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369話 投票前の一コマ -一気に勝負をかけますね-

銀のハリセンは普通に痛い……。

「ちょっと待った! エリーザベトさんとの久しぶりの再会を祝して、これをプレゼントするよ」


「えっ? なんですの? ハリセン? すでに叩かれる気満開ですのね」


 亮二がストレージからミスリルのハリセンを取り出すと手渡した。エリーザベトが呆れた表情で受け取りつつ軽く素振りをしているのを見ながら、亮二は嬉しそうに話し始める。


「それで、さっそくだけどオルランドとはその後はどうなの? 仲良くしてるの?」


「オルとは久しく会っておりませんわ。私は修道女として修行しておりましたし、オルは教皇としての祭事と、わ、私を妻とするために精力的に動いてくれているのですわ。べ、別に寂しくなんて無いんですからね! 勘違いしないでくださいませ! な、なんで笑ってるんですの!」


「あまりにもなテンプレな台詞なんで思わず笑ってしまったよ。そこまで我慢して修行しているエリーザベトさんと、愛する人のために頑張っているオルランドを俺達は全力で応援するよ!」


 真っ赤な顔をしてハリセンを振りかぶりつつ抗議をしているエリーザベトを眺めながら、亮二達は全力で応援する事を誓うのだった。


 □◇□◇□◇


「じゃあ、まずは第一弾から行くとしようか」


「えっと。リョージ君に質問! なんでくっきーを配るだけなのに、メイドの格好をしているの? それも全員でメイド姿なのは意味があるの?」


「当然! 完全に俺の趣味!」


 婚約者達全員にメイド服を着せた亮二は満足気な表情で頷いていた。すでにメイドを仕事としているメルタとシーヴはそつなく着こなしており、カレナリエンやソフィアも着た事があるので問題はないようだった。


「あ、あの。少しどころではなく物凄く恥ずかしいのですが」


「駄目よ! マデリーネ。メイド服くらいで恥ずかしがっていたら! そんな事ではリョージ様の無茶振りなんかに耐えられないわよ!」


「エレナ無駄に自信家。リョージ様、私の魅力にメロメロ」


「凄い! 私の尻尾と耳が映えるようにメイド服を作ってくれてるんだね」


 全身を真っ赤にしながらモジモジとしているマデリーネを、エレナは堂々とした佇まいで説教をしていた。その横ではクロが小さい姿のままで胸を張って亮二にセクシーアピールをしており、ライラも嬉しそうにしながら尻尾を盛大に揺らしていた。


「素晴らしい! 楽園じゃん! 誰のためのパラダイスだよ? 俺だよ! もう今日一日このままでユックリと屋敷で鑑賞会をしようじゃないか! たしかストレージに特別なスイーツが……痛ぃ!」


「私の応援をしてくださるんではないのですか? 私達の結婚式後に自領に戻ってからメイドごっこでもなんでもいいのでしてくださいませ! それと後で私にもすいーつを下さるんでしょうね?」


 亮二がハイテンションで婚約者達を眺めていると、背後からエリーザベトが全力でハリセンを脳天に振り下ろした。久しぶりのミスリルのハリセンから伝わってくる痛みに亮二は我に返ると、頭を(さす)りながら説明を始める。


「エリーザベトさんを応援する道具はこちらです。ばばん! 紙芝居ぃですぅ!」


「紙芝居? 紙でお芝居? その物語が書かれてる紙を読み聞かせる感じですの?」


 亮二のテンションについていけずに、さらに内容も把握できないエリーザベトが首を傾げながら問い掛けると満面の笑みで亮二は説明を続ける。


「この紙芝居には、エリーザベトさんとオルランドの出会いから今までが書かれているんだよ。そして見る事が出来るのは子供だけ! 集まった子供には金平糖(こんぺいとう)を一袋。そして最後まで紙芝居を見てくれた子達にはクッキーをプレゼント!」


「それは人が集まりそうですわね。でも、子供を集めても投票されるのは大人だけですわよ?」


 亮二の説明を聞いて頷いていてエリーザベトだったが、よく考えると子供だけが集まっても投票できないことを伝えると、待ってましたとばかりに亮二の口調に熱がこもる。


「そう思うだろ? だけど紙芝居の終わりに次の内容が書かれた紙と、エリーザベトとオルランドの馴れ初め(なれそめ)が書かれた紙も一緒に渡すんだよ! そこに二人が結婚する事によってオルランドのやる気も出るって書いてもいいかもね」


「な、なるほどですわね。そこまで考えてくださってるんですのね。ちょっと待ってくださいまし! なんですの? この下に書かれている『神都ですいーつのお店が新しくオープン』ってのは?」


 次回予告と馴れ初めや二人が結婚するメリットが書かれている紙を感心してして読んでいたエリーザベトだったが、紙の下段に派手なフォントで神都にスイーツの店がオープンする事が書かれていた。


「ふっふっふ。俺がタダで動くわけ無いだろ? ちゃんとラッチスさんには許可を貰ってるぞ! もちろん、二人が結婚した後にお店は開く事になるんだけどね。まずは神都に住んでいる人達の票を固めて過半数を超えていこうぜ!」


「ちゃっかりしていますのね」


 呆れた顔で紙を眺めているエリーザベトを眺めながら、亮二はドヤ顔で婚約者達に紙芝居屋を始める事を伝えるのだった。亮二達が始めた紙芝居は神都の子供達に大好評を持って受け入れられ、子供達が持って帰った紙を見た母親達はオルランドとエリーザベトの仲の良さを再認識するとともに、王都で有名なスイーツ店が神都にやってくると知って大喜びするのだった。

これで神都の住民票はバッチリ!

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