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259話 軽い騒動の次の日の話 -驚きますね-

打ち上げは無事(?)に終了しました。

「それは大変だったね。こっちのすいーつパーティーは楽しく終了したよ」


「それは良かった。こっちは本当に大変だったんだからね。当面はカレナリエンとメルタは飲酒禁止! もし、違和感があったら手渡している解毒剤を飲むように!」


 昨日の顛末を聞かされたライラは笑いを我慢しながらカレナリエンとメルタを眺めると、2人は小さくなって反省をしていた。あの後、亮二によってステータスの確認が行われ、吐く危険があった冒険者達には解毒薬を飲ませ、それ以外の者は会場自体を温めた状態で放置していた。翌朝、復活した冒険者たちからは感謝された事も含めて亮二は笑いながら説明した。


「さっき、全員無事に起きたから大丈夫な報告は受けたし、オーベからも物凄く感謝されたよ。それと、ギルドを通して解毒剤とポーションの発注が来てるが、解毒剤の注文がポーションの倍以上なんだけど? 解毒薬の使い道はダンジョン用だよな? カレナリエンはどう思う?」


「それは忘れて下さい。本当に覚えてないんですから。それに元々はリョージ様が私達に、あのお酒を飲ませたのが始まりなんですよ!」


 カレナリエンに笑いながら問い掛けると、赤い顔をしながら抗議してきた。亮二が話を誤魔化す時に手に取った瓶がギルド特製の酒精が強い酒だったらしく、それを割らずに飲んだのが、今回の騒動の原因だと判明したからである。


「ごめんよ。まさか、あんなに強い酒だとは思わなかったんだよ。それにしてもメルタは可愛かったよな。もう1回言ってくれない? 『ごろごろにゃん』って」


「言いません。言ってません。忘れて下さい。私はそんな事は言いません」


 亮二のニヤニヤとした顔に、カレナリエンと同じくメルタも顔を赤くして抗議していたが、なにかを思い出したようで女性陣で円陣を組むと密談を始めるのだった。


 ◇□◇□◇□


「ちょ、ちょっと。仲間外れにされた状態で密談されると物凄く不安になるんだけど?」


「大丈夫ですよ。リョージ様は常に誠実であると私たちは信じてますから。ねぇ、そうですよね?」


 円陣を組んでいる女性陣に対して亮二が不安に駆られて質問すると、カレナリエンが代表で答えてきた。微妙に迫力のある態度に逃げようとした亮二だったが、タイミングを見ていたかのようにライラが一歩前に出ると真っ赤な顔で尻尾を差し出しながら小さな声で「しっぽ触る?」と聞いてきた。


「えぇ! ライラのしっぽ触っていいの? その状態で? 触る! 触るよ!」


 亮二がライラにストレージからミスリルの櫛を取り出してグルーミングするために近付こうとすると、いつまにか背後に回っていたメルタが亮二を羽交い締めにした。


「えっ? えっ? なんでメルタが俺の事を羽交い絞めにするの? えっ? どういう事?」


 背中に当たる素晴らしい感触を堪能しつつ、いきなり拘束された事に軽く亮二が混乱していると、羽交い締めの状態でメルタが耳元に囁くように話し出した。


「リョージ様の婚約者が増える件ですが、ソフィアの事ですよね?」


「な、なんの事?」


 いきなりソフィアの件を話された亮二は、どもりながらも誤魔化そうとしたが周囲の視線で無駄だと気付くと、転移魔法で逃げようとした。


「メルタ! 逃がしちゃダメ!」


「えっ? 羽交い締めだけで良かったんじゃないの? リョージ様逃げないでください!」


「やだ! 逃げる!」


 メルタの言葉を振り切るように魔法陣を展開し始めた亮二に、説得出来ないまま逃げられると感じたメルタは、覚悟を決めた顔をすると亮二の耳元で小さく呟いた。


「リョージ様。い、行かないで欲しいニャン。話を聞いて欲しいニャ」


 展開していた魔法陣が霧散し、辺りを静寂が包み、逃げられない事を確認したメルタがホッとした表情で亮二の顔を覗き込むと感動した表情がそこにはあった。


「おぉ……! 酔った状態のメルタよりも、恥じらいながら耳元で言われるニャン語の方が破壊力が有る! もう、これでご飯は5杯はいけるんじゃないのか? ありがとうメルタ。君のニャン語の前に隠し立ては出来そうもない。ならば、俺は逃げも隠れもせずに全て話そうと思う」


「えぇ。そんな事で?」


 悟りきった表情と決意を込めたような口調ににライラが思わずツッコミを入れると、亮二はムキになって語り始めた。


「だって! 知的美人担当のメルタが酔ってもいないのに「ニャン」なんて言うんだよ! 『行かないで欲しいニャン』とか『話を聞いて欲しいニャ』を聞いた瞬間に、感動のあまり意識が天に上りそうだったぞ」


「も、もう。それ以上は言わないでください」


 亮二が拳を振り上げて力説している横で、羽交い絞めを解除したメルタは顔を覆いながら、恥ずかしの余りうずくまってしまった。カレナリエンは、その様子を眺めながら「リョージ様はニャン語が好き」と呟きながら手帳に書き込むのだった。


 ◇□◇□◇□


「では、本題に入ります。メルタは大丈夫?」


「もう大丈夫。あまり気にしないで。思い出して転げまわりそうになるから」


 カレナリエンの言葉にメルタの頬に朱が混じった顔になったが、なんとか冷静さを取り戻すと話を続けるように促した。


「では、リョージ様に質問です。先日から挙動不審になっておられる原因はソフィアの件ですね?」


「うっ! そ、そうだよ。王都の新聞で一面記事になってるって聞いてからスイーツ研究所にも行ってないんだよ」


「やっぱり。ソフィアから泣きながら連絡が来たんですよ」


 亮二の言葉にカレナリエンはため息と吐くと、ソフィアの件については知っている事を亮二に伝えた。それ以外にも貴族や豪商、引退した冒険者や教会からもお手伝い名目の結婚話が多数来ている事を伝え、領地経営が落ち着いたら面接をする予定な事も説明した。


「えぇ! なにも聞いてないよ! えっ? 面接?」


「そうです。面接です。それとリョージ様が知らないのも当然です。申し込みをしてきた方々には『先走ってリョージ様に話をしたらエレナ姫と私達が叩き潰します』と伝えていますから」


 澄ました顔でカレナリエンが説明した内容に亮二が驚愕した表情をすると、苦笑を浮かべて説明の続きを始めた。


「リョージ様は“ドリュグルの英雄”なんですよ。それを理解していますか? 女の子に声を掛けるなとは言いませんが、贈り物をする際は十分に考えてからしてくださいね。ソフィアの件は私達も賛成ですので問題ありませんが、その方の立場によっては話がややこしくなりますので、婚約者を増やしたい場合は事前にご相談くださいね」


「えぇ! ちょ、ちょっと! 話が急過ぎてついていけないんだけど?」


「大丈夫ですよ。リョージ様の婚約者が増えるのは当たり前ですからね」


 すらすらと今後の女性関係を話し始めるカレナリエンに、混乱しながら亮二が質問すると婚約者間で話が付いているから大丈夫との返事が返ってくるのだった。

ライラの尻尾は満喫出来ました。

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― 新着の感想 ―
にゃんは名前だったり身軽そうなことだったりクロだと思ってた
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