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391話 神都での騒動は復活します -マルコ無双の始まりですね-

マルコが無表情で近付いてきます。

「だ、だからさ。俺が悪いんじゃ無いんだよ! 俺の救援に向かうつもりだったんだろ? だったら、その殺気は間違ってると思うぞ。本当に激戦だったんだよ! フランが変身したり! 魔王の完全体になろうとしたりし……! 他にもイオルスが参戦したり。だ、だからね。ちょっ! 話を聞いて! ねえ。マルコの無表情が怖いんだけど! ねえ。カレナリエン! エレナ! 助けて!」


「知りません。私達の許可も取らずに婚約者を増やしたリョージ様の事なんて。それも神と魔王を婚約者にするなんて」


「そうですよ。神様と魔王を迎え入れるなんて拒否出来ないじゃないですか。フランソワーズさんは『魔王を降りる代わりに婚約者になりました』と、無理矢理押し通せるかもしれません。ですが、イオルス神はどうするのですか? 私達と言うより、国家レベル程度ではどうすれば良いのかも分かりません。その辺りは、ご自身で責任を取って下さいね」


 無表情で徐々に近付いてくるマルコに、顔面蒼白で思い付く限りの状況説明をしながらカレナリエンとエレナに救いの視線を向けたが、返ってきたのは呆れたような視線と、拗ねたように頬を膨らませた表情だった。


「おい。近くにイオルス神が居るんだ。懺悔の時間は十分にあったろ?」


「ちょっと待って! 違うんだって! 話を聞いてくれよマルコ!」


「うるせぇ! ちっとは人生について考えてこい!」


 マルコは叫びながら金のハリセンでフルスイングをすると、亮二を吹っ飛ばして気絶させるのだった。


 ◇□◇□◇□


「ん? こ、ここは?」


「気付かれましたか? リョージ様」


 遠くに聞こえるマルコの声に亮二は目を覚ました。柔らかな声と後頭部を柔らかく包む感触に意識を向けると、少しだけ心配そうにしているカレナリエンの顔があった。亮二は膝枕の感触から名残惜しそうに離れると確認をする。


「それで、俺はどれくらい気を失っていた?」


「そうですね。五分くらいでしょうか?」


「それで、あれは?」


 亮二が指さした方向にはイオルスが正座をしているのが見えた。そして、その周りを様々な人が取り囲んでおり、様々な表情を浮かべていた。引き続き無表情なマルコ。その周りを恐る恐る取り囲んでいるオルランドと枢機卿達。


「取りあえずはマルコが説教中ですね。最初はマルコも丁寧な対応を心がけていたみたいですが、イオルス神の回答が気にくわなかったみたいですね。段々と表情が無表情になって、ハリセンの連撃を叩き込んだ後はあの状態です」


 亮二がスキルの聞き耳を使って会話を拾うと、機械口調なイオルスの声が拾えた。


「ワタシハコウフクノカミイオルスデス。セーフィリアノチツジョヲマモルモノトシテヤッテキマシタ。ワタシハマオウデアルフランソワーズヲタダシイミチニモドスタメニコノチニノコリマス」


「よし! あと一〇〇回は復唱しろ! いいか!」


「あ、あの。マルコ殿。そろそろ、その辺りで……。いや、なにもないです。その……頑張って下さい」


 ハイライトの消えた目で一定のリズムで同じ台詞を吐き続けているイオルスを心配して、オルランドが止めさせようと声をマルコに掛けようとした。だが、マルコの目を見て数歩後ずさりをすると、小刻みに震えながらなにも無いと伝えた。


「いいのかそれで?」


「あっ。リョージくん。頼むよ! 助けてあげて! さすがに創造神であるイオルス様に正座で説教は駄目だと思う。だが、僕の説得力では彼を止められない。ここはドリュグルの英雄の出番だと思うんだ!」


「おい。俺に押し付けるなよ。ついさっきまで気絶してたんだぞ? それでイオルスは置いといてフランは?」


 亮二のツッコミに(すが)るような視線で助けを求めたオルランドだったが、にべもなく断られてしまう。周りに居たラッチスを始めとする枢機卿も諦めたような表情になり、少しでも早く終わるように神に祈りを捧げるのだった。


「神に祈りを捧げても目の前のイオルスにいくのか? それとも神域にいるイオルス達にいくのかどっちだろうな? それで、フランは? えっ? エレナが別室に連れて行った? 分かった。俺はそっちの方に向かうわ」


 亮二の声を聞いて目に力が戻ったイオルスが助けを求めるような視線を向けてきたが、亮二は気まずそうに視線を避ける。亮二から視線を露骨に避けられたイオルスは絶望した表情を浮かべたが、マルコの視線に気付くと慌てて教え込まれた台詞の復唱に戻るのだった。


 ◇□◇□◇□


「えっと。エレナや皆が居る部屋は……。ここだな」


「ちょっと待って下さい……。はい! もう大丈夫です。いま、お呼びしようと思っていたのですよ」


 カレナリエンは広場に残るとの事で、亮二は一人で教えられた部屋をノックしていた。返事はすぐにあったが、しばらく待つように言われ待つ事数分。ゆっくりと扉が開きエレナが顔を出した。目を輝かしているエレナに引っ張られるように室内に入った亮二は、その理由を知って思わず立ち止まった。


「どうだろうか? 先ほどは感想を聞けなかったが、最初に会った時と同じだろうか?」


 恥ずかしそうにしているフランソワーズの姿を食い入るように見ていた亮二に、周りの婚約者達から彼女を褒めるようにと無言のプレッシャーが掛かった。小さく頷いた亮二は、フランソワーズの姿をもう一度確認すると微笑みながら語り掛ける。


「あ、ああ。そうだな。最初に会った時よりも素敵になっているよ。それにしてもエレナの頑張りは凄いな」


「私だけではありませんよ? カレナリエン以外の婚約者が全員勢揃いしているんですからね。化粧はリョージ様の好みであるメルタさんに頼みましたし、衣装もリョージ様の好みを皆で考えて服を選びました」


 フランソワーズを前面に押し出しながらエレナが嬉しそうに説明する。亮二は説明を聞きながらも、視線は完全に釘付けになっていた。胸元をあまり強調しない赤いドレスに、アクセサリーを必要以上には付けず軽く飾る感じで清楚さを主張していた。また、メイクもナチュラルな感じで仕上げられており、恥ずかしそうにしている姿も相まって完全に亮二の好みとなっているのだった。


「そ、そうかい? 姿見を見て私も驚いているのだよ。まさか自分に、これほどの才能が潜んでいるとはね」


「フランさんは自信を持って良いと思います!」「ふふ。後でメイクの仕方を教えますね」「私の魅力には敵わないけど可愛い」「わ、私はすいーつの作り方を教えますよ!」


 亮二の婚約者達から賞賛を受けたフランソワーズは恥ずかしそうにしながらも、それらを受け入れて微笑むのだった。

仲良くなれているようで良かった。

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