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300話 会議の中で -暗い雰囲気を払拭しますね-

300話になりました。ここまでこれたのは皆様のお陰です。本当に有難うございます! これからも亮二くん達のドタバタをよろしくお願いします。


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辛気臭い話をしてるようです。

 亮二が帝国内に作った拠点で補給関係に従事していたユーハンも合流し、アンデルスやアマンドゥス、マルコなどと一緒に白竜騎士団の団長であるケネットや主要メンバーと情報共有を兼ねた会議を行っていた。


「すると、クヌート殿下は居城があるヴィートゥスから撤退されていると?」


「ええ。その通りです。今はクヌート殿下が治められている街や村の住民は帝都や、戦場となっていない後方の街などに避難しています。今のところは混乱は起こっておらず、落ち着いているように見えますが、この状態が続くと食糧不足や不安から暴動が起こるかもしれませんな」


 ケネットの話ではクヌートが治める領土の三割ほどは占領されており、現在は圧倒的に負けており住民を連れて撤退しつつ、相手の補給線を伸ばす作戦を行っているとの事だった。


「リョージの話では魔物の群れに遭遇されたとか?」


「ええ。その通りです。私が中心となって撤退をしていた地域はなぜか魔物が群れになって、村や街を襲っていました。普段なら一緒に行動しない魔物同士も居たので操られていると私達は考えています」


 マルコの質問にマデリーネが答えると、王国側から疑問の声が上がった。


「ですが、魔物を操るスキルなど聞いた事もありませんが?」


「私達も最初はそう思っていたのですが、戦ってみると連携を取りながら攻撃を仕掛けてきた上に、逃げなかったのです。あの動きはどう見ても指揮されたものでした」


「よく住民を引き連れて逃げられたな」


「それは、我ら白竜騎士団の力とマデリーネ様の統率力ですね。我らが敵を食い止めている間に、姫が住民を率いて下さったので。ただ、街に入るのに思った以上に時間がかかり、危うく姫を失ってしまうところでした。本当にリョージ伯爵には感謝しております」


「それにしてもヘルベルト兄様はなぜこのような謀反を? 謀反を起こすような兄様では無かったのに……」


 ケネットがアマンドゥスの呟きを聞くと笑顔になって答えた。二人のやり取りを聞いていたマデリーネだったが、突然思い出したかのように叫んで崩れ落ちた。彼女の姿を見た一同が沈痛な表情をしていると、突然扉が勢いよく開いて亮二が入ってきた。


「よし! みんな居るな。会議なんか終わらせて飯にしようぜ! 大量に作ったから避難民にも配給しようと思ってるんだよ! あれ? なんで辛気臭そうな顔してるんだよ? 分かった! 腹が減ったからだろ! ……痛ぃ!」


「よし! よくやったリョージ! 今回は褒めてやるよ」


「えっ? じゃあ、なんでハリセンで叩かれたの?」


 褒められたにもかかわらずマルコからハリセンで叩かれた事に亮二が苦情を述べると、マルコは苦笑交じりの顔になりながら理由を説明するのだった。


 ◇□◇□◇□


「なるほどね。身の安全が確保出来て事情を説明したら、我に返って今までの事を思い出したって訳か。いいタイミングで俺が入ってきたって事だよな? やっぱりマルコに抗議する! 叩かれる要素なんてないじゃん!」


「お前は伯爵になったんだから、もう少しは口の聞き方や振る舞いを伯爵らしくしろ! やろうと思えば完璧に出来るくせに、やらないのが腹が立つ!」


 亮二とマルコが会議室で掛け合い漫才のような事をしていると、王国側からはいつもの光景に苦笑を浮かべていたが、帝国側は今までの空気が変わった事に呆然としていた。マデリーネも亮二とマルコの貴族らしからぬやり取りに最初は唖然とした表情をしていたが、徐々に笑顔になるとクスクスと笑い出した。


「ちょっとは元気が出た?」


 笑っているマデリーネを見た亮二が話し掛けてきた。自分を元気づけるためにわざと貴族らしからぬ行動をしていると思ったマデリーネは、涙を拭うと立ち上がって貴族としての礼を行いながら感謝を述べた。


「お気遣い頂き有難うございます。リョージ伯爵のお陰で元気が出てきました」


「でしょ! そう思って、わざと砕けた口調とおちゃらけた態度を取ったのに、この堅物のツッコミ帝国の皇帝陛下は空気が読めないんだか…… 痛ぃ! なにをされるのですか! 陛下…… 痛ぃ! 痛ぃ! 痛ぃ! 痛ったぃ! おい、マルコ! 最後の一撃って銀のハリセンだよな! あれ? マルコ? 本気で怒ってる?」


 マデリーネの感謝の言葉と笑顔に上乗せする感じで亮二が満面の笑みを浮かべながら自己正当化を行おうとすると、マルコから容赦無い上段からのツッコミが降ってきた。慌てて取り繕うとした亮二だったが、最後の一撃が本気で痛かった事に抗議をしたが、マルコの目線に気付くと尻窄みぎみに確認をおこなった。


「ああ。怒ってるぞ。ちょっとは真面目にしても良いんじゃないか?」


「わ、悪かったよ。そこまでマルコが怒るなんて思わなかったから調子に乗っちゃったんだよ。反省する事を真摯に検討して、実行する事を考えながら日々生きる事を誓うよ! ……痛ぃ! なんだよ!」


「全く反省してないのかよ! なんだよ! 真摯に検討したら即時に実行しろよ!」


 マルコのツッコミに一同は笑いながら場の空気が明るくなったのを確認すると、亮二が道化師となって暗い雰囲気を払拭してくれた事に感謝するのだった。

空気が軽くなったようで良かったです! 狙い通り! ……痛ぃ!

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