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後日談?5 亮二サンタのクリスマスイブ

感想で「カレナリエンはヒロインなのに二人きりがない」ともらったような記憶があったので書いてみました。最初の段階では婚約者達全員を出す予定だったのですが……。どうしてこうなった?


ちなみにクリスマスネタは続きません(笑)

「ふぉっふぉっふぉ。これで完璧じゃ」


 亮二は自分の服装を眺めて満足げな表情を浮かべてた。赤い服とズボンにとんがり帽子。付け髭に大きな袋を持っていた。どう見てもサンタクロースのコスプレをしている少年だが、周りにツッコミマルコが居るわけでもなく鏡を見ながら頷いている亮二を止める者は居なかった。


「よし! これで準備は完了! おっと。準備は完了じゃ」


 誰も見ていないのに口調を修正した亮二は、大きな袋を持ち直すと気配を消して歩き始めた。最初にやって来たのはカレナリエンの寝室であり、高ランク冒険者に気配を消すだけでは物足りないと感じた亮二はインタフェースを起動すると気配遮断と隠匿のスキルを取得する。


「後は防音、消音を風属性魔法で実現させて……」


 どう見ても泥棒のスキルだが、本人は満足げに頷くとユックリと扉を開けてカレナリエンの寝室に侵入する。中に入って周りを見渡すと、冒険者としての生活が長いのかスッキリと整理されており、いつでも旅立てるような室内だった。


「さすが冒険者の部屋って感じだな。ん? これは?」


 亮二が少ない家具の中、化粧台に近付くと宝石箱が置かれている事に気付く。中身は半分ほど入っており、亮二がプレゼントした指輪やイヤリングが綺麗に並べられていた。


「半分しか入っていないのは遠慮しているからか? だったら俺がMAXにしないとな! なんかストレージの中に魔石があったよな? ドラゴンの魔石はデカすぎるから……」


 ブツブツと呟きながら魔石と鉱石を取り出して作業を始める亮二。防音と消音を風属性魔法で展開しており、かなりの音が出ているがカレナリエンの耳には届いておらず健やかな寝息が続いていた。


「えっと。指輪もイヤリングもあるからネックレスにしようか? そうだ腕輪もいいな。そうしよう。両方作っちゃおう。魔石も半分に割って……」


 セーフィリア初の魔石を割った亮二。ランクの低い魔石は砕いて素材にすることはあるが装飾品として加工したのは初であり、のちにカレナリエンが身に付けているのをみた貴族や王族の間で話題となり注文が殺到するのだった。


「よし! 出来た! 自分で言うのもなんだけど、めっちゃ良くない? 凄い! ついでに属性魔法も付与しちゃう? 付けちゃおう! じゃあ、もっと魔石をスライスしていこう」


 次々と魔石のスライスし、それに属性を付与して装飾品として完成に近付けていく亮二。非常識な塊のオンパレードである事に誰もツッコミを入れられない状況で時間だけが進んでいく。時間を忘れて作業をしている亮二だったが、ふと視線を感じて恐る恐るな表情を浮かべながら振り返る。


「なにをしてるのですか? リョージ様」


「お、おお。カレナリエン。なぜ気付いた?」


 背後にカレナリエンが呆れた表情で立っていた。宝石箱に入りきらない装飾品が化粧台の上に積み上げられており、外から薄明かりが室内に差し込んでいた。


「あれ? ひょっとして朝になってる?」


「ええ。目が覚めたら部屋の扉は開いている上に、気配もなく音もしないのに人が居るのがうっすら見えるから警戒したらリョージ様ですし、全く私に気付かないから近付いてこっそり覗き込んだら魔石をスライスするなんてあり得ない光景が広がっているし、ここは工房でもないのに次々と装飾品を完成させていくし、それって私へのプレゼントですか?」


 呆れた表情をしながらも大量に置かれている装飾品をキラキラとした目で見ながら近付いてくるカレナリエンの服装を見て、亮二が思わず息を呑む。普段はまとめている髪は全て下ろされており、薄着の寝間着からは彼女の白い肌が透けてみえていた。


「お、おう。今日はクリスマスイブだからな」


「くりすますいぶ? リョージ様のお国の風習ですか?」


 亮二と同じ部屋にいるのを嬉しそうにしているカレナリエンを見ながら、亮二が軽い感じで答える。


「ああ。恋人や家族と一緒に過ごして、最後にプレゼントを渡すんだよ。あっ! カレナリエンが最初だった! 他の皆にプレゼントが配れてない! ゴメン! 配りに行って――」


「だめです」


 クリスマスプレゼントを配りに行こうと慌てた表情で部屋から出ようとする亮二を、カレナリエンが抱き付いて拘束する。香水をしている訳でも無いのに、カレナリエンの身体からふわりと漂ってくる華のような香りに硬直する亮二。そして悪戯っ子のような表情を浮かべたカレナリエンが抱き付いたまま耳元で小声で呟く。


「くりすますいぶは恋人と一緒に過ごすのですよね? じゃあ今日は私が独占しちゃ駄目ですか?」


「い、いや。駄目じゃないけど……」


「じゃあ決まりです。リョージ様が作ってくれた装飾品の説明を聞かせてください」


 カレナリエンが亮二を確保したまま化粧台の前に座る。そして部屋の扉に向かってなにかを呟くと静かに扉が閉まった。


「これで誰にも邪魔はさせません。今日は私とリョージ様の日にしましょうね。食事もリョージ様のアイテムボックスに入っているのを出してください。ふふふ。初めてリョージ様を独り占め出来たかも」


 独占欲を前面に出してくるカレナリエンの呟きに、亮二は嬉しそうな顔をすると笑顔で了承するのだった。


 その後、カレナリエンと亮二がクリスマスイブを二人きりで過ごしたとの情報が婚約者達の耳に入り、会議と協議と高度な心理戦の結果として、年末まで日替わりでクリスマスイブを婚約者達と二人で過ごすことが決定されるのだった。

メリークリスマス!

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