29話 駐屯地の宿舎での一コマ -スキルを取りますね-
スキルって色々あって何を取るか悩みます
亮二は部隊長から充てがわれた駐屯地宿舎のベッドで横になりながらセーフィリアに来てから今までの出来事を思い出していた。日本からイオルスに突然召喚され、13才の身体を選んだはずが、11才の状態だったり、マルコと出会ってドリュグルの街で冒険者として登録して初依頼で駐屯地にやって来た。そして”試練の洞窟”広間での牛人と一騎打ちである。怒涛の如くイベントをクリアしていったが、まだ3日しか経っていないのである。
- それにしても、チュートリアルにしては怒涛の3日間だったな。これから本編のテンプレ展開としては、辺境伯と面会して「俺の右腕となって働かないか?」とか、アウレリオと商売をするとか、カレナリエンとデートイベントとか、色々なイベントが有るんだろうな。これは待っといたら自然発生するって感じかな? -
亮二今後の展開を考えながらゴロゴロしていたが、ストレージに保存されている魔物を確認していなかった事を思い出した。整頓を兼ねてインタフェースを起動し3日間で討伐した魔物の数を確認すると、亮二がこの3日間で討伐した魔物の数は合計で850匹を超えていた。その内の630匹程はキノコのお化けだったが。
・キノコのお化け×634
・緑狼×58
・犬人×83
・犬人亜種×25
・豚人×55
・豚人亜種×20
・牛人×1
「おぉ、こうやって改めて見ると物凄い数を討伐してるな。冒険者の平均が分からないけどどうなんだろ?証明書の方はどうなってるんだ?」
証明書
名前:リョージ ウチノ
職業:戦士
ランク:H
討伐:20894ポイント
賞罰:なし
「おー、よく分からん!何だよ20894ポイントって。ポイントが付いたからってどうだってんだ?インタフェースのステータスはどうなってる?」
ステータス
名前:リョージ ウチノ
年齢:11
職業:戦士
レベル:21
ランク:H
筋力:91
魔力:61
俊敏:61
器用:61
スキル:なし
スキルポイント:10
備考:ボーナススキルポイント150(初回特典50含む)
亮二はステータス確認で自分がスキルについて何もしていない事を思い出した。
「こっちの方はまだ分かるな。レベルが1つ上って、各ステータスも1上昇か。ん?新規項目としてスキルポイントが10ポイント追加になってるな。そう言えば戦いしかしてなくて属性付与も出来て不便を感じてなかったからスキルを1つも取ってないな。せっかくだから気付いた時に何個か取ってみるか」
早速スキルを取得しようとスキル一覧表を起動させた。そこには「パッシブスキル」「アクティブスキル」と大枠で書かれており、項目をタップすると更に細かなスキルが並んでいた。だが、それがどの様なスキルになるのか、また何を選んだらいいのか判断がつかないので、インタフェースのヘルプ機能からスキルについて検索すると表示された内容を読み始めた。
-スキルについて-
パッシブスキル:パッシブスキルとは取得する事によって自動的に発動するスキルである。戦闘時のみ発動する場合と常時発動する2種類がある。基本的には魔力を消費することはない。
パッシブスキルは取っておくと便利だよね~。体力と魔力の回復スピードが上がったり、交渉する時に有利になったりするよ!覚醒スキルとか危機が迫ったら自動発動!とか出来たらいいなと思ったけど作れなかったよ……。
アクティブスキル:アクティブスキルは任意のタイミングで発動させるスキルである。魔力の消費が必須であり、消費の仕方も常時消費と一時消費の2種類となる。
魔法使いの王道だよね!アクティブスキルが使えない|奴(魔法使い)は、ただのひ弱人間だ!って感じなんで要注意!強力な魔法にはそれ相応の魔力が必要なんで気をつけてね~。
- なるほどね。パッシブスキルとアクティブスキルについては良いとして、ひょっとしてアクティブスキルで魔法を取得したら魔法使いになれるんじゃない?せっかく合計で160ポイントも有るんだからアクティブスキルもパッシブスキルも取ってみようか -
パッシブスキル
・料理 5
・交渉 5
・創薬 5
・強運 5
・建築 5
・採掘 10
・鑑定 10
・無詠唱(10)
アクティブスキル
・火属性魔法 3
・水属性魔法 3
・風属性魔法 3
・雷属性魔法 3
・氷属性魔法 3
・土属性魔法 10
・回復属性魔法 3
使用スキルポイント:83 残スキルポイント:77
「なんか一覧表を見てたらテンション上がって結構取っちゃったな。スキル取得用のポイント追加はレベル上げが必須みたいだし、そもそもレベル自体がどの位で上がるかも分からないから取り敢えずはこれ位にしておこう。で、テンプレ展開としては当然ながら無詠唱は必須だよな。これで魔法学院とかに入学する事があったら「俺すげー」って出来るもんな。それに、どっかのタイミングで鉱山発掘イベントが待ってるはずだから「採掘 10」と「土属性魔法10」「鑑定 10」は必要だよな」
取得したスキルがどの様な効果があるかも気にせずにポイントを割り振った事に対して若干気になりながらも「先行投資って事で」と自分を納得させる亮二であったが、スキルポイントの追加の仕方に納得できなかった亮二は更に独り言を呟いていた。
「それにしても、イオルスのポイント追加設定って本当に適当だな。1レベル上がって10ポイント追加なのに、レベル20でボーナススキルポイント100っておかしいだろ。それに俺の次に召喚される奴は初回特典50が無いから100ポイントでスタートなんだろ?」
亮二はイオルスの設定の適当さに呆れながらも、スキルを取得した満足感とスキルをどう活用するかを考えながら布団に潜り込んで夢の世界に旅立つのだった。
先行投資は思い切りが必要です




