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出版記念SS メタ発言混じりの軽いドタバタ騒ぎ

 この話は全てフィクション(フィクション?)であり、本編は完結しておりますので、当然の事ながら本編には影響があるはずもありません!

 多少どころではないメタ発言は気にせず、軽い感じで流してもらえると幸いです。

「ついに俺の3巻が発売されるらしい!」


「急にどうされました? リョージ様?」


 突然、立ち上がった亮二が勢いよく叫んだ。相変わらずの行動に慣れてきたカレナリエンが軽い感じで確認してくる。そんな薄い反応にも気にする事なく、亮二は熱く語り出した。


「俺達の物語が本となって出版されるんだよ! Web版の206,000文字を161,000文字まで減らした上で、加筆修正! そしてプロローグやエピローグ、書き下ろしまで書いたんだぞ!」


「あ、あの。リョージ様? 一体、なんの話をされているのですか?」


 さすがに困惑した表情を浮かべるカレナリエンに、亮二はさらに勢いを付けて話を加速させる。


「それに今回は編集さんから『TOブックスで一番誤字脱字が多い作家さんですよ』と笑顔で言われ、一念発起して自ら印刷して校正した上で、目視とソフトの力を使って誤字脱字を大幅に減らしたのだ! まあ、それでもプロの手に掛かったら前回比減60パーセントオフくらいだけどな!」


 ふんすふんすとしながら明後日の方向に力説している亮二を、カレナリエンは諦めた表情で眺めていたが、メルタを呼んでお願いをする。


「分かったわ。いつも通りね」


「そうね。私達では役者不足だから仕方ないわよね」


 メルタは亮二の様子を見て、悟ったように頷きながら退出した。


「――。そして、ノベルティ用フライヤーも作ってだな……。痛ぃ! なにすんだよ! まだ1割も説明出来てないぞ! あれ? マルコじゃん。なにしに来たんだよ? いま、忙しいだ……。痛ぃ!」


「そう思うなら俺を呼び出してんじゃねえよ! お前にはナターシャや子供たちの事で感謝しているが、突然呼ばれて軽く来れるほど暇じゃねえんだよ!」


 亮二が力説を続けていると、突然後頭部に衝撃が走る。思わず振り向いた亮二の目に、苛立たしげなマルコがミスリルのハリセンを片手に立っていた。


「アオハルなマルコじゃん。ねえねえ! 聞いてよ! マルコとナターシャさんの出会いを……。って、カレナリエンは知っているよな。じゃあ、一緒にメルタやエレナ姫にソフィアや学院の友達も誘ってマルコの黒歴史を語ろうぜ! ほら! マルコも見て見ろよ! この本の最後の方だよ!」


「な、な、なんだと? おい! なんで俺達の昔の事が克明に記されているんだよ! これは前に見たイオルス神が書いたものか! ん? ナターシャと子供達も居るじゃねぇかよ!」


「おしい! 似たような奴が書いてる!」


 亮二がストレージから本を取り出してマルコに手渡す。半年ほど前に手渡された本の2倍近い厚さがある書籍をめくりながら、マルコは驚きの声を上げていた。


「話は聞かせて貰いました! リョージ様!」


「エレナ姫? 急にどうされたのですか?」


「前回に引き続き神の啓示があったのです。『すぐに亮二さんの元に向かうのです。今回は貴方の出番は多いですよ』と!」


 マルコから本を奪い取るように受け取りながら答えるエレナは、自分のイラストが多い事に満足げに頷きながら本を返す。


「よし! 今回もバッチリです! 後はリョージ様が私を(めと)って下さったら――」


「ないからね。エレナ」


「酷いじゃない! 途中で遮らないでよ! カレナ!」


 どさくさ紛れに結婚を画策するエレナをカレナリエンが華麗に止める。頬を膨らませてエレナに一同が苦笑をしていると来客を告げるベルが鳴った。


「「「こんにちはー」」」


「おお。みんなどうしたの?」


 突然訪れてきたルシアにロサ、マイシカにマテオ、エリーザベトにオルランドを見て、亮二が驚きの声を上げる。


「こっちのお姉さんが『さあ! 私に付いてくるのです! 神の啓示ですよ』って」


「おい。イオルス。なにしてんだよ?」


「だって! いつも書籍の下にしか出して貰えないじゃないですか! だったら、自らメイン舞台にババーンと飛び出してやろうと思ったんです……。痛ぃ! えっ? マルコさん? なんで? 今回は私はなにもしてませんよ? ハリセンを渡したのは亮二さんです……。痛ぃ!」


「うるせえ。お前さんが前にハリセンを渡したのが始まりだろう。それに、この世界の神に言いたいことがある。いいからこっちに来い」


 引きずられて行くイオルスを青い顔をして見送るオルランド。今の今まで目の前の女性がイオルスだと気付いていなかったようである。


「リョ、リョージ君。あの方がイオルス神って本当?」


「ああ。本当だぞ。残念な感じだけど、あれでもこの世界セーフィリアの神様だぞ」


「まさか、あんな軽い方が神だとは……」


 ガックリと肩を落としているオルランドを慰めていると、珍しく遠慮がちのルシアが亮二に話し掛けてきた。


「あのさ。リョージくん。つかぬ事を聞くんだけど」


「なに?」


「ひょとして私達の出番はひょっとしなくてもこれだけかな?」


「そうだな。2000文字を境にしていたみたいだから、これで終わりだな」


 ルシアと亮二の会話を聞いて、残りの一同は意味も分からずキョトンとしていた。そんな一同に、恐る恐るな感じで一人の少女が話し掛けてきた。


「あ、あの。私が呼ばれた理由は?」


「ごめん! 完全に忘れてた!」


「ふぇぇぇぇ! そ、そんなぁー」


 エレナに強制的に連れてこられたまま放置されていたソフィアが、亮二の台詞を聞いて悲しみの表情を浮かべるのだった。

無事に3巻が発売されて、作者が一番ホッとしております(๑•̀ㅂ•́)و✧

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