256話 学院での色恋話 -羨ましいですね-
諸々の作業があり更新が滞ってすいません。
活動報告でも書いていますが、エタったわけではないので引き続き異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れているをよろしくお願いします。
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ドリュアから漫才のオチのようなツッコミを受けました。
「よしっ! もう決めたで! うちはライナルトはんと一緒に魔法陣と魔道具の開発をするわ! 絶対にリョージなんかに負けへん物を作るしな! もう、リョージなんかポイッや」
「学院長的にも、個人的にも有り難い話ですが、リョージ君は問題ないのですか? 伯爵としては貴重な人物ですよね?」
ドリュアが興奮しながら叫んでいる内容にシャルロッタが亮二に確認してきた。亮二としては魔法陣の使い手として、手元に置いておきたい気持ちもあるが、セーフィリア全体で考えると魔法陣や魔道具の開発もしている学院で辣腕を振るってもらった方がいいと判断すると許可を出した。
「別にいいですよ。でも、負けないで下さいね。シャルロッタ学院長」
亮二の言葉に首を傾げているシャルロッタを見て苦笑をすると、亮二はライナルトが居る場所を指差した。
「「なっ!」」
シャルロッタとロサの2人がハモリながら愕然した表情とも、唖然とした表情とも、どちらとも取れる顔をしながら見た先には、ライナルトとドリュアが展開している魔法陣を前に議論を交わしていた。物凄く、くっつきながら。
「この場所が魔力の流れを阻害してるんとちゃう? こんな感じでどうや」
「なるほど! それで想定していた出力が出なかったのか。さすがです! 師匠!」
目をきらきらとさせながらドリュアを見ているライナルトに、色々な意味で危機感を覚えたシャルロッタとロサは亮二への挨拶もそこそこに2人の下に走っていくのだった。
その後、ドリュアは臨時顧問として学院に採用されることとなり、住居はシャルロッタと同室となる事が教授会で可決された。当初は学院内の研究室を改装して住んでもらう案も出たが、特定の人物が入り浸る未来しかイメージ出来ずに否決された。ちなみにライナルトは研究に没頭しているために参加しておらず、会議後に話を聞いて残念そうな顔を浮かべたが、シャルロッタとロサにひと睨みされると大人しく決定を受け入れるのだった。
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「じゃあ、ドリュアは学院に残るんだよね?」
「そやで。うちは水しか美味しさを感じひんから、宴会に行ってもしゃあないやん。それに冒険やリョージの領地で暮らすより、学院で開発でもしてる方が楽しそうやしな。ここでライナルトはんが帰ってくるまで魔法陣の改良作業でもしとくわ」
亮二の確認に、ドリュアは散らばっている魔法陣の羊皮紙を集めながら答えた。ライナルトは亮二の秘薬もどきポーションで体力や疲労は回復したが、シャルロッタとロサの強い意向で1ヶ月は入院兼休暇兼結婚式の準備をするとの事だった。
「おお、ライナルト結婚するんだ。おめでとう。学院長も結婚式の時は休みを取るんだよな?」
「もちろんです。そして有難うございます。シャルロッタとロサと1ヶ月はユックリ休憩と準備をしますよ。元々は結婚休暇の為に頑張ってたんですから」
亮二の驚きの顔にライナルトは苦笑しながら答えたが、亮二が難しい顔をしているのに気付くと、首を傾げながら問いかけた。
「どうかされましたか? 軍曹」
「いま、ロサの名前も出なかったか?」
「ええ。ロサとも結婚しますので。それがどうかしました……ちょ! 痛い! なんですか! 軍曹痛いです!」
「リア充爆ぜろ! 俺もまだ結婚してないのに、なんでお前が先に結婚するんだよ! しかも2人? 羨ま過ぎるだろ」
思わずライナルトの頭を握り潰しそうになりながら亮二が叫んだ。
「痛い! 痛いです! でも、軍曹は私よりも凄いじゃないですか。カレナリエンさんにメルタさん、他にも居ますよね?」
ソフィアやエレナ姫とも結婚する噂が王都では流れており、愛人と愛人候補だけで街が何個も作れると最近の新聞に載っていたとライナルトから聞いた亮二は思わず叫んだ。
「どこの新聞社だよ! 殴り込みに行ってやる!」
「あかんで、リョージ。手を出したんやったら、最後まで責任とらんと」「そうですよ。リョージ君。伯爵になったんですから、その辺は気を付けないと」「学院に居た時も熱い視線が有ったでしょ? えっ? 気付いてなかったの?」
女性陣から思いもよらない攻撃をされた亮二は言葉に詰まりながらも必死で弁明するのだった。
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「えっ? じゃあ、ソフィアと結婚するって噂は?」
「デマです!」
シャルロッタの質問に亮二は一刀両断で否定した。横で話を聞いていたロサは盛大にため息を吐くと、亮二に対して確認を行った。
「ねえ、リョージ君。デマって言うけど、ソフィアに贈り物をしてなかった? すいーつをデザインしたネックレスを覚えてない? ソフィアが嬉しそうに『ふんふふぅ』って鼻歌を歌いながらネックレスを見ては赤くなったり、悶絶したり、ため息を吐いたり、秘書さんの話ではソファの上で転げまわってるのを見た事もあるそうよ」
「いや、贈り物はしたけどさ。ロサやシャルロッタ学院長にもあげたじゃん」
戸惑い気味の亮二の言葉にロサは、自分達がもらった時とソフィアがもらった時とではシチュエーションが違う事を懇切丁寧に一から説明をすると、やっと亮二も気付いたようで「ホントだ。どうしよう」と困った顔で聞いてくるのだった。その様子を頭を押さえながら見ていたライナルトだったが、何かを思い出したのか亮二に近付くと笑顔で話しだした。
「大丈夫じゃないんですか! マルセル王から聞いた話ですが、そろそろエレナ姫が軍曹の領地に向かわれますから」
「なにが大丈夫なんだよ! 嫌な予感しかしねぇじゃねえか!」
思わずツッコみながらライナルトの頭を再度握り締めるのだった。
エレナ姫が領都やって来るのが楽しみだったはずが……。