しちゃったものは取り消せないからもういいや。過ぎ去ったことは忘れて、ここからが本題です! ふっふっふ。イオルスには俺の真の目的を教えてやろうではないか!」


「え? ドラゴンを飼育するための柵の話は? 東京●ーム10個分だと、一辺が2キロメートルほどになりますよね!? ちょっと亮二さん、話をそらさない――」


「それでだな。俺の真の目的はドラゴンのような知能のある魔物以外を飼育できるのではないか? そこを実験するためにキノコのお化けを用いたのだよ。決してキノコを極めし者との二つ名があるからじゃないぞ。魔物を飼育するのは新しいテンプレだろう?」


「私のツッコみを無視した上に、話をぶった切った!」


 ギャアギャアと言っているイオルスに亮二はテーブルと椅子を作り出して、その上にソフィアと開発した新作のスイーツを大量に並べて紅茶も用意する。そしてイオルスに座るように勧めると、露骨に話を逸らし始めた。


「ほら、ソフィアの新作ケーキだよー。紅茶もメルタがブレンドした俺しか飲んでいない逸品だぞー。どうだ、スイーツを食べながら俺の話を聞きたくなっただろう?」


「ぐぬぬ。し、仕方ありませんね。誤魔化されてあげますよ。か、勘違いしないでよね! 紅茶とケーキが食べたいだけじゃないからね! 誤魔化されるのを進んで受けている訳じゃないからね!」


「なんのツンデレだよ!」


 出されたスイーツと紅茶を満面の笑みを浮かべながら幸せそうな顔をしているイオルスに、亮二は苦笑しながら先ほど完成させた柵の説明を始める。論より証拠と言わんばかり、亮二はストレージから次々とキノコのお化けを取り出して放していく。


 柵の中に放たれたキノコのお化けは、最初は大人しくしていたが、少しすると元気よく動き始める。そして自分の気に入った場所を見つけると、地中に潜って動かなくなった。


「は!? はー! なんでストレージに生きたままのキノコのお化けが? え? 私の作ったストレージは生き物は入れられない仕様にしましたよ?」


「ふはははははー。俺は創造神すら超える男! イオルスのストレージを解析して、生き物を入れられるスペースを作ったのだよ。ラノベでも生き物が入れられる話があるだろ」


「それは神様が最初にそういったスペースを作ったからでしょうが! 途中で追加機能をする人がどこにいますかー!」


 得意満面で説明をする亮二に、イオルスが絶叫で応える。何事かと集まった一同にイオルスが泣きながら「神様を超える物を作った罰当たりが居るんですー」との説明を聞きながらも、亮二なら仕方がないと納得する一同であった。


 その後、キノコのお化けは飼育が可能だと判明し、サンドストレム王国の主要産業として広がっていった。

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