後日談4? カレナリエンへの婚約指輪購入物語 -お客さん視点-
随分前にご要望で頂いた亮二君とカレナリエンが宝石店で婚約指輪を買った時の話です。
「お客さん視点でも書いて欲しい」
との事で頑張ってみました。
「ねえ。あれってドリュグルの英雄じゃない?」
えっ? どこどこ? 本当だ! 可愛い男の子が精霊の愛娘カレナリエンさんを連れて来てる!
「本当だ! わぁぁぁ。思ったよりも子供なんだね」
「なに言ってるの! 牛人を討伐したんだよ! パレード見ていないの? 名誉騎士になってたじゃん」
見てたわよ! 人が多過ぎて遠くからしか見れなかったけどね。でも今日はお姉ちゃんに付いてきて正解だったな。こんな近くでドリュグルの英雄が見れるなんて。
「可愛いわね」
同意! それ物凄く思う。うちの弟と同い年くらいかな? 来年にくらいに成人する感じかな?
「彼女にボーナ……。特別報酬として宝石か宝飾品を買おうと思って来たんだけど、何か良いのあるかな?」
えー! カレナリエンさんにプレゼントを買いにやって来たんだ! いつも相手してくれる不思議な店長さんが相手してる。あの店長さんって、物凄く家の事に詳しいのよね。この前もお父様が真っ青な顔してお母様用のネックレスを買っていたもの。
あれ? カレナリエンが物凄く遠慮してる。二人はそんな関係じゃないのにリョージ君……。君で良いよね? リョージ君が無理に誘ったのかな? なんとか納得させて色々と二人で話しながら見ているね。いいなあ。私も彼氏とここに来たいな。ダメだ。目の前の商品よりも二人に目がいっちゃう。
「ねえ。店長が用意してるのって、この店で一番高い奴じゃない?」
この店で彼とデートをしているのを想像していると、お姉ちゃんが話し掛けてきた。
「あの風魔法が使える魔道具の指輪? でも、あれって金貨500枚はしたんじゃ? 名誉騎士になったからって買えるとは思えないよ?」
否定しながら徐々に近付きながら確認すると……。
「隣にあるのも魔道具だよね?」
泣きそうな表情をしているカレナリエンさんと、パニックになっているリョージ君。それに耳打ちしてた店長が持ってきた宝石は、このお店で一番高い指輪だった。
「ちなみに、金額はどの位なんですか?」
「金貨500枚になります」
さらっと金額を述べたよ店主さん。ほら。カレナリエンさんが驚愕の顔をしてる。
「買った!」
えっ? 即答? 本気で?
「ちょ、ちょっとリョージ様! さすがにその金額は高価すぎです! リョージ様が壊した魔力測定器よりも高いですって!」
だよね! カレナリエンさんがドン引きしている。えっ? 今、気のせいか魔力測定器を壊したって聞こえてきたけど……?
「大丈夫! それ位、手持ちであるから」
「「はっ?」」
ヤバい! リョージ君がこっちを見た。なぜかお姉ちゃんと同じタイミングで視線を外していた。
「なんで声出すのよ!」
「仕方ないじゃん。あんたも一緒に声だしてたわよ!」
えっ? そうなの? でも、声も出るよ! 金貨500枚を手持ちで持ってるんだよ!
「この宝石をお支払いに利用されますか?」
「足りる?」
「もちろんでございます。1つで十分でございます。では宝石と装着用の魔石と指輪の調整費用のお支払いとして使わせて頂きます」
今度は言葉も出なかった。リョージ君の手に見えていた宝石は見た事もない大きさと輝きを放っていた。
「なにあれ? この店のどの宝石よりも大きいんじゃない?」
お姉ちゃんが愕然とした表情で呟いている。
「リョージ様、装着する魔石は風属性でよろしかったでしょうか? カレナリエン様は風使いとしても有名ですので」
「カレナリエンさんもそれで良かったですよね?」
「え? 私は風使いで有名ですよ」
分かる! 理解が追いつかないよね! カレナリエンさんが混乱状態のままで答えてる。
「カレナリエンさん、これからもよろしくお願いします。この宝石を受け取ってもらえますよね?」
きゃー! なになに! リョージ君がカレナリエンさんの右手を取って薬指に……!
「あれってプロポーズ? 皆の前で? 格好いい!」
だよねー。どうみてもプロポーズだよね? 凄い! こんな皆の前でプロポーズするなんて! さすがドリュグルの英雄だね!
「はい! もちろんです! 喜んでお受けします。これからも末永くよろしくお願いします!」
当然だよね! 受けるよね! 私もあんな風にプロポーズされたいなー。
「私は感動に震えています。さすがはドリュグルの英雄のリョージ様です。結婚の申し込みを私の店でして頂けるとは! 拍手を送らせて頂いても宜しいでしょうか? よろしければ皆さまもご一緒にお願いします!」
「英雄の結婚の申し込みに立ち会えるなんて素敵!」
「おめでとうございます!」
「感動しました!」
「よし!俺達も結婚しよう!」
店長さんが感動の表情を浮かべながら拍手をしてる。私もお姉ちゃんや店にいた人達と一緒に力一杯拍手をしていた。
「今日の特別な日を私は一生忘れません!」
カレナリエンさんが満面の笑みと大粒の涙を浮かべながらリョージ君に抱き付いていた。今日の話は彼にしよう。ひょっとしたらプロポーズしてくれるかも知れないもんね。