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279話 会談と打ち合わせと謁見 -色々な人達が話し込んでいますね-

ロジオンとハーロルト公が話しをするそうです。

「ようこそ。ロジオン=ザイツェフ殿。ガムート帝国で商売をされているとか?」


「はじめまして。ロジオンと申します。まさか、最初にお会い出来たのがハーロルト公爵とは。自分の幸運に感謝状をあげたい気分ですよ」


 ハーロルトからの挨拶にロジオンは丁寧に挨拶を交して連れてきた従者に合図をすると、従者は用意していたカバンから箱を取り出して渡した。ロジオンは受け取った箱を恭しくハーロルトに一礼しながら手渡して中を確認するように伝えた。


「どうぞ中をご確認ください。そしてザイツェフ商会との長いお付き合いをして頂けると幸いです」


「ほう。手土産とな? 儂がそういった物を好まんと知った上での土産か?」


「もちろんハーロルト公が賄賂を嫌っているのは存じております。そして、お渡ししたのは土産ではありません」


 手土産を渡しながらの台詞にハーロルトが真顔で土産を見ていると、ロジオンは口元に笑みを浮かべながら再び箱を開けるように促した。訝しげな表情でハーロルトが箱を開けると、中にはアイテムボックスが入っていた。


「おい。中を確認してくれ」


「かしこまりました」


 ハーロルトがアイテムボックスを後ろに控えていた執事のシュバルツに手渡すと、別室に下がって中身を確認して戻ってきた。


「特に危険な物は入っておりませんでした。むしろ、ハーロルト公が喜ばれる物が入っておりましたよ」


「ん? 儂が喜ぶような物?」


 シュバルツの顔は普段に比べて、にこやかな顔をしており不思議に思ったハーロルトだったが、ワゴンに乗せられてやってきた物を見て目を輝かせるのだった。


 ◇□◇□◇□


「はっはっは。ロジオン殿はリョージと戦ってみたか! どうだった?」


「ダメですな。あれは本当に人間ですか? 俺も拳撃王と帝国で言われて、敵なんて居ないと思ってたんですけどね。牛人3体を無傷で倒したと聞いた時は『誇張されすぎだろ』と思いましたが、まさか本気を出されたら一撃でやられる程の強さだとは思いませんでしよ。あれなら1人で帝国の相手を出来そうですな」


 ハーロルトとロジオンは機嫌よく酒を酌み交わしていた。ロジオンがハーロルトに手渡したアイテムボックスには、果実酒や冷やされたエールの他に亮二が開発したツマミが入っていた。普段のハーロルトなら賄賂になるような物は受け取らないが、一緒に入っていた亮二の紹介状にはロジオンが帝国の第3王子で極秘に親善大使として来ている事、アイテムボックスに入っている酒とツマミは自分が用意したものであり、ロジオンと一緒に飲んで交友を深めて欲しいと書かれていた。


「リョージは自分が面白いと思った事は全力でやりよるし、絡んできた気に食わない相手は徹底的にやってしまう。じゃが、こちらから攻撃をしなければ大人しいもんじゃよ。むしろ恩恵が多いくらいじゃ。帝国もリョージの逆鱗に触れるような事はせんことだな」


「それはもちろん伝えておきます。リョージと戦って滅んだとなったら、歴史書になんと書かれるか分かったもんじゃないですからね」


 亮二に滅ぼされる帝国を想像して、笑い話にもならないと肩をすくめたロジオンにハーロルトは大笑いしながら空いているグラスに果実酒を注いで飲み干すのだった。


 ◇□◇□◇□


「ロジオン殿が極秘で王都にやって来て、リョージと戦って一撃でやられて、お主と酒を飲んで意気投合したと。なるほど。分からん」


「そうなるでしょうな。それにしても王も人が悪い。情報を仕入れてるのに教えて下さらんのじゃからな」


 王の私室でハーロルトはマルセル王と面談し、昨日の内容を伝えていた。マルセル王から呆れ顔で感想を言われたハーロルトが呆れ顔を上乗せして視線を返すと、マルセル王はそっぽを向いて口笛を吹き始めた。


「そんな分かりやすい誤魔化しをしても可愛げもありませんぞ。エレナ姫がされれば、また別かもしれませんがの」


「そう。そのエレナから手紙が来ておったな。『ロジオン殿下は素晴らしい方ですので仲良くして下さいね』と書かれていたんだがハーロルトはなにか知っておるか?」


「いや。リョージはロジオン殿下と戦う前にエレナ姫とデートをしていたのは把握しておりますが、デートを邪魔されたエレナ姫がそこまで機嫌良くされている理由は分かりませんな」


 ロジオンから指輪について色々と褒められたエレナが、上機嫌になって手紙を書いたとまでは推測できない2人は手紙の内容について首を傾げるのだった。


 ◇□◇□◇□


「そう畏まらなくても良い。よく参られたロジオン殿下」


「ガムート帝国第3王子のロジオン=ザイツェフです。本日は謁見の機会を下さり有難うございます。さっそくですが、皇帝からの親書を持って参りましたので内容のご確認をお願いします」


 気さくな感じで話し掛けたマルセル王だったが、本来の王者として対応をしており、経験の浅いロジオンはその威圧感に圧倒されていた。だが、なんとか表面上は悠然とした態度で懐から親書を取り出すとマルセル王に手渡した。


「ほう。儂自ら内容を確認せよとな。それほど緊急事態なのか? どれどれ……」


「どうされました? 王よ?」


 宮廷魔術師のヘルマンが心配げな表情で問い掛けると、マルセル王はなにも言わずに親書をヘルマンに手渡してきた。そこに書かれている内容にヘルマンは驚愕の表情を浮かべながらロジオンに視線を送りながら叫んだ。


「皇帝不予! さらに第2王子が蜂起ですと! 内乱ではありませんか!」


 ヘルマンの叫び声に集まっていたハーロルトや騎士団長のテオバルドらも驚愕の表情になるのだった。

帝国で内乱ですって! 奥さん!

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