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281話 帝国への援軍準備2 -話を進めますね-

翌日になりました。王城にある会議室での話しになります。

「結局、昨日はマルコが張り切り過ぎたから、会議が進まなかったじゃない…… 痛ぃ! だって、そうじゃん! マルコが俺を追いかけながらミスリルのハリセンで叩くから、ラルフ枢機卿とかマルセル王が物欲しそうに順番待ちして、重要な話なんて何一つ出来なかったじゃん!」


「叩かれるような事をしたお前が悪いんじゃねえか! 第一、ラルフ枢機卿やマルセル王がツッコミの順番待ちする事自体がおかしんだぞ! ドリュグルで門番してた時に冒険者に並ばれた事を思い出して、背筋に悪寒が走って思わず2人を叩いちまったよ」


 亮二の話にマルコがツッコミを入れながら、昨日の事を大声で話している場所は王家が主体となって利用する特別な会議室だった。通常は爵位を与える際の選考会議や国王への予算の説明などに、戦争が行われていた時代には作戦本部として利用されていた。


「王城に、こんな会議室が有ったんだな」


「ああ。ここは盗聴や、外や中から攻撃を受ける事を前提に作られている会議室になってるからな。この部屋では魔法が全く使えないようになっていて、外からの攻撃を防ぐ魔法陣がレンガ1枚毎に書かれているからな」


 改めて部屋を見渡していた亮二にマルコが特別会議室の説明を始めた。感心したように亮二が試しに魔法を発動させようと魔力を練り始めたが途中で霧散してしまった。


「いくら高級ポーションの生みの親であり、私の人生の師匠であるリョージ殿でも、この部屋で魔法の発動は無理かと、先ほどのマルコ殿の説明の他にも様々な…… な? なっ!」


 亮二が魔法を使おうと試行錯誤をしていると、宮廷魔術師のヘルマンが誇らしげに特別会議室の説明を続けようとした。だが、亮二の指先にライトニングボールが発動するのを見ると言葉が詰まってしまった。その場に居たヘルマンにユーハンやラルフ枢機卿、他に居合わせていた10名近い貴族も、あり得ないものを見る表情で愕然としながら亮二の指先にあるライトニングボールを凝視していた。


「あれ? どうしたの?」


 空気が変わった事に気付いた亮二が周りを見渡すと、悟りの境地に入り始めたマルコが穏やかな表情で問い掛けてきた。


「なにをやってんだよ?」


「えっ? だって、魔法が全く使えない部屋って言われら意地でもやれって事でしょ? だから、ミスリルの腕輪とミスリルの杖を装備して俺の持てる魔力を全て注ぎ込んでみたら、なんとかライトニングボールが作れた! でも流石だね。この部屋で魔法を発動させるのはしんどいわ」


「ん? つまりは、この部屋では魔法が使えないって聞いたから、いつもお前が言ってるてんぷれってやつで『じゃあ、ちょっと本気を出してやってみよう』と思ったって事か?」


「そう! さすがマルコ! 俺の事をよく分かっ…… 痛ぃ! 痛ぃ! 痛ぃ! 痛ぃ!」


 亮二が満面の笑みでマルコを讃えようとすると、笑顔のままでミスリルのハリセンを華麗なスナップを使って上下左右に振りぬくのだった。


 ◇□◇□◇□


「四連ツッコミとは羨ま…… んっ! ゴホン! とりあえずは話が進まないので会議を進めましょう」


 進行役のヘルマンが、頭を押さえている亮二を羨ましそうに見ながら会議をスタートさせた。2000人を集めるのに王都に集めてから出陣したのでは効率が悪いため、帝国と国境を接しているハーロルト公爵領の盤面の森北西部に集まる事。食料については現地調達は不可能である為に王国で用意する事。兵站を確保するための人員として民間人を含めて3000人を徴用し、その警護の兵士として500人を王家が騎士団を派遣する事が決まった。


「ハーロルト公爵はすでに領地に戻られております。遠方の方々は領地に戻られて出兵の準備に入られました。遠方の方々は騎兵中心となりますので、飼い葉などもこちらで用意する必要があります。水についてはリョージ殿が開発された巨大な水筒を利用しますので、その分の重量が無くなるのは物凄く有り難いです」


「おぉ。巨大な水筒! 作ったけど高価過ぎて、一部でしか売れなかった魔道具を買って貰えるとは」


 亮二が巨大な水筒をストレージから取り出して眺めながら感想を述べていると、ふと気付いた事があったので周りに確認をしてみた。


「そう言えば、ロジオンってどうしてるの? 親書を持って来た極秘親善大使なんでしょ? この場に呼んで話を聞いたほうが良いんじゃないの?」


「ロジオン殿下ならテオバルト騎士団長と訓練場で模擬戦をされてますよ。脳筋同士で意気投合されたようですからね」


 亮二の問い掛けにヘルマン宮廷魔術師が代表として呆れた表情で答えるのだった。


 ◇□◇□◇□


 第1回目の会議は遠征に必要な物資の量と帝国までの進軍ルート、最初に到着する帝国の街を確認して終わった。亮二としては物資の運搬にストレージが利用される話が出るかと思ったが、マルコに確認すると補給部隊として亮二を利用するよりは遊撃隊として攻撃の要となって動いて欲しいとの事だった。


「遊撃隊?」


「ああ。遊撃隊だ。10人程度の少人数で行動して欲しい。本来なら遊撃隊は100人程度で組むんだが、1人で大人数相手でも戦えるリョージの能力なら大丈夫だと判断している。危険になったら転移魔法で逃げれるからな。それに、俺達の指揮下に入るよりは独自で動いた方がやりやすいだろ?」


 マルコの台詞に亮二は頷きながらもテンプレな展開として食料が足りなくなる可能性があると考えると、領都で商店を構えたセシリオに連絡して食料の調達を依頼するのだった。

ロジオンとテオバルトは脳筋だから会議には参加しないってテンプレですかね?

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