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異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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317話 突撃直前 -そろそろ行きますね-

帝都も大混乱のようです。

「おい! 門を早く閉めろ! 魔物の群れが近づいてくるぞ!」


 帝都の正門前では通常ならあり得ない対応が行われていていた。サンドストレム王国に匹敵する国として名高いガムート帝国の首都である帝都の城門が閉まり始め、出入りする人でごった返すなどの混乱が起こり始めたのは朝方からだった。朝の定時見回りをしていた騎士二名が森から溢れだしてくる魔物を発見したのである。

 二名では討伐できない魔物の数に一人を見張りに残して帝都に戻った騎士の報告を受け、騎士団百名からなる精鋭部隊が出陣したが、現地に到着した時には最初の数をはるかに凌駕する魔物の群れが存在していた。


「いったん引こう。上の判断を仰がないと。この人数での討伐は無理だ」


 副団長の騎士が判断を下し、偵察要員を残して帝都まで帰還した。報告を受けた第一王子のクヌートとサンドストレム王国への援軍要請から戻って来ていた第三王子のロジオンは、近くまで王国の諸侯連合軍が来ている事を確認すると籠城する事に決めて布告を出した。


【正体不明の魔物の軍勢が突然現れて帝都に向かっている。たまたま軍事訓練をするために近くまで来ていたサンドストレム王国軍と協同して魔物に対処する。安全が確認できるまでは城門は閉鎖する事とする】


 突然の対応に商人達からは苦情が上がったが、強権を発動して黙らせると王国諸侯軍にロジオンを派遣するのだった。


 ◇□◇□◇□


「すまない。対応が遅れて籠城する準備中だ。まさか突然、森の中から魔物が溢れてくるとは思わなかった」


「大丈夫ですよ。こちらの方が魔物を先に見つけて追跡していたんです。連絡の使者が間に合わなかったのは、こちらの不手際なので申し訳ないですね」


 ロジオンの訪問を受けたアンデルスが魔物の群れの状況を説明していた。昨日の段階で魔物を見つけた諸侯軍は、つかず離れずで様子を伺っており、魔物が森に入ってからは迂回しながら帝都に向かっていた。


「紡錘陣形で、いつでも突撃できる状態になっています。ロジオン殿下も早く帝都に戻られて、帝都から打って出られるように準備をお願いします」


「これから攻撃? おいおい、魔物の数は三千匹はいるぞ! いくらサンドストレム王国の兵士達が精強で、背後から攻撃できたとしても被害は甚大になるだろう?」


 当たり前のように攻撃準備が整っていると伝えてきたアンデルスに、ロジオンが驚いたかのように質問しながらマルコを始めとする首脳陣を見渡すと、ロジオンに対して当然とばかりの頷きが返ってきた。


「ここにリョージ伯爵が居ない事が答えになりますね。直属の騎士団を連れて別行動をしており、帝都付近で待機中です。彼が攻撃を始めるのが1時間後になりますので早めの準備をお願いします」


「なるほどな。リョージ伯爵が別働隊を率いているなら大丈夫だな。ちなみに人数は?」


「百名です」


 アンデルスの説明に納得したロジオンが別働隊を率いる亮二の兵数を確認すると、あり得ない少人数の答えが返ってくるのだった。


 ◇□◇□◇□


「は?」


「リョージ伯爵が鍛え抜いたアライグマ騎士団の百名が正面から突撃します。リョージ伯爵と魔剣を所持している団長のアラちゃんを先頭に攻撃予定です。合図はファイアボールを連続で撃ちこむそうです」


 間が抜けた表情で唖然としているロジオンを見ながら、真面目な表情で伝えて会談を終わらせたアンデルスは少し休憩を挟むと、攻撃準備の整っている自軍に向かって話しかけた。


「いいか! リョージ伯爵の攻撃開始とともに全軍で打って出るぞ! これが最後の戦いとなる! 諸君の奮闘を期待する!」


 一同を見渡しながら演説と続けているアンデルスが、一旦話を区切って沈黙を作った後に笑顔で叫んだ。


「完勝して王都で美味い酒を飲もう!」


「「「おお!」」」


 アンデルスの言葉に一同も笑いながら歓声を上げると、先頭を騎馬で固た諸侯軍の元に遠くから爆音が響いてくるのだった。


 ◇□◇□◇□


「よし! お前ら、準備はいいか!」


「「「はっ!」」」


 亮二の問い掛けに精神的に疲れた表情のアライグマ騎士団が答えた。出発してから休憩無しで帝都までやって来た一同は馬上でポーションを飲み、立ち止まるのは馬にポーションを飲ませるためだけだった。自分の乗っていた馬はカレナリエンに貸し出し、自らは走っていた亮二自身は汗一つ流しておらず涼しい顔をしていた。


「おい。なんで、あんなに元気なんだよ伯爵は? 俺達の英雄は化け物か?」「なにを今更言ってんだよ」「なんで、馬と同じ速度で走れるんだよ?」「馬鹿! なに言ってんだよ! 伯爵が帝都まで先導したんだぞ。馬よりも早いって事だろ!」


 装備を整えながら亮二に先導されて帝都までやって来たアライグマ騎士団のメンバーは、ポーションのお陰で体力的には疲れてはいなかったが、亮二の非常識さに精神的に疲れ果てているのだった。


「おい! なんで疲れてるんだよ! これから先陣を切って魔物の群れに飛び込むんだぞ! なんども言うが、命を大切にしろよ! そして最大の手柄を立てろ! 敵を倒すのも大事だが、仲間を守る事も忘れるな!」


 疲れ切った顔をしている騎士団を眺めながら、亮二は発破をかけていたが効果がなさそうだったので、ストレージから作った魔剣の一本を取り出して掲げた。


「この戦いで俺が認めた奴には魔剣をやる! 倒した魔物の数じゃないぞ! どれだけ、戦いに貢献したのかで見るからな!」


「「「おお! 魔剣!」」」


 魔剣に雷属性を纏わせながら叫んだ亮二の言葉に、アライグマ騎士団からは大歓声が巻き起こるのだった。

魔剣でテンションを上げすぎたかも。

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