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293話 一同が集まって -ちょっと歓談しますね-

大剣の改造が終わっています!

「痛ぃ! なにすんだよ! マルコ!」


「いや、なんとなくかれーの話で反応がイラッとしたらから、叩いちまったよ」


 亮二がマルコの周りでカレーは飲み物とテンション高く呟き続けていたので、思わずアイテムボックスからミスリルのハリセンを取り出して亮二を叩いた。頭を押さえながら苦情を言ってくる亮二に対して、再度ハリセンで叩きながら小屋でなにをしていたのか確認すると、亮二は急いで小屋に戻って大剣を取ってくると説明を始めた。


「そう! カレーの話はついでだったんだった。見てよ! マルコ! アマンドゥス騎士団長と大剣のリクエストを元に魔改造をしてみたんだよ!」


「魔改造? 改造と違うのか?」


 亮二の魔改造との単語を聞いた事が無かったマルコが問いただすと、亮二は嬉しそうに大剣の説明を始めた。ミスリルを使い過ぎて剣自体の重さが軽く感じるようになっていたのを鉄の比重を増やして、元の重さと同じになるように工夫した事。使用者が変わった場合も最適な重さと重心に変更される事。属性の数は同じだが魔石の数を増やして、使用者の魔力が無くなっても属性付与が長時間出来るようにした事。刀身部分の模様も追加して切れ味を増したのと、使用者に合わせて重心が最適化されるようにした事。


「そして! 今回の目玉魔改造はこちら!」


『マルコ様。ツッコミの極意を私にも教えて欲しいんだニャ!』


 大剣から聞こえてきた語尾にマルコが呆然としながら亮二を見ると、全力で胸を張った状態で目をキラキラさせてマルコからの感想を待っている亮二を全力でハリセンで叩き落として冷静な目で見ながら、亮二にもとに戻すように話し掛けた。


「とりあえず直せ」


「えっ? で、でも。せっかく物凄く苦労してニャン語を入れたのに…… 痛ぃ! ちょっと聞いてマルコ! このニャン語を入れるのにドラゴンの魔石を3個も使ったんだよ! 痛ぃ! 物凄く流暢に話せるようになってるだろ? 流石のマルコもこれを聞いたら納得だろ! 大剣! 次のバリエーションだ!」


『べ、別にマルコのためにニャン語になった訳じゃないからね! 調子に乗らないでよね! いくら私が魅力的だから…… 痛ぃ!』


「とりあえずお前は黙って大剣のままでいろ。そして亮二は良いから直せ」


 台詞の合間に無言でツッコミを入れていたマルコだったが、大剣の台詞にはツッコミを入れて喋らないように命令すると、大剣を元に戻すように亮二を伝えるのだった。


 ◇□◇□◇□


 一同が合流したのは亮二が作った拠点だった。貴族諸侯軍の2000名に輜重隊の500名、輜重隊護衛の300名と神都から応援として派遣された神官50名を合わせた3000名近い人間が陣を構えていた。


 亮二が洞窟を拡張して作った大部屋はアンデルスや高級士官の作戦会議場となっており、現在はアンデルスの他にユーハンやマルコに貴族達が集まっていた。アマンドゥスは防衛陣を築くために外回りをしていた。アマンドゥス以外の高級士官が集まった会議の議題は「大剣の喋り方」であった。


「とりあえず、ニャン語とツンデレは直したぞ。流暢な言葉遣いは問題無いだろ? 大丈夫ですよねアンデルス王子?」


「まあ、ドラゴンの魔石を丸々使っているのは非常識過ぎて理解できないが、普通に喋るくらいなら問題無い気がしてきたね」


「駄目ですよ! アンデルス王子! リョージに毒されたら!」


「ふむ。マルコが言うのも一理あるな。リョージ伯爵よ。さすがにアマンドゥスの剣だけを改造するのは贔屓が過ぎると周りの者からも出ているのだ」


 亮二の説明に納得しかけていたアンデルスにマルコがツッコミを入れながら制止していた。考え直した様子の表情にホッとしたマルコだったが、アンデルスの視線が何も握られていない右手を凝視している事に気づかないフリをしながら、亮二に対して話を続けた。


「アンデルス王子も仰ってるだろ。まずは喋り方を元に戻せ。喋る剣なんて、あまりにも価値がありすぎて周りとの不公平感が出てるぞ」


「分かりました。ではアンデルス王子。許可を頂ければ王子が装備されている剣を喋るように改造しましょう!」


「許す! …… 痛ぃ!」


「許してんじゃねえよ! 思わず公式の場で王子を叩いちまったじゃねえか!」


 アンデルスの許可に思わずアイテムボックスからミスリルのハリセンを取り出して叩いた後に、王族を公式の場で叩いた事に若干青ざめたマルコだったが、アンデルスと亮二の満足そうな顔を見て呆れたように再度ハリセンを叩きつけるのだった。


 ◇□◇□◇□


「とりあえず、アンデルス王子との約束は果たしましたので良いですよね? あっ! マルコ、大剣の喋り方は元に戻しているから安心してくれよ」


「ああ。折角、会議まで開いたツッコまれ順位が施行されないと意味が無いからな。リョージ伯爵には感謝する」


「お、おい。ひょとして俺にツッコミをさせるために大剣の喋り方を流暢にしたのか?」


 マルコがこめかみ辺りを引き攣らせながら亮二とアンデルスに対して、絞り出すような声を出しながら銀のハリセンを取り出して、近付いてきている事に気付いていない2人は軽い感じでマルコのツッコミ評をしていた。


「あ、あの。アンデルス王子。もう、その辺りで本題に入られたほうが」「そうですな。2人とも真面目になる時間かと」「リョージ伯爵も威力偵察の結果報告をされたほうが」「マルコも落ち着こうか?」


 マルコの気配に不穏なものを感じ取った貴族達やユーハンが、それぞれに話しかけていたが時すでに遅く、2人の絶叫とミスリルのハリセンと違ってリアルに痛みが走る銀のハリセンの音が大会議室に響き渡るのだった。

銀のハリセンで叩かれると本気で痛い……。

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