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303話 今日はお仕置き日和 -お灸をすえますね-

さっそくお仕置きの開始です。

「なあ。これくらいの見た目は子供のだが、飄々としていて言動は大人のようだが、結局は中身も見た目も子供のような奴を見なかったか? ここに居ないって事は、騒動を巻き起こしていると思うんだよ。どこに行ったか知らないか?」


 食事の準備と配給をしているはずの亮二が居ない事に嫌な予感がしたマルコは、周りに居た男性に確認をすると、割り込みをした傭兵団らしき五名に注意した後に乱闘騒ぎになり、叩きのめした後に黒ずくめの男達と一緒にどこかに連れて行ったとの事だった。


「どっちに行ったのか分かるか?」


「おじちゃんはお兄ちゃんのともだち?」「ともだちだったらおしえてあげる! お兄ちゃんはあっちのほうにいったよ」「ぼくはお兄ちゃんのあいじんになるの!」「ずるい! わたしがなるんだもん!」「すごくかっこよかったんだよ! わるいおじちゃんをぶわぁぁってやっつけたの!」


 誰と言わずに質問したマルコを幼女達が取り囲むと一斉に話し始めた。幼女達のテンションの高さに困惑していると、瓶を抱えた幼女がなにかを手渡してきた。


「おじちゃんにも飴ちゃんあげるね!」


「お、おぅ。ありがとな。これはリョージに…… お兄ちゃんにもらったのか? 愛人? なんの話だ?」


 幼女は花が咲いたような笑顔で頷くと飴をもらった経緯と、愛人についてマルコの質問に応えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「で、お前さんはなにをしているんだよ?」


「あれ? マルコじゃん。どうしたんだよ? こんなところに来て? ……痛ぃ! なんだよ! 今日はハリセンで叩かれるような事をしてないぞ!」


「してるんだよ! なに配給係をせずに、こんな所で遊んでるんだよ!」


 戦闘訓練をしていた場所に現れたマルコからの問い掛けに亮二が首を傾げながら質問すると、問答無用でハリセンで叩かれた。今回に限っては心当たりがない事を抗議した亮二だったが、自分が配給係をしている最中だった事や乱闘騒ぎを起こしたことをマルコに指摘されると、色々と思い出したたような表情をしてマルコに謝罪した。

 亮二は割り込みをしてきた経緯と、傭兵団と名乗る五人組を取り押さえて亮二式の説教中である事をマルコに伝えた。


「そこで顔面蒼白で震えている五人が傭兵団って事か? そんなになるまでなにをしたんだよ。お前は?」


「なにをしたってなんだよ! ちょっとした訓れんにつきあってもラッテタンダヨ。ダイジョウブダヨ! ムリハサセテナイヨ?」


 マルコが呆れたように視線を向けると、最初は軽く答えていた亮二だったが、五人の怯えたような顔を再確認すると徐々に滑舌が悪くなり、最後は片言のようになってしまった。


「おい。本当にこいつら大丈夫なんだよな? なにをしたらこんなに震えるような怯えた顔になるんだよ?」


「えっ? 大した事はしてないぞ? 俺と戦闘訓練を少しやっただけだぞ?」


 五人の震えっぷりにマルコが呆れを通り越して理解できない表情になったのを見た亮二は、訓練の内容を詳細に伝え始めた。剣を使った戦闘訓練を一対一で行った事。五人と集団戦をした事。それでも勝負にならなかったのでハンデとして片手を縛ったり、剣自体を使わずに戦った事などを説明した。


「魔法を放つのも控えめにしてやったんだぞ! 凄く優しいだろ? さっきなんて攻撃をギリギリで躱すようにして一瞬当たったと喜ばせておいて、油断したところを攻撃力を弱めた雷属性を拳に纏わせて……。 痛ぃ! えっ? な、なんで叩かれたの?」


「やりすぎだ! こいつらの自信が木っ端微塵になってるじゃねえか」


 ツッコんだマルコの言葉に亮二は当然であると怒りを込めて話し始めた。


「当たり前だろ! こいつら食事の列に割り込んだんだぞ! 食事のだぞ! 俺の国でそれをやったら重罪認定されて軽くて村八分だぞ。もし国が食事の割り込みすれば宣戦布告レベルの悪行だぞ!」


「お、おぉ。お前の国って凄いな。なんだよ、その食に対するこだわりは。それと落ち着け。国は食事に割り込んだりはしねえよ。分かったから。だが、こいつらも反省しているようだから、そろそろ許してやったらどうだ?」


 普段の態度からは想像がつかないほどの真剣さを感じたマルコは、亮二の行動に取り敢えず納得した事を伝えると仕事に戻るように伝えた。マルコの言葉に亮二は大きく頷くと風属性魔法を身体に纏わせてマルコに対して一気に言い切った。


「じゃあ俺はマルコの指示通りに食料配布の続きと王国兵士達の料理を作りに行くからこいつらの面倒はマルコに任せた! 後は頼んだぞ!」


 後に残されたマルコは唖然とした表情のまま亮二が去って行くのを見送っていたが、自分に集まる五つの視線を感じると、そちらの方を向いて話し始めた。


「まぁ、なんだ。社会のルールを守る大切が分かったろ? これに懲りたら悪さするんじゃねえぞ」


 五人は何度も頷きながら亮二に逆らわない事を誓っているのを聞いたマルコは、ため息を吐きながら五人に対して解散を命じるのだった。


 ◇□◇□◇□


「あっ! お兄ちゃんだ!」


「さっきの子じゃないか。飴はまだ残ってる?」


 亮二を見つけた幼女が満面の笑みを浮かべながら近付いてきた。亮二はストレージから金平糖が入ったアイテムボックスを取り出すと、幼女に手渡して皆に配るように伝えた。


「これは大人でも子供でも関係なく渡したら良いからね」


「わかった!」


 亮二と幼女が手を取りながら食事を準備している場所に向かっていると、背後から亮二を呼ぶ声が聞こえてくるのだった。

金平糖が入っているアイテムボックスは金平糖専用です。

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