表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
421/435

後日談1 シーヴインタビューを受ける -色々と話しますね-

この話は後日談です。

元々はTwitter上で相互フォローしている湊さんから「飯テロするなんて酷い! 閑話を希望する!」とのツイートが元になっております(笑)


感想で湊さんが「シーなんとかさん」と、いつもシーヴへの愛を語られていたので実際に登場してもらいました。

「えっ? 取材ですか?」


「そうです! 今をときめくリョージ・ウチノ大公の奥様方を特集をしたいと思っています。あっ! (わたくし)、こういった者です」


 街を歩いていてシーヴの元に一人の男性が近付いてきた。最初はナンパだと思って邪険に扱っていたが、男は懐からギルド証を提示する。そこには【ナットミト新聞社所属ミナト】と書かれていた。身分がしっかりとしている事が分かったシーヴは誘われるままに喫茶店に入る。


「なに飲まれます? 私はコーヒーを」


「じゃあ、私は紅茶で」


 飲み物を注文した男性は改めて自己紹介を始める。


「取材へのご協力ありがとうございます! 私はナットミト新聞社所属ミナトです。先日のリョージ・ウチノ大公が行われた結婚式! 本当に素晴らしかったですね。そこで、我が社ではリョージ様の功績に目を向けている他社と差別化を図るために、奥様方の特集を組もうと思い取材を始めた次第です。いやあ。良いところで関係者の方にあえて良かったです」


「ふふっ。リョージ様に注目されても売り上げはいいのでは?」


「そうではないのです。最近はリョージ・ウチノ大公が紙の量産をされているので新聞社が乱立しています。そこで、我が社としては奥様方の取材を通して、男性を影で支えている女性に脚光を浴びてもらおうと考えているわけです」


 熱く語るミナトにシーヴは感心する。新聞には男性の記事は載っていても、女性が主として書かれているのを見た事がないからである。


「確かにエレナ姫の記事もリョージ様との婚約がメインでしたね」


「でしょ! なので、ぜひ協力を! まずはカレナリエンさんからお話しを聞かせてもらって良いですか?」


 ミナトがアイテムボックスからノートと亮二が開発したボールペンを取り出す。自分もかかわった開発品が目の前で使われている事に嬉しくなったシーヴは、ミナトからの質問に快く答えていく。


「カレナリエンさんは元々ドリュグルのギルドで受付嬢をされてたのはご存じですよね? マルコさんの紹介で専属受付みたいになって、冒険者仲間としても一緒に行動しました。有名なプロポーズですが、後でリョージ君……。じゃなかった。リョージ様に聞いたら、こちらの風習を知らなくて渡したんですよ」


「ええぇ! あの伝説の公衆の面前でされた精霊の愛娘への愛の告白がプロポーズのつもりじゃなかった! これは素晴らしい記事になりそうですね。これだけで特集が組める!」


「リョージ様自身は『これもてんぷれか……』と言ってましたよ」


「ああ。てんぷれですか。『運命に導かれた幸せな出来事』をリョージ・ウチノ大公の国ではてんぷれと呼ぶと聞いています。なるほど。確かにてんぷれですね! ひょっとして他の婚約者の皆さんにも同じようなエピソードが?」


 シーヴのテンプレ発言に、ミナトは大きく頷きながらメモを取っていく。メルタへのプロポーズは自分も近くにいたので詳細に説明が出来た。また、ミナトは聞き上手で相づちを打つタイミングも完璧で、オーバーリアクションで反応もしてくれるためにシーヴはさらに饒舌になっていた。


「あの時のメルタさんは本当に怖かったですよ。前日に私はカレナリエンさんから婚約指輪を見せられていたから、メルタさんの気持ちが理解出来たからなー」


「なるほど! その後にメルタさんにも指輪を買われてますよね?」


「そうそう! 宝石店の店主さんが良い感じの指輪を用意してくれたの! 私も腕輪を買ってもらって。あっ! その時の腕輪がこれです」


 シーヴが腕輪を見せると、ミナトは腕輪のデザインを描いていく。詳細に情報が書かれていき、効果なども確認された。その後もエレナやソフィア、クロにライラ。マデリーネやフランソワーズ、さらにはイオルスへのプロポーズも知っている範囲で伝えた。ミナトは興奮した状態で次々にメモを書いていく。ここまで情報提供してくれる協力者は今までいなかった。メモを取り切った状態で、満足そうに頷くと冷え切ったコーヒーを勢いよく飲み干した。


「よし! 決めた! 我が社は全十八回でリョージ・ウチノ大公が奥様方にしたプロポーズを特集で組みますよ! お一人二回ですね。読者から好評を得た場合は別枠で発行しても良いですしね!」


「えっ? 私のプロポーズの話はしなくても?」


「えっ? 貴方のプロポーズ? なぜ?」


「えっ?」


「えっ?」


 二人で首を傾げている状態が続いていたが、ミナトが何かに気付いたようで恐る恐るな感じで話し始める。


「ひょ、ひょっとしてリョージ・ウチノ大公の奥方の一人であられるシー……なんとかさんですか?」


「なに! 『シーなんとかさん』って! 酷いよ! 『シー』まで言ってるなら最後まで覚えてよ! 確かに皆の中では存在感薄いけどさ! 自分でも知ってるけどさ!」


「わわわ。す、スイマセン! 本当に申し訳ありません。なんとお詫びすれば良いのか!」


 平身低頭するミナトにプリプリと怒るシーヴ。最終的には特集の第一弾としてインタビューされた記事が発行されるとの事で手を打つのだった。その後はナットミト新聞社所属のインタビュアーとして取材をするようになり、最終的には亮二にも鋭い質問をするようになる。

 彼女がインタビュアーになってからはナットミト新聞社の売り上げは右肩上がりになり、経営にもかかわるようになるのだが、それはまた別の話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ