309話 進軍中のアラちゃんの決意 -闘ってみますね-
2016.07.20記載
ミスりり → ミスリル
に修正しました。誰だよ「りり」さんって……orz
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特に問題なく進軍中です。
馬を歩ませながら亮二とカレナリエンがヘルベルト王子の目的について話していた。
「ヘルベルト王子の目的ってなんだろうね? 領地を占領するわけでもなく、自領の兵を使うわけでもく魔物を使って暴れてるだけでしょ?」
「そうですね。街や村を占拠せずに、魔物たちに襲わせているだけとしか見えないですからね。それにしてもヘルベルト王子はどこに居るのでしょうね? 私とクロの偵察でも分からないくらいなんですから」
アンデルスやマルコ達と分かれてから二日が経っていた。マルコからの定期連絡でも特に魔物の軍団や、少し前に戦った虚ろな目をした兵士やゾンビワイバーンなどは遭遇はないとの事で、偵察を出してもヘルベルト兵の情報は集まらなかった。
「そもそも、なんで自領の兵を使わな…… ん? マルコからの定時連絡か」
亮二のカレナリエンが話をしていると、マルコから定時連絡の通信が入ってきた。
『おっ! リョージか? 俺だマルコだ。定時連絡の時間だぞ。それにしても便利だな、このケイタイデンワって魔道具は。王国での連絡用に用意は出来ないのか? 三十個は欲しいんだがな』
「えっ? ケイタイデンワをご購入ですか? 有難うございます! 今なら一個あたり金貨五百枚で作成します! 月々の利用料はなんと格安の金貨十枚でお願いします。 機種は二年ごとに更新が必要です」
通信が出来る魔道具の有効性に気付いたマルコが複数台の購入を求めてきたので、亮二は意地悪く笑いながら、常識では購入できないような高めの金額と月額費用を伝えた。亮二から伝えられたあまりな初期金額とランニングコストに言葉を失っていたマルコだったが、カレナリエンが携帯電話を大量に所持している事を思い出すと、怒鳴るように叫んだ。
『なんで、そんな貴重で高級な魔道具をカレナリエンには大量に渡しているんだよ! 大体、月額利用料金が金貨十枚とか異常だろ!』
「なんでだよ? カレナリエンは俺の婚約者で、メインになって他の婚約者と連絡をとって貰う必要があるから当たり前だろ? 携帯電話だけでなく転移魔法陣も最優先で渡しているぞ。マルコ達なんて後回しに決まってるじゃん! いざとなったら全員で逃げるからな! ちなみに携帯電話の魔石はドラゴンの魔石を利用しています」
亮二の台詞にマルコは始めは唖然としていたが、途中から苦笑に変わると降参したように話しだした。
『分かった。分かった。取り敢えずはケイタイデンワの事は言わないから安心しろ。ちなみに今日も魔物は襲ってこなかった。そっちも無事みたいだし、他になにも無ければ今日の定時連絡は終了とするか』
「ああ。分かった。こっちもなにかあれば連絡する」
その後、マルコと少し会話をしてから通話を終了させると、騎士団全体に休憩の指示を出して食事の準備を始めるのだった。
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「伯爵。お願いがあるんだが」
「どうしたんだよ。急に改まって? 飯だったら好き嫌いは駄目だぞ! 野菜もちゃんと食べないと奥さんと可愛い息子のジェイミーに怒られるぞ」
食事の準備をしている亮二にアラちゃんが話し掛けてきた。最初は茶化した感じで話していた亮二だったが、あまりにも真剣な表情をしているアラちゃんに対して首を傾げながら話の続きを促した。
「たしかに俺はアマンドゥス騎士団長ほど経験もなければ実績もない。それは分かってる! だが、自分の主君が他の貴族の騎士団長に剣を鍛えて渡すのを見るのは耐えられなかった」
「それは悪かった。じゃあ、アラちゃんにも剣を作って……「そうじゃない! そうじゃないんだ!」」
アラちゃんの説明を聞いた亮二が剣を作る事を伝えようとすると、アラちゃんが全力で遮ってきた。亮二がアラちゃんの勢いにビックリして思わず硬直すると、カレナリエンも頷きながらアラちゃんの擁護してきた。
「そうですよ。リョージ様。アラちゃんが可哀想ですよ。主君から剣を授けられないって、騎士としては認めていないって事なんですから」
「だから、お詫びの意味を込めて作ろうとしたんだけど、それじゃあアラちゃんが納得出来ないんだよな」
「ああ。その通りだ……です。主君から力を認められた騎士は剣を下賜されます。今の台詞のように『お詫び』なんて言われたら騎士としては生きていけません」
カレナリエンからの指摘を聞いた亮二が、反省したように呟くのを聞いたアラちゃんから真剣な目で理由を再度告げられたら亮二は、料理の続きを輜重隊の一人に任せるとストレージからミスリルの剣を取り出して雷属性を纏わせると、アラちゃんにも剣を抜くように伝えるのだった。
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「では、リョージ様とアラちゃん騎士団長の模擬戦を始めます。お互いに全力で……リョージ様は節度を持って闘って下さい」
「うぉい! ちょっと、その開始の合図はどうよ? 悪いけど、俺に対して啖呵を切ったアラちゃんに手加減をするつもりは無いからな」
「おぉっ! も、もちろんです! 以前のように一撃ではやられませんから安心して下さい。では行きます!」
カレナリエンの台詞に亮二はツッコミを入れたが、アラちゃんへ振り向くと軽く威圧を掛けて手加減をするつもりは無い事を宣言した。亮二の威圧を受けたアラちゃんは自らを奮い立たすように剣を構えたが、全く隙のない亮二の構えに気圧されながらも、湧き出てくる恐怖感を振り払いながら呼吸を整え、一気に間合いを詰めて上段から剣を振り下ろした。
「甘い」
亮二にやられてから必死に磨き上げた必殺の一撃を自信を持って上段から振り下ろしたが、高い金属音と供に亮二の声が返ってきた。軽く受け止められた事にアラちゃんは顔を少し歪めながらも大きく間合いを取ると右手をかざして詠唱を始めた。
「我、かの敵を撃たん! ファイアアロー」
「おぉ! 魔法で攻撃か! でも、そんな魔法攻撃なんて俺には通用し……うぉ!」
詠唱省略でファイアアローを撃ってきたアラちゃんの魔法攻撃を、ミスリルの剣を軽く横に薙いで斬り捨てた亮二だったが、ファイアアローの後ろから飛んできたナイフに対して驚くと、慌てて剣を返してナイフを撃ち落とした。
「どらぁ!」
アラちゃんはナイフを防がれた事は想定済みのような動きで、ファイアアローとナイフの攻撃範囲外に移動すると、亮二の死角であろうはずの場所から飛び込むと下からすくい上げるような下段からの攻撃を叩き込むのだった。
アラちゃんの成長にちょっと感動。




