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269話 街道整備の視察4 -作業を始めますね-

話は聞いた! って感じで登場します。

 亮二の登場に労働者から大歓声が上がった。途中から参加して亮二を直接見た事が無い者はキョトンとした顔をしていたが、周りの者から話を聞くと興奮したように大歓声を一緒に上げ始めるのだった。


「やあやあ。頑張ってくれてるかい? リカルドには『近々見に来るよ』と言っていたんだけど、来るのが遅くなって申し訳ない。今日は皆の頑張りを見に来たら、張り切って頑張ってよ。それにしても、さっき偉そうな事を言っていた奴は前に出て来てくれるかな」


「い、いや。別に俺は偉そうな事を言ったつもりはなくて……」「俺もいつも頑張ってますよ」「今日遅れたのはたまたまで」「えぇ! 昨日の子供じゃないか! お前が……いや、あなたがドリュグルの英雄のリョージ伯爵だったんですか!」


 亮二はにこやかに大歓声の労働者に応えながら動き始めた。近くに居るものの肩などを軽く叩き、激励しながらリカルドとブルーノの近くにやってきてリカルドと握手を交わした。亮二がブルーノに視線を投げると、特になにもされていないのに物凄い威圧感を受けたブルーノは背中から冷や汗が止まらない状態になっていた。そもそも街道整備事業の式典やイベントにブルーノは参加しておらず、亮二を見たのも初めてだったため、驚き方は取りまき以上のものになっていた。


「おう。俺がリョージだ。昨日はリカルドのところまで案内してくれてありがとうな」


「なんだ。ブルーノさんはリョージ伯爵と知り合いじゃないですか! 水臭いですよ。ドリュグルの英雄と知り合いっだって教えてくれてもいいのに」


 亮二から気楽な感じで話しかけられたブルーノに対して、取り巻き達が羨ましそうに話しかけてきた。だが、当の本人はそれどころではない状態でパニックになっており、昨日の口のきき方や、紹介しろと言い放った台詞や、リカルドに対する口のきき方など、処罰を受けても不思議でない状況が走馬灯のようによぎっていた。青い顔をしながら混乱しているブルーノに亮二は軽い感じで話しかけた。


「なあ。リカルドより仕事が出来るんだよな?」


「はっ? えっ? い、いや……」


 しどろもどろとしているブルーノを見ながら亮二は満面の笑みで、近付きながら話し掛けていたが返事が返ってこないので亮二は周りに聞こえるような大声で話し始めた。


「よし! 今日から3日間は10人一組でチームを作って競争しよう! 作業の進み具体と丁寧さで勝負だ。一番のチームには俺から景品と賞金をやるぞ! ただし! 他のチームの邪魔や危害を加えた奴は俺が直接制裁を加えるからな。そこは十分に考えて行動してくれよ」


「おおぉ! 賞金がでる? よし! 気合い入れてやるぞ」「賞金は俺のもんだ!」「私だって負けないわよ! そこのアナタ! 一緒に組みましょうよ」「ブルーノさん。俺達も頑張りましょう!」


 亮二の提案に一同の興奮は最高潮になり、急増のチーム8チームとリカルド、ブルーノのチームを合わせて10チームで競争をする事となった。競技を始める前にルールの説明を亮二は行った。10人一組で作業を行う事。進み具体と丁寧さが採点のポイントになる事。作業時間は日の出から日没までで、食事と休憩で2時間以上は取る事。審査は亮二がする事などが決まった。


「道具は作業をするのに大事だからな。しっかりと手入れしているか?」


「えっ? 道具の手入れってなんですか?」


 亮二の言葉に労働者から困惑した感想が返ってきた。亮二が労働者達が使っている道具を見ると、それほど時間は経っていないにもかかわらずボロボロになっており、話を聞くと手入れ等はしていないとの事だった。


「リカルド。道具の手入れはしてないのか?」


「いや。そんな事はないと思うぞ。手入れする道具は用意していて自由に使っていい事になってるからな。俺達のチームは作業が終わったら手入れをするようにしてるぞ」


 リカルドの言葉に亮二が近くに居た労働者に確認すると、手入れする道具が有るのは知っていたが、使い方がよく分からず、使わなくても特に問題ないと思っている様子だった。


「その辺りも意識改革が必要だな」


 亮二はため息を吐きながら呟いていると周りから作業の開始を求める声が上がったので、亮二は土属性魔法で小山を作って登ると大声で作業開始の号令を掛けるのだった。


 ◇□◇□◇□


「よし! 他のチームは雑魚みたいなものだから気にする必要はない! 一気に作業をしてリカルドと差をつけるぞ!」


「おぉ!」


 ブルーノのチームは最初から参加している経験と身体能力を使って力強く作業を始めた。他のチームが1時間掛けた作業を30分で進ませたブルーノ達は休憩に入り、最終的には4時間の作業と3時間の休憩を取りながら3日間の作業を終了させるのだった。


「賞金と賞品のために頑張るぞ!」


「でも、ブルーノ達の勢いを見てると無理じゃないか?」


 その他のチームもブルーノ達が作業を開始したのを受けて作業を始めたが、近くで力強く道具を振るっているブルーノ達の勢いに押され気味になり意気消沈気味となっていた。


「どうしたんだよ? さっきの勢いはどこ行った?」


「リ、リョージ伯爵!」


 フラリとした感じでやって来た亮二に一同が畏まりそうになるのを片手で制して話を聞くと、ブルーノ達の勢いに負けて勝ち目がないと思い始めているとの事だった。亮二はしばらく考えると、8名のリーダーを集めて効率よく適宜休憩を挟みながら作業をするコツを伝えて作業を開始させ、その他のチームは平均3日間で1日辺り6時間の作業と2時間の休憩を取るのだった。

効率よく作業をすると楽ですよね。

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