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330話 新たなバタバタの始まり2  -色々な人がパニックのようですね-

王宮に行こうとすると文官さん達がパニックになりました

「エレナ様! 今、貴方に抜けられると業務が破綻します!」


 エレナから王宮に向かうと聞かされた文官達から悲鳴が上がった。エレナが問題ない事を説明していると、騒動を聞きつけた文官長のニコラスがエルナン達を引き連れてやってきた。


「何事ですか、エレナ姫! 賊ですか!」


「ええ。その通りです。本当は捕まえてこの場所で軟禁したいくらいですけどね。この方を自由にすると私達が不自由になります」


「ちょっ! 酷くない? エレナ?」


 抜剣していたエルナン達は騒動の元が亮二である事を確認すると、慌てて納剣して跪くと久しぶりの再会に顔を輝かせた。


「お久しぶりです! 帝国での快進撃を聞いております。昨日も仲間達とリョージ様の素晴らしさについて朝まで語り合ってました!」


「お、おう。元気そうで何よりだ。そこまで言ってくれるなら時間を作ってジックリと鍛えてやる。今日は王宮に向かうからまた今度な」


 亮二の言葉にガッカリしているエルナンと、ホッとしている他のメンバーを見ながらニコラスが前に出てきて質問をする。


「リョージ様。どうされました? 帝国の件は片付かれたのですか? こちらは恐ろしい勢いで発展していっております。エレナ様が居なければ業務は止まっていたでしょうが。それでこちらの方は?」


「ニコラス。いつも助かってる。俺が気分良く遠征に出れているのもお前のお陰だ。あぁ! もちろん! エレナのお蔭なのも知ってるよ! 助かってるよ! 本当にいつも有難う!」


 ニコラスに日頃の感謝を伝えた瞬間に、エレナには感謝の言葉を伝えていない事を思い出した亮二は慌てて感謝の言葉を述べた。


「いいんですよ。夫を支えるのが妻の役目ですからね。例え、婚約者を増やされても、婚約者が増やされても! 事後承諾だったとしても! 私の愛に変わりはありません」


 亮二の感謝の言葉にエレナが笑顔で答えた。なぜか部屋の温度が急激に下がってきているように感じている一同を見ながら、我関せずとしていたセバスチャンが涼しい顔をして挨拶を始める。


「初めまして。ニコラス様。リョージ様の執事としてお仕えする事になったセバスチャンと申します。今からリョージ様とエレナ様は、マルセル王からの召集で王都に戻られます。代わりに私が業務を行いますのでご安心下さい」


「ふむ。ニコラスだ。リョージ様が採用されたのなら問題ない人物なのだろうが、そなたは政務に通じているのか? ただの執事に務まる業務ではないぞ。エレナ様だからこそ対応出来たと思っている」


 挨拶を鷹揚に頷きながら受け止めたニコラスが政務能力について問い掛けると、セバスチャンは爽やかな笑顔と優雅な動作で返答する。


「当然で御座います。執事たる者、主が希望される事が出来なくてどうします。それに私には休憩など必要ありません。皆さまと比べても仕事が出来る時間は長いとお考え下さい」


 自信満々の笑顔で答えるセバスチャンの言葉の端々と溢れるばかりの自信が気になったニコラスは、説明を求めるように亮二に視線を向けた。亮二はニコラスが不信感を持っている事を理解すると、安心させるためにエレナにした説明を同じ内容を再度伝えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「な、な、な、なんですと? こ、こ、こ、古龍? こ、こ、こ、このセバスチャンがですか?」


「そう! そうなんだよ。それとニコラスはちょっと落ち着こうか。大丈夫だから安心して。もしセバスチャンが暴れたら俺がサクッと討伐するから。それと腰が引けてるお前等! 少しでも根性を見せろ。アライグマ騎士団の連中は問題なく耐えきったぞ!」


 顔面蒼白の状態で若干震えながら質問してきたニコラスに、苦笑しながら落ち着くように伝え、へっぴり腰で再び抜剣したエルナン達には活を入れた。そんな様子を眺めていたセバスチャンだったが、自分の存在がどれほど人間にとって脅威なのか納得したような表情になると、優雅な動作で謝罪しながら話し始める。


「申し訳ありません。驚かすつもりでは無かったのです。それとご安心下さい。私が古龍の姿で暴れる事も、力を振りかざす事もありません。あくまでも今の私は執事ですので。主の領地が危機に陥った時には元の姿に戻って全力で守らせていただきます」


「そ、そうか。それは心強い。これからもリョージ様を盛り立てるために共に歩んでゆこうぞ」


 古龍本人から問題ない事と、なにかあれば亮二が対応するとの話を聞いたニコラスは落ち着きを取り戻して顔になると、へっぴり腰のままのエルナン達を見ながらため息を吐く。


「ところでセバスチャン。政務補助以外に腑抜けな奴らも鍛えてやってくれまいか? 古龍との名前を聞いただけで腰が引けていては親衛隊を名乗れまい」


「当然ですね。まさかそこで震えている子羊のような方々がリョージ様の親衛隊だったとは嘆かわしいですね。主が襲われた時に主が行動を起こせる数秒の時間が稼げるように鍛えさせてもらいましょう」


 ニコラスから執務以外の用事を頼まれたセバスチャンはニコラス達を見ながらため息を吐くと、亮二を守るための時間稼ぎが少しでも出来るように一から鍛え直す事を約束するのだった。


 ◇□◇□◇□


「ところでセバスチャンは執務できるのか?」


「先ほど、エレナ様の仕事具合を拝見させて頂きましたので問題ありません」


「ええ! 私の仕事を見ただけで出来るようになったって事ですか?」


「当然です。主が政務補助をご希望の様でしたので。執事なら当然です」


「執事って、そんなに凄かったでしょうか?」

あれ? エルナン以外の親衛隊たちの顔色が悪いな。

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