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255話 学院での狂騒曲 -大発見みたいですね-

ライナルトと一緒に怒られています……。

「いや、違うんだよ! 俺はドリュアが魔法陣に興味が有るって言うから、ライナルトを紹介しようと思ってやって来ただけだよ? えっ?ライナルトは過労状態なの? 働き過ぎは身体に良くないから、ゆっくりと休んだ方が良いぞ。そうだ! 俺が作った秘薬に近いポーションが有るんだが飲んでみるか?」


「秘薬と言いますと、試練の洞窟での攻防戦で皆さんに配って伝説になった薬ですよね? 確か『ウチノ家の秘伝で俺も作り方を知らない』と軍曹から聞いた気がするのですが?」


 ストレージから改良したポーションを取り出して手渡してきた亮二の台詞に、ライナルトが首を傾げて質問しながら一気に飲み干した。しばらく飲みきった格好で硬直していたライナルトだったが、静かに床の上に容器を置くと力強く拳を握りしめて叫んだ。


「おぉ!体の底から力が湧いてくる!今まで溜まっていた疲労が奇麗さっぱり消え去りましたよ!」


「「じゃあ、あと2時間くらいは正座が出来そうですね。ライナルト主任教授は、そのまま頑張ってください。リョージ君。秘薬をライナルト主任教授に下さって有難うございます。もう少しでライナルト主任教授を強制的に入院させようと思っていたんですから」」


 正座をしながらテンションが高くなっているライナルトに冷ややかな表情で見たシャルロッタとロサは、異口同音に正座を続行するようにライナルトに告げて亮二へは椅子を勧めてきた。ライナルトの恨めしげな表情をスルーして安堵の表情で椅子に座った亮二は2人に話しかけた。


「有難う。まさかカレナリエンやメルタ以外に正座をさせられるとは思わなかったよ」


「そうですね。私達もドリュグルの英雄のリョージ伯爵に正座をさせると思いませんでした」


 苦笑しながらシャルロッタが紅茶が入ったカップを手渡してきた。亮二は机の上に土産で持ってきたスイーツを並べて、シャルロッタやロサ、ドリュアに勧めると自らも食べ始めるのだった。


 ◇□◇□◇□


「はぁ、なるほど。500年以上前の木の魔物で王族種のドリュアさんですか。王族種に会うのも初めてですが、500年前の魔物ですか……」


「そうやで! うちは今をときめく王族種のドリュアちゃんやで! リョージの奥さんちゃうから間違わんといてや! そこで正座しているライナルトはんが書いた魔法陣の面白さに興味を持って紹介してもらおうと思って来ただけやから。安心しい! うちは魔物やからライナルトはんを奪うつもりないから安心しながら安心したらいいわ! 大事な事やから2回でも3回でも言っとくで」


 お互いに自己紹介しドリュアの経歴を聞いたシャルロッタが驚きでため息を吐きながら呟くと、ドリュアは椅子の上に飛び乗ってさらに自己紹介を始めた。途中でライナルトに会いに来たと聞いた時はシャルロッタとロサの視線が黒い波動を出しながら殺気を放ち始めたが、ドリュアから魔物である事と、魔物なので人間の好悪には興味がない事を伝えられるとホッとした表情で殺気を消すのだった。


「じゃあ、ドリュアちゃんは魔法陣に詳しいのですか?」


「もちろんやで! 詳しいなんてもんやないで! そこの兄ちゃんが天才か麒麟児か知らんけど、ポッとでの人間に長年生きてる王族種が負ける訳ないやん! うちを舐めんといて欲しいわ!」


 ロサの質問にドリュアはライナルトを見て鼻で笑うと、何も無い場所に魔法陣を展開し始めた。文献にも載っていない魔法陣の使い方にライナルトは完全に固まった状態で、シャルロッタとロサも驚愕の表情で魔法陣を眺め続けていた。奥の手として隠していたドリュアは三者三様の表情を完全なドヤ顔で見ながら、いつもと変わらない亮二の表情を見ると訝しげに思いながらも勢い良く話し掛けた。


「どや! さすがのリョージもこれは出来ひんやろ! 言葉が出えへん感じか? ちょっと無詠唱が出来て全属性が使えて魔力が無尽蔵やからって、いばらんと欲しかったなぁ。あかん。リョージの事をゆってたら虚しくなってきたわ。ホンマに自分、無茶苦茶な身体してるで」


 ドリュアが亮二のスペックの高さに1人で落ち込んでいると、そんな様子を気にせずに魔法陣を凝視していた亮二が質問をしてきた。


「なあ、それって、巨大な水筒の魔法陣だよな? 魔石を持った手で、その魔法陣に触ったら水が出るのか?」


「そうやで。試してみるか?」


 亮二の質問にドリュアが軽く答えると、嬉しそうに頷きながら亮二も同じ魔法陣を展開した。自分の展開している魔法陣に魔石を持って亮二が触って来ると思っていたドリュアの呆気に取られた顔を眺めながら、亮二はさらに魔法陣を複数展開して独り言を呟き始めた。


「なるほどね。自分が見える様に魔法陣を展開させていくのがポイントっぽいな。ひょっとして転移魔法も同じ感じで展開させたら出来るのか?」


「ちょ、ちょっと待てぇぇ! なんなん! 自分ホンマなんなん! これってうちの奥の手やで! 簡単に真似できひんと思たから見せたんやで! それをなに一目見て再現して、さらに発展させてるねん! ホンマやってられへんわ! 止めさせてもらうわ」


 余りにも簡単に魔法陣を複数展開させた亮二にドリュアは地団駄を踏みながら、やり場のない怒りを亮二にぶつけるのだった。


 ◇□◇□◇□


「ちなみに、ライナルトを挟んでの喧嘩の原因はなんだったんだ?」


「それは『今すぐに開発を止めさせて入院させる』か『一段落ついてから入院させるか』で揉めてました。リョージくんが絶妙の間で入ってきたので、二人の意見は『リョージくんの話を聞かせる前に入院させる!』で一致しましたけどね」


「酷い!」

ドリュアがマジギレしたようです。どうしよう……。

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